2017.11.09
日本代表での活動に加え、現役大学生であり教員免許取得のための教育実習もあって、開幕直前までチームを離れていた。本人は「言い訳できない」と話すも、まだコンディションは万全ではないだろう。日本代表で指導を受けたルカ・パヴィチェヴィッチ氏がヘッドコーチに就任したとはいえ、まだチームを、戦術を熟知できていないはずだ。10月9日の新潟アルビレックスBB戦は馬場雄大にとってデビュー3戦目。ここまでの2試合は出場時間も限られ、まだ存在感を発揮できずにいた。
だが、新潟戦の第2クォーター残り4分59秒。背番号6は早くも駒沢オリンピック公園総合運動場体育館に訪れた観衆を沸かせた。速攻の場面で右サイド大外を駆けあがった馬場は、田中大貴からのパスを受けると、203センチのダバンテ・ガードナーにマークされながらも自慢の跳躍力を活かし、ダイナミックなワンハンドダンクを叩きこんだ。プロとしてリーグ戦初のダンクは競った展開での貴重な得点ということもあり、客席からの歓声はひと際大きかった。
さらに第3クォーター開始7分を過ぎたところで、52-52の同点となる3ポイントシュートを沈めると、その20秒後、またも見せ場が訪れる。自身のインターセプトからドリブルを始めると、「得意な形」と自認する独走からの豪快なダンクを決め、会場は最高潮の盛りあがりを見せた。この得点を契機に勢いに乗ったアルバルク東京は、安藤誓哉、アレックス・カークがポイントを重ね、さらに馬場の2本のフリースローとカークの得点で62-52と10点差を付けてこの10分間を締めくくった。そして、以降はセーフティリードを保ち78-72で逃げきり開幕3連勝を飾った。
チーム52点目、同点弾となる3ポイントを決めたことは、馬場にとって成長の証であり新たな“武器”を手にした瞬間でもあった。以前から外角シュートを課題に挙げていた馬場は、ルカHCと森高大スキルコーチの下でオフ期間からアウトサイドシュートの特訓を重ねている。その成果がさっそく表れた。「1本決めただけだけど、自分にとっては大きな一歩。今後は怖がらずチャンスがあれば打っていく」と確かな自信をつかんだ。
そして代名詞であるダンクはこの日2本決めた。どちらも重要な場面での得点で、特に2本目は「自分も乗れたし、チームの勢いも生み出せた」との言葉どおり、極端に言えば勝負を決める、会場の空気を一変させる一撃だった。
2連勝中のチーム同士の対戦であり、拮抗した展開で内容も濃く、ほとんどの観客は今日のゲームに満足したことだろう。その脳裏には何が残ったのだろうか。ガードナーの35得点か、田中のエースにふさわしい大活躍か。カークのアリウープもあった。でも恐らく一番は「馬場のダンクはすごかった」。大型ルーキーの鮮烈なホーム戦デビューに心を躍らせ、その秘めたるスター性に大きな希望を抱いたはずだ。
文=安田勇斗
現役大学生プレーヤー・馬場雄大(A東京#6)のリーグ戦初ダンク😜😜@ALVARK_TOKYO @babaseyo #Bリーグ pic.twitter.com/7UObi3LgLt
— B.LEAGUE(Bリーグ) (@B_LEAGUE) October 10, 2017
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