Bリーグ2018-19シーズンよりスタートした、ユーザーが対象ショットの中からナンバーワンタフショット『MONTHLY BEST of TOUGH SHOT』を決める、バスケットボールキングとカシオ計算機株式会社による共同企画。記念すべき第6回目(第25節~第31節対象)は篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)が最多票を獲得した。
そこで今回、篠山に受賞記念品のG-SHOCK『GA-2000E-4JR』を贈呈し、ビッグショットについて話してもらった。また、青野和人ヘッドコーチ(越谷アルファーズ)が、どのようにしてこの一発が生まれたのか、相手やチームメートとどのような駆け引きがあったのかなど、指揮官ならではの視点で解説してくれた。
――ファン投票によって3月の『MONTHLY BEST of TOUGH SHOT』に選出されました。受賞の感想をお願いします。
篠山 とてもうれしいです。G-SHOCKは初年度にファイナル進出記念としていただき、自分で買ったものが4本ほどあります。今回のものはバンドが交換できていいですよね。
――G-SHOCKのお気に入りポイントはどこですか?
篠山 耐久性があって、オシャレでカッコいいところです。自分はラフな格好をすることが多いのですが、それでも合わせることができると思います。子どもに触られたり、舐められたりするかもしれませんが、丈夫で防水なので壊れないのかなと。
――今回のショットを振り返ってください。タイムアウトでは、篠山選手がシュートを打つという指示があったんでしょうか?
篠山 僕がボールをもらう作戦で、シュートを打つことまでは指示されていませんでした。
――シェーン・エドワーズ選手からのパスが流れてしまったようにも見えました。
篠山 あれはあえて流しました。ワンバウンドさせて、ウイングまで走りこんでからキャッチした方が自分のリズムにできるかなと。山下(泰弘)選手がディフェンスに来ているのはわかっていましたが、パスをカットされる距離感ではなかったので、余裕を持って流すことができました。
――一連の流れは完璧でしたか?
篠山 一番の理想はブザービーターでしたけど、いいシュートだったと思います(笑)。
――今シーズンは3ポイント試投数が昨季よりも40本多い148本でした。最後のシュートを打つ場面ではどのような気持ちでいますか?
篠山 腹をくくって、自分で責任を取る気持ちでいます。3ポイントが増えたのは、今季は特に後半戦から自信を持って打てるようになってきたからかなと。また、川崎は個で打開するより、ボールを回したり、ピック&ロールを使ったりしてズレを作って、チームでノーマークを作るバスケです。シーズンを重ねるごとにチームの完成度が上がってきて、ノーマークを演出できる力がついてきたと思います。
――辻直人選手やニック・ファジーカス選手も最後のシュートを託されることが多いと思います。
篠山 辻選手とファジーカス選手がいることは大きな強みで、2人がオフェンスの中心だと思われています。しかし、その中に自分も食いこんでいきたいと思っているので、川崎の“三本柱”と言われるようになっていきたいですし、勝敗を喫するようなシュートを高確率で決められるようになりたいです。
――いよいよチャンピオンシップが始まります。意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
篠山 チャレンジャーとして臨みたいですし、格上とも言える栃木ブレックスさんに一丸となってぶつかっていきます。アウェーでの試合になりますが、ファンの皆さんも一緒に戦ってほしいと思います。
青野和人ヘッドコーチはこう見る!
同点で迎えた延長残り4.5秒、川崎の大エース、ニック・ファジーカス選手のゴール付近でのシュートを警戒し、ペイント中のディフェンスを固める福岡。対して、2点シュートでもいい川崎はそのファジーカス選手が自らスクリーナーとなって、ボールから遠ざかるように2枚連続してスクリーンを掛ける「スタッガースクリーン」で篠山選手がオープンとなった。しかし長いバウンドパスとなってしまいディフェンスが追いつきそうになる。篠山選手が右のウイングでボールをもらうと、しっかりと踏みこんで打った3ポイントショットが見事に決まり決勝点となった。
この日の篠山選手は第4クォーターまで着実に周りの選手を活かしながら司令塔として4アシストとコントロール。しかし、第4クォーターはゴールに向かって右のコーナーでディフェンスのローテーションのズレを見ると、思いきりのいいキャッチ&ショットがネットを揺らした。同じ場所で2本目が入り、右のコーナーで彼がボールを持つと、打つ前から入ったかのように会場全体が立ちあがる。彼がそれにしっかりと応え、篠山選手の「落ちないシュート」に酔いしれた。結果、この10分間だけで3ポイントを5本中5本決めた。
福岡は42.9パーセント、川崎は52.2パーセントと高確率の3ポイントショットを見ることができた。福岡はマーカス・ブレイクリー選手が力強くゴールに果敢にアタックを続け、第4クォーターでは3人に囲まれながらもねじこんで延長戦に持ちこみ、延長でもこの4.5秒で同じようにゴールにアタックを続け同点。結果、37点と大爆発し福岡加入2試合目で早速期待に応えた。
対して川崎はシェーン・エドワーズ選手、バーノン・マクリン選手、ファジーカス選手で徹底的にミスマッチを突き続け、ハイスコアゲームになったことで非常に見応えがあった。中でもインサイドを警戒された時に篠山選手は8アシストとミスマッチにパスを出し続けるとともに、26得点うち3ポイントショット8本中8本の成功と勝負強さは圧巻であった。
残り4.5秒という緊迫した場面、試合をとおして相手ディフェンスの特徴をよく認識し、ゴールに近い2点シュートでいいという考えよりも選手の調子の良さとエリアを理解。何よりも選手を信頼し、勝負を託して送りこみ、フリーを作った素晴らしい川崎のベンチワークを称えたい。
インタビュー=酒井伸
解説=青野和人