2019.03.21
毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。今回は「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」クォーターファイナルから選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。
解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ
【5】#6馬場雄大選手のダブルクラッチリバースショット(アルバルク東京vs京都ハンナリーズ GAME2)
第4クォーター残り2分50秒、#6馬場選手がコーナーでボールをもらい躊躇なく3ポイントショット。そのままリバウンドに入ると、ボールがリングに当たり戻ってきた。キャッチと同時にジャンプしてシュートを狙おうとしたが、#43永吉佑也選手が手を上げて立ちはだかる。空中で移動しながら一度ボールを下げ、ゴールの逆側に左手のリバースショットを決めた。
どのようなシュートでも、打った人が一番そのシュートのことを知っている。打った直後にシュートが短いと感じ、すぐにリバウンドに入ったところと、空中でボールを体の近くで細かく動かし、体の軸をブラさずにコンパクトな左手シュートに持っていったところが素晴らしい。シュートに持ちこみながら空中でディフェンスを振りきる姿は、往年のマイケル・ジョーダン氏(元シカゴ・ブルズほか)を思い出させるダイナミックなプレーとなった。
【4】#30ヒルトン・アームストロング選手のピック&ロールからの、踏切の遠いワンハンドダンクシュート(琉球ゴールデンキングスvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズ GAME2)
第4クォーター残り8分、#14岸本隆一選手がトップでボールスクリーンを使う。右手ドリブルでボールスクリーンを使うと、2回ドリブルでスクリーナーのディフェンスの注意を引き、ゴールにダイブする#30アームストロング選手にドリブルのままバウンドパスを出した。パスを受けた#30アームストロング選手は制限区域の真ん中あたりで、2歩で踏みきってワンハンドで力強くリングに叩きこんだ。ここでは#14岸本選手がディフェンスに対し、しっかりと正対してディフェンスの注意を引きながらパスを出したことで、ディフェンスの判断を遅らせているところが素晴らしい。ゴール下に#33ジェロウム・ティルマン選手がヘルプポジションにいたが、すでに踏みきって飛んでいたためブロックのしようがなく、道を開けるしかなかった。
【3】#6比江島慎選手の亡き母に捧げる1on1からのステップバックショット(シーホース三河vs栃木ブレックス GAME2)
20点差を一気に詰める栃木の怒とうの猛攻に押しつぶされそうな第4クォーター残り20秒、三河が1点をリード。ショットクロックとの差は7秒で、決めればほぼ負けはないが外せば逆転されてしまうという緊迫した場面。トップから右ドライブに行くと見せ、ディフェンスがタイトについていたが「フロントチェンジ→細かいインサイドアウトドリブル→ステップバック」でしっかりと決めきった。ここでは絶対に自分がゲームを決めるという気迫の中、やみくもにフェイントをするのではなく、ディフェンスを観察しながらフェイントを入れている洞察力が素晴らしい。シュート後に天を指差し、母の日に気持ちを届けた。その意味を後で聞いた皆の胸がさらに熱くなった素晴らしいショットとなった。
【2】#2富樫勇樹選手の、大激戦の試合を決定づけるフローターショット(千葉ジェッツvs川崎ブレイブサンダース GAME3)
残り30秒でショットクロックが8秒。トップからボールスクリーンをもらって、ドライブで中に切りこんでガードをかわし、スクリーナーのディフェンスビッグマンも抜き去る。すると、3人目のディフェンスがブロックショット狙いで出てきた。ショートコーナーと言われるゴールの少し手前から、ランニングステップで右手のフローター(浮くように投げるシュート)を打って見事に決めきった。何と言ってもここは#2富樫選手のテクニックと度胸からくるもの。しっかりと体の軸をブラさずに左のドライブ中に右手で打つことで流れながらも軌道を作ったところと、ディフェンスの手が長くブロックされそうなところを、リリースを早く、プラス高くしブロックをかわしたところが素晴らしい。第3戦は#27石井講祐選手がしっかりとゲームを動かし、川崎の怒とうの反撃を受けながらも、最後の場面で#2富樫選手がこのビッグショットを決める、今後に語り継がれる好ゲームであった。
【1】#51古川孝敏選手のロースコアゲームを制したビッグショット(琉球ゴールデンキングスvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズ GAME3)
ゲーム3の後半残り45秒、琉球は1つ前のセットプレーでキレイにシュートを決めた#51古川選手にもう一度同じセットを作る。打たせようとする選手が誰かは、きっと会場の全員がわかっていた場面。#0石崎巧選手が目線を変えながらドリブルをし、ゴール下からスクリーンを使って出てきた#51古川選手へパス。45度の場所でもらってしっかりとシュートを打ちきると、ゴールにキレイに吸いこまれていった。ここでは何度もこういうシュートを打ってきた#51古川選手ならではの経験からくる、あえて細かいフェイクにしていないことが印象的である。必死に抑えようとついて来たディフェンスに対して、一瞬正面を向き距離を図っている。これなら打てるという距離からディフェンスの前にステップを踏むことで、シュートハンドの下に足を持ってきてしっかりとまっすぐキレイなアーチを作ることができる。打ったあとのフォロースルーの大切さは誰もが見習うべき素晴らしいショットとなった。#51古川選手が吠え、会場のボルテージは今季最高のものとなった。
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