決勝の舞台で見せた馬場雄大のダブルクラッチバックシュート『BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK』

毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。今回は「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」ファイナル、「B1・B2入替戦 2017-18」から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。

解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ

【5】#7小林慎太郎が決めた魂の3ポイントショット(富山グラウジーズvs熊本ヴォルターズ

第3クォーター残り42秒、熊本のオフェンスに対して富山がゾーンディフェンスを敷いた。熊本は焦ることなくしっかりとボールを回し、ローポストに動いた#14ジョーダン・ヴァンデンバーグ選手へボールを落とした。ディフェンスがポストを意識したため、#7小林選手がノーマークとなり、#14ヴァンデンバーグ選手はすぐにパスを返した。#7小林選手はパスを受け、しっかりと踏みこみ3ポイントショットを決めきって、点差を5点に広げた。ここではエース#7小林選手が、ここまで得点がなかったにも関わらず焦らずしっかりと打ちきったところが素晴らしい。また、富山がファウルトラブルのため#1中西良太選手を守りきれないと判断しゾーンディフェンスに切り替えたが、熊本がキッチリとチームで崩しているところに一体感を感じ取ることができた。#7小林選手のフィールドゴールはこの1本だったが、エースは「いつ決めるか」で決まるところを見せつけた。

【4】#34サム・ウィラード選手の試合を決定づけるジャンプシュート(富山グラウジーズvs熊本ヴォルターズ

第4クォーター残り52秒、富山ボール。1点差に詰められ大事なポジションとなった。ゆっくりとオフェンスを組み立てると、#34ウィラード選手が外でボールをもらい、コーナーから上がって来た#24大塚裕土選手にパス。そのままボールスクリーンを掛け、#24大塚選手が中へドライブで入って行った。#24大塚選手がシュートフェイクでディフェンス2人を引きつけると、スクリーン後に外に開いた#34ウィラード選手へパス。彼が遠目のミドルショットをしっかりと決めきり、3点差と広げた。ここでは時間をしっかりと消化し、この日絶好調の#24大塚選手にボールを集めることで、ディフェンスはスクリーンの下を通らないためしっかりとズレを作って2人をボールマンに寄らせた。また、#34ウィラード選手にローテーションさせなかった指示も素晴らしかった。#30テレンス・ウッドベリー選手がシュートチェックまで来ていたがしっかりと決めきるところに、富山を高いレベルで引っ張ってきた、#34ウィラード選手の意地を見た。

【3】#2富樫勇樹選手からのアシストを決めきる#8レオ・ライオンズ選手の3ポイントショット(アルバルク東京vs千葉ジェッツ

第1クォーター残り1分20秒、千葉のセットプレーが機能する。#2富樫選手に対してドリブルハンドオフからボールスクリーンを掛けてしっかりとズレを作ったあと、#34小野龍猛選手にハンドオフパスをすると見せかけて素早くドライブ。レイアップシュートに持ちこんだ。ディフェンスは完全に遅れたため、レイアップシュートにヘルプのディフェンスがシュートブロックを狙う。しかし、シュートの体勢から力強く外にパスを飛ばし、パスを受けた#8ライオンズ選手がしっかりと3ポイントを決めて逆転に成功。この場面では、ベースライン側のドライブからのパスはコーナーにいる#27石井講祐選手に出すことが多い。#15竹内譲次選手がそれを警戒してコーナーの選手にローテーションをしたが、トップにいる#8ライオンズ選手にパスを出した。映像には写っていないが表情や目でしっかりとフェイクをしている。リーグでもトップクラスの素早いローテーションの裏をかくところは素晴らしい。

【2】#31ジャワッド・ウィリアムズ選手の、ハーフコートからのブザービーターショット(アルバルク東京vs千葉ジェッツ

第2クォーター残り3.7秒、A東京のボール。タイムアウト後に3人がハーフコート辺りで並んだところからスタートすると、2人が散って3人目の#31ウィリアムズ選手にロングパスが通った。ドリブルを2回してハーフコートを越えたところで#3マイケル・パーカー選手と接触しながらも放ったシュートがリングに吸いこまれた。ここではやはり3.7秒でベースラインからの遠い位置でもタイムアウトを取り、しっかりと得点チャンスを作ったベンチワークと、丁寧に遂行してしっかりと決めきった#31ウィリアムズ選手が光った。A東京のペースに千葉が必死に食らいつくというゲーム展開の中、2ケタ点差でハーフタイムに入るダメージの大きなショットとなった。

【1】新人賞のウイニングランにも見える、#6馬場雄大選手のダブルクラッチバックシュート(アルバルク東京vs千葉ジェッツ

第4クォーター残り7分。#10ザック・バランスキー選手がリバウンドを取ると、#3安藤誓哉選手を経て、前を走る#6馬場選手にパスが飛んだ。右のウイングからランニングステップのレイアップシュートに行くが、#21ギャビン・エドワーズ選手がブロックショットに来た。そこからボールを一度下げてゴールを通り過ぎ、ダブルクラッチのバックシュートを成功。千葉は堪らずタイムアウトを請求した。対空時間の長さが常人離れしているが、ここではターンオーバーで流れが変わりかけている中、15点差でも守りに入るのではなく、積極的に走って速攻を狙い、リードを広げ流れを押し返したところが素晴らしい。また、大学界から飛びだし、現学生の想いを背負って戦い抜いた今季のパフォーマンスは、後に続く若者たちへ希望を与えた。

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