「さいたまスーパーアリーナ、強いみたいで」
試合後、フロアインタビューでインタビュアーから昨年大会の決勝でも同じ会場で活躍をした話を向けられると、宮澤夕貴(JX-ENEOSサンフラワーズ)は、笑顔でこうコメントした。
「第86回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」の決勝、デンソーアイリスとの頂上決戦に挑んだJX-ENEOSは、序盤こそ競った展開となったものの、第1クォーター終盤から抜け出すと、そのまま主導権を握る。度重なるデンソーの追い上げにも宮澤が3ポイントシュートなどで悪い流れを断ち切り、最後は83―53で勝利。7年連続24回目の優勝を果たした。
「相手がゾーンディフェンスだったということもあり、3ポイントシュートが楽に打てました」と試合を振り返った宮澤。自身の出来には「状況判断が今大会は良くなかった」と語ったが、一発勝負のトーナメント戦、決勝という大一番で3ポイントシュート4本を含む21得点6リバウンドはさすがの一言だった。
昨年大会の決勝では17得点7リバウンド6アシスト。さいたまスーパーアリーナでの活躍について再び記者から問われると「相性がいいんですよね、この体育館と。すごく体が軽くなるんです。コートの滑りとかもそうだし、苦手意識がなくて、試合を重ねる度に『あ、やっぱここでいいな』って自信になるというか。『これでオリンピックもいける』という自信が募っていきます。いい印象しかないですね」と頼もしい言葉を発した。
すでに日本代表の主軸を担う宮澤は、JX-ENEOSの一員として勝利を目指すだけでなく、オリンピックメンバーに入ることはもとより、チームの目標である『東京オリンピックでの金メダル獲得』も見据えた戦いを求められる立場にある。
「だから今大会でも3ポイントシュートにはこだわりたかったです。それと地味なプレーも。リバウンドもそうですが、ルーズボール1本にしても、きちんとやろうとは思っていました。トムさん(ホーバス/女子日本代表ヘッドコーチ)が求めるバスケットもディフェンスをしっかりやってリバウンド取ってからブレイクなので、そこは絶対にやらないといけないなと思いました。もう少しフィニッシュのところで決め切りたかったですね」(宮澤)
オリンピックの会場で2020年初となるタイトルを獲得。この優勝は、日本代表のシューターにとって、Wリーグ後半戦、そしてその先に待つ日本代表としての戦いに向けて弾みの付くものとなった。
文=田島早苗