2019.11.08

「絶対に五輪切符をつかみ取る」女子3x3代表選考と今後の強化のポイントは

3月のオリンピック予選に向けて、3x3女子日本代表が練習を公開 [写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

開催国枠は男子に適用。女子は予選を経て出場を目指す

伊集南(写真左)はOQT、さらに五輪出場に強い意欲を示した [写真]=小永吉陽子


 3月のオリンピック予選(OQT=Olympic Qualifying Tournament)に向けて、3x3女子日本代表が、11月5日から7日まで第5次強化合宿を開催した。

 3人制のオリンピック出場については、11月1日に男子の開催国枠での出場が決定したばかり。FIBAは3月の理事会において、「IOC(国際オリンピック委員会)の承認付き」という条件のもと、3x3男女両方の出場を認めていた。しかし、FIBAとIOCの協議の結果、開催国枠は11月1日のランキング上位に1枠与えられることになり、男子の出場が決定したのだ(男子9位、女子11位)。この結果により、女子は3月18日~22日にインドで開催される予選にて出場権獲得を目指す。予選は20チームが参加し、上位3チームが出場権を得る。最後の1枠は4月の最終予選にて争われる。

 女子は今年に入って、Wリーグの選手を主体に日本代表が選出されている。その理由を5月の強化合宿時に東野智弥技術委員長は「技量の高さ」を第一の理由にあげながら、3x3を取り巻く環境の変化についてこのように語っていた。

「女子はオリンピックに向けてWリーグの各企業がサポート体制を整えてきました。こうした中で、5人制の中から3x3に向いている選手を選出したところ、多くの選手から『挑戦したい』という意欲的な返事をもらうことができたのです」

 女子は今年5月のアジアカップで3位、ウーマンズシリーズでは6月の成都大会での銀メダルをはじめ、出場した4大会はすべてベスト4以上。そして10月のU23ワールドカップでは世界一に輝いている。機動力とアウトサイドのシュート力(2点)を生かした戦いができるのは5人制と同様だ。こうした適応力の高さを見せていることからも、Wリーグの選手を選出したことは納得できることだ。

 しかし、男子が国内での試合開催とプロサーキットを主戦場とするチームと選手によってポイントを積み重ねた状況に比べれば、国内外の試合数が少ない女子は、ポイントが伸びずに順位を上げることができなかった。日本協会の三屋裕子会長が「3人制の男女はIOC承認の条件付きということではありましたが、FIBAとの会話の中ではそこまで大きな障害になるとは感じられず、事実上開催国枠が与えられたという認識でいました」とコメントしていたことからも、日本協会の見通しが甘かったと言わざるを得ない。ただ、すでに選手たちの気持ちは切り替えられている。アジアカップで大会ベスト3に選出された伊集南は言う。

「私はこの決定が残念というより、むしろ逆に思っていて、OQTにめちゃめちゃ出たいです。実力的には、出場が決まった4チームよりOQTに出るチームからオリンピックのメダル獲得チームが出ると思うので、OQTに出て自分たちで出場権を獲得したほうが自信になります」

トーステン・ロイブル ディレクターコーチが語る女子3x3の強化

OQTには最強のチームで臨みたいと語るトーステン・ロイブル ディレクターコーチ [写真]=小永吉陽子


 今後、女子3x3の強化はどのように進んでいくのか。強化の指揮を執るトーステン・ロイブルディレクターコーチに聞いた。

――女子の開催国枠が承認されなかったことについて。
ロイブル
 日本バスケットボール界にとってはショックなこと。3月の時点では男女両チームが開催国枠で出場できると思っていたが、どちらかがOQTに出ることになったのはショックでした。FIBAとしては日本を推してくれたが、IOCの決定なのでしかたない。ただ、もう決定したことなので、次の段階に進んでいきます。

 オリンピックで勝つのは、OQTで勝ち上がるチームだと思っている。出場枠を得た4チーム(ロシア、中国、ルーマニア、モンゴル)、とくにモンゴルやルーマニアよりも、OQTに出るオーストラリア、イタリア、フランス、アメリカのほうが圧倒的に強いのです。厳しいOQTを勝ち上がったチームがオリンピックで優勝すると思っているので、OQTに出ることがオリンピックに向けた準備にもなるので頑張りたい。

――3月のOQTメンバーは今合宿メンバーから選出されるのか?
ロイブル
 そうです。今回は西岡が負傷のため合宿に参加できなかったが、彼女は重要な選手の一人。ここにいるメンバー(第5次強化合宿参加者)と西岡を加えた中からOQTのメンバーを選びたい。

――今まで3x3の大会に出ていた宮下希保選手が5人制の代表に入ったが、宮下は選考外か?
ロイブル
 今回、宮下を招集できなかったのは5人制の代表に選ばれたからです。3x3という競技はバスケットボールそのものの技術を習得するいい機会で、宮下は3x3で技術を身につけて5人制の代表に呼ばれた。それはすごくいいことです。3x3のコアメンバーに宮下は入っているので、招集できる機会があれば再び呼びたい。ここでアウトということではありません。

――3月のOQTはWリーグのプレーオフと重なるが選考はどうなるのか。
ロイブル
 スケジュールは大問題で、ここでバスケ界が協力体制をとって一丸とならなければいけない。U23ワールドカップもWリーグの開幕と重なったが、チームは選手を出してくれた。OQTはどうしても勝ち抜かなければならない大事な大会だと、Wリーグの各チームに理解してもらい、最強チームで臨みたいです。

――国内試合を多く開催し、ポイントを稼いでランキングを上げることは考えなかったのか?
ロイブル
 そこは日本協会が決めることなので言える立場ではないが、FIBAのアナウンス(開催国枠が男女どちらか一枠になる)が早くにあったならば、チーム強化よりランキングのトップ4に入ることを先に考えたかもしれません。3x3はグレードの高い大会に出ればポイントが高くつく。表彰台に何回か上った日本の国際的な価値は上がったが、それでもトップ4に入ることはできなかった。そこがポイントシステムの難しいところで、国内で多くの大会を開催し、多くの選手がポイントを獲得することでも順位は上がる。そうやって出場権を獲得したのがモンゴルやルーマニア。FIBAとしては強いチームをオリンピックに出したいはずなので、このシステムは変わっていくのではないだろうか。

――今後はどのように強化していくか。
ロイブル
 女子選手はとても貪欲でスキルが高い。例をあげれば、永田萌絵はルールも把握していないうちにU23ワールドカップ代表に選ばれ、速さを生かしたプレーで優勝に貢献したのです。2点を決め切れる選手も多い。スピードとシュート力は日本女子のアドバンテージで、これからもっと伸びていく部分。だからこそ、絶対にオリンピックの出場権を勝ち取り、さらに成長することを目指します。

■2019年度3x3バスケットボール女子日本代表チーム/第5次強化合宿メンバー

伊集 南(デンソーアイリス)
三好南穂(トヨタ自動車アンテロープス)
山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)
内野智香英(富士通レッドウェーブ)
篠崎澪(富士通レッドウェーブ)
田中真美子(富士通レッドウェーブ)
西岡里紗(三菱電機コアラーズ)
永田萌絵(東京医療保健大学)
馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス)

※西岡は負傷により不参加

文・写真=小永吉陽子