2018.10.16
「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」で表彰される「タフショット賞」はファンによるWEB投票とSNS投票により決定する。そこで今回、ノミネートされた5選手のプレーについて、これまで紹介した大塚商会アルファーズ(B3所属)青野和人ヘッドコーチの解説記事をまとめて再掲する。
■ノミネート1 シーホース三河#6比江島慎(第11節 川崎ブレイブサンダースvsシーホース三河)
とてつもない高確率のシュート合戦の末に、#6比江島選手の決定打。誰もがこういう場面でのシュートを夢見るのではないだろうか? 試合終了残り17秒、リバウンドを拾った三河のオフェンス。フロントコートに運ばれると、パスを受けた#6比江島選手に勝負は委ねられる。数回浮くような動きとドリブルチェンジで、いつドライブにくるかわからないという意識をディフェンスに刷りこむ。相手が少し下がると、ブロックショットされない距離を#6比江島選手が感じ、体を沈ませてドライブに行くように見せながら3ポイントシュートを放った。同点の状況なので、2点シュートでもいいという場面だが、強気に3ポイントを選びしっかりと決めてくる彼のスター性と、この場面で外国籍選手に任せず、しっかりと日本人のスター選手を育てている三河の采配にも注目したい。
■ノミネート2 千葉ジェッツ#21ギャビン・エドワーズ(第14節 千葉ジェッツvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#21エドワーズ選手の、相手にぶら下がれながらも決めたバスケットカウントのダンクシュート。第2クォーター残り1分40秒、千葉がリバウンドを取り、近くにいる#2富樫勇樹選手がボールを受けると、先頭を走る#21エドワーズ選手にパス出した。名古屋Dの#33ジェロウム・ティルマン選手が止めに入り、右手で#21エドワーズ選手を押さえつけるように手を引っ掛けたものの、勢いは止まらず強烈なバスケットカウントのダンクシュートとなった。迫力のあるダンクシュートもすごいが、注目したいのは#21エドワーズ選手が、守っていた#24ジャスティン・バーレル選手がリバウンド時に深い位置にいたことを察知し、すぐにオフェンスで走ったがんばりと、それを見逃さず正確なパスを出せる#2富樫選手。彼ら2人で生まれた連係が最高の形で得点につながった。
■ノミネート3 新潟アルビレックスBB#54ダバンテ・ガードナー(第17節 新潟アルビレックスBBvsシーホース三河)
インサイド選手のぶつかり合いが多かったクライマックスも、やはり#54ガードナー選手のインサイドアタックに勝負を託した。試合終了残り12.7秒、新潟のボール。三河ディフェンスをスイッチさせようと#34ラモント・ハミルトン選手がドリブルハンドオフ(手渡しパス)するが、ボールこそ渡せたもののスイッチがうまくいかず時間だけが過ぎていく。同3秒で1on1が始まり、2回押しこむドリブルをしたあと、3回目のドリブルでターン。ディフェンスに詰められないように片足を使い、バックボードを使うことでブロックショットされないシュートコースを選んだ。無茶に打つのではなく、テクニックでしっかりと決めた劇的すぎるブザービーターに、#54ガーデナー選手が見えなくなるほど仲間が飛びかかりチーム全員で祝福した。
■ノミネート4 琉球ゴールデンキングス#12ハッサン・マーティン(第27節 琉球ゴールデンキングスvs川崎ブレイブサンダース)
第3クォーター残り5分、コートのサイドで行われた、琉球の計算されたキレイなピック&ロールプレー。#14岸本隆一選手がボールをもらうと、#12マーティン選手のスクリーンを使って内側にドライブしてディフェンスを後追いにさせた。すると、ヘルプに来た#22ファジーカス選手を引きつけ、スクリーン後に飛びこんだ#12マーティン選手へバウンドパス。ヘルプに来たディフェンスがゴール下で止めに来たが、2ステップで踏みきり、思いっきり上からダンクシュートでたたきつけた。セットプレーの遂行力も素晴らしいが、#14岸本選手の能力があってこそ成り立っている部分がある。シュートレンジの広い#14岸本選手にスクリーンが来ると、スクリーンの下を通すことができないため、ボールマンのディフェンスは後追いになる。得点力はリーグ随一だが、機動力に欠ける#22ファジーカス選手が出た瞬間に素早くパスに切り替えたため、#22ファジーカス選手の反応が遅れ、#12マーティン選手がダンクシュートに持ちこんだ。#12マーティン選手の跳躍力は規格外で、ダンクしながらも上に上がり続けているように見えた。
■ノミネート5 京都ハンナリーズ#12岡田優介(第28節 レバンガ北海道vs京都ハンナリーズ)
第4クォーター残り16秒で、サイドから京都のポジション。逆サイドにボールを飛ばすと、#12岡田選手がスクリーンプレーでディフェンスを振りきり、前に流れながら放った3ポイントで逆転に成功し、遅れて来たディフェンスがぶつかってしまいバスケットカウントとなった。このプレーは昨年あたりから世界で使われ、代表的なチームとしてボストン・セルティックスが挙げられるが、浜口炎ヘッドコーチは選手の特徴を理解しアレンジを加えている。#91片岡大晴選手が逆サイドにいる#43永吉佑也選手にしっかりとスクリーンを掛ければ、ディフェンスは当然助けようとバンプしに来る。そのズレた場所で#91片岡選手がボールをキャッチした時は、#12岡田選手についているディフェンスはボールの場所がわかりにくい。しかも#91片岡選手がキャッチする直前、#12岡田選手が急に逆に動いたためディフェンスも反応してしまい、スクリーンに引っかかった。素晴らしい対応力と、選手の実行力にチームの信頼関係を見た。
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