【優勝インタビュー②】田中大貴「“アルバルク東京=常勝軍団”にしていきたい」

ファイナルMVPを受賞するなど大車輪の活躍を見せた

「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」を制してBリーグ2代目王者の称号を手に入れたアルバルク東京。ファイナル2日後の5月28日、田中大貴が『バスケットボールキング』の独占インタビューに応じた。

インタビュー=バスケットボールキング編集部
写真=Bリーグ

プロとして初めてつかんだ栄光

これまでタイトルを取れず責任を感じていたという [写真]=B.LEAGUE

――改めて優勝おめでとうございます。積みあげてきたものが優勝という結果に結びついたと思いますが、1年間の感想を聞かせて下さい。
田中 もちろんうれしいですが、自分は少しホッとしているというか、安堵感や安心感の方が強くて。というのも、(東海)大学在学中にこのチームに誘ってもらって、入団当初からチームの主軸としてやらせてもらっている中でタイトルを1回も取れていなかったので。年齢を重ねるごとに責任を感じていましたし、自分はタイトルを取れないのかなと考えた時期もありました。今回はチームに恩返しできたと思いますし、期待に応えることができたと思います。

――挫けそうになったり、持っていないと思ったりする瞬間があったんですか?
田中 ダメかもしれない、勝てないかもしれないと考えたことはありません。自分は大学で初めて日本一を経験して、その時に周りのチームと比べて少し雰囲気が違うと感じて。あの雰囲気じゃないと優勝できないのかなと。プロの世界なので選手全員が自分を犠牲にして、個人のエゴを出さないのは難しいと思いますが、その中でいかに自分たちを犠牲にできるかだと。入団当初は自分を含めてそのレベルに達していなかったと思いますし、プロのチーム、選手として優勝するのは難しいと感じました。

――ファイナルはとても緊張していたようですね。
田中 普段も緊張しますが、今回はすごかったですね。試合前は無理してご飯を食べている感じでした。(セミファイナルのシーホース)三河戦が終わってから決勝のことばかり考えていて、試合に入るまでが一番辛かったです。

――昨シーズンの開幕戦も多くの注目を集めました。
田中 開幕戦とは全然違いますね。緊張しましたが、プレッシャーが掛かっていたわけでは……。ファイナルは、自分がプロ選手として頂点に立つか立たないかという責任を背負っていましたので。ファイナルまで行くことの難しさは十分わかっているつもりだったので、何としてもこのチャンスを逃したくないという思いが強かったです。

――今季、ご自身が特に注力したところを教えて下さい。
田中 新しいヘッドコーチ(ルカ・パヴィチェヴィッチHC)を迎え、若手の(馬場)雄大、安藤誓哉、(小島)元基が加入するなどチームが大きく変わり、ベテランの(竹内)譲次さん、正中(岳城)さん、(菊地)祥平さんがいる中でも自分がチームを引っ張っていかなければいけないと思っていました。また、(伊藤)大司(現レバンガ北海道)さん、KJ(松井啓十郎シーホース三河)といった選手たちが抜けたため、これまでのシーズンよりも責任感を持って、覚悟を決めて戦おうと。自分がダメだったら、それが結果につながると言い聞かせていました。プレーの良し悪しよりも、バスケットボールに取り組む姿勢というか。田臥(勇太/栃木ブレックス)さんのようにブレない絶対的なリーダーが必要だということを、前HCの伊藤拓摩さんから言われていましたので。

――ディアンテ・ギャレット(現オクシリアム・パラカネストロ・トリノ)が抜けて、求められていることが昨季と今季では違ったと思います。
田中 自分も絶対的な存在になりたいと思っていましたが、今季はその気持ちがもっと強かったです。優勝するチームには絶対的存在が必要だと思いますので。

体力的なものではなく、HCの高い要求に応えるキツさ

ファイナル後のセレモニーでは指揮官と喜びを分かち合った [写真]=B.LEAGUE

――自分がチームを勝たせる覚悟で臨んだ今季ですが、優勝できた一番の要因は何だと思いますか?
田中 いろいろあると思います。今季のアルバルク東京は「キツい練習」がよく取りあげられますが、体力的にキツいというより、HCが自分たちに求めてるものが高く、より細かい部分にまで高いレベルを求めるので、それに応えなければいけないキツさです。優勝できたのは、HCのおかげだと思っていて。シーズン序盤は不満の声もありましたが、なぜこれが必要なのかなど本質的なことを理解できるようになってからは、やっぱりこのHCはすごいなと思いました。自分もHCが求めるレベルまで成長したかったですし、質の高さや本当に大事なことをわかっているHCがチームをまとめてくれて良かったと思います。

――レベルの高さは、ルカHCが日本代表で指揮を執っていた時から感じていましたか?
田中 そうですね。あるコーチ研修があり、祥平さんや正中さんが手伝いに行ったら、すごくいいHCという印象を受けて帰ってきました。いろいろなことを聞いていたので、実際一緒にやってみると確かにすごいなと。HCの戦い方やディフェンスの仕組みに共感できることが多かったのでやりやすかったです。

――最後に、来季に向けての意気込みをお願いします。
田中 今季はHCやメンバーが大きく変わったこともあり、数年後に優勝できるレベルまで到達するだろうと思っていたんです。結果的には優勝という結果が出ましたが、1、2年間のビジョンを持った上でやってきたので、自分はもっともっと高いレベルまで行けると思います。HC1年目で結果が出たことを自信にして、来季は天皇杯とリーグを取りたいと思いますし、もっと先の話では“アルバルク東京=常勝軍団”にしていきたいです。毎年強いし、またアルバルクが優勝かとなるくらいまで成長したいと思います。今季の結果に満足せず、何回も勝てるチームになっていきます。

田中が掲げる目標は“常勝軍団”だ [写真]=B.LEAGUE

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