B1リーグ第11節を終えて、西地区首位の座をキープしている琉球ゴールデンキングス。そのチームを率いる佐々宜央ヘッドコーチは、選手たちとのコミュニケーションを非常に重要視し、情熱溢れるコーチングの中にも冷静な判断を持つ “情熱と冷静の間に” という言葉が相応しい指揮官である。
11月24日の試合後、チームの好調の要因について選手たちのおかげだとストレートに答えた。
「自分自身のコーチングがどうこうよりも、力を持っている選手たちがチームに集まって戦っているからだと思います。その中でゲーム内でのアップダウンがあるというのは、コーチとしてもっとしっかりしないといけないなと思っています。今は方向性がズレている感じじゃないというのもあります。チームはもっともっと良くなると思いますし、自分自身も危機感を持ってコーチングしていきたいです」
また、ここまでのシーズンを次のように振り返る。
「並里成と橋本竜馬が新たに加わり、岸本隆一や古川孝敏もいます。チームとしてどういうプレーを引きだすかという課題があった中で、その部分は見えてきたんじゃないかなと実感しています。だけど40分間を戦うという部分で、もう少しみんなを活かせるようなバスケットを、自分の中でもう少し工夫していきたいです。その中で橋本は今後のキーポイントになると思っていて。得意のディフェンスが少しバタバタしていますが、この状況を超えることができれば彼が沖縄の地に来た意味があると思っています。あとは岸本のゲームでの絡み方をコントロールするのは自分も責任があると感じていて、そういった意味でチームは次の段階に入っているんじゃないかなと思います」
西地区首位につけるが、指揮官は「順位を気にしないようにしている」ようだ。
「今シーズンはタフなスケジュールの中で、どこと対戦しているか、していないかというのがわからない状況です。相手が勝って、自分たちが負けたからといって落ちる必要は全くないですし、自分たちのやるべきことを遂行して勝ちにいかないといけないという気持ちはあります。チームにいい意味で危機感を与える上で他のチームの結果などをあえて伝えながら、それを自分たちのモチベーションにして戦うようにさせたりもしています」
そして、優勝という称号をつかみ取るためには、「絶対にチャンピオンを取りたいという気持ちをチームとして強く思うかがすごく大事」だという。
「チャンピオンには全員がなりたいと思っています。自分たちもそれを目指してやっていますけど、本当に何歩先のことを考えても獲れるものではないので、目先のことをしっかりと考えて一つひとつやっていきたいと思います。そのためにはゲーム内でのアップダウンを解消していくことが必要です。ゲームの中でどうしてもミスが連続して起こってしまうとか、オフェンスでも自分たちの形で終われないことが連続して起こるなど、バスケットとして良くないと思っています。そういう部分を引きずらずにプレーしていくというのが今後の課題になっていくと感じています」
常に危機感と課題を持ちながらも歩みを止めない佐々HC。彼の下で悲願のチャンピオンを獲得するというチームの夢は2019年5月に結果となって判明する。
写真・文=鳴神富一