2019.05.05

「東京オリンピックではスコアラーに」世界レベルのオールラウンダーへと歩みを進める宮澤夕貴

WリーグではプレーオフMVPを受賞した宮澤 [写真]=兼子慎一郎
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 女子日本代表がメディア向けに練習を公開した2次合宿の初日(4月25日)。練習に先立ち、トム・ホーバスヘッドコーチと東野智弥技術委員長の記者会見、そして選手を代表して髙田真希(デンソーアイリス)と宮澤夕貴(JX-ENEOSサンフラワーズ)の個別での囲み取材が行われた。

 その場において、来年に迫った東京オリンピックに向けての意気込みを聞かれた宮澤は、「今はシューターとしてコートに立っていると思うのですが、東京オリンピックの時はスコアラーとして、スタートとして日の丸を背負って金メダルを取りたいと思います」と力強く発した。

 JX-ENEOSに入団して6年。もともと宮澤は、神奈川県立金沢総合高校時代からオールラウンダーではあったものの、180センチを超える高さを持ち合わせていることから、得点ではインサイドでのプレーに比重が大きかった。だが、JX-ENEOSで本格的に3ポイントシュートの習得に取り組むと、さらにプレーの幅が広がり、攻撃力もアップ。2017-18シーズンでは3ポイントシュートのタイトル、そして前人未到の11連覇を達成した2018-19シーズンでは、自身初のプレーオフMVPにも輝き、チームにはなくてはならない大黒柱へと成長した。

 そんな姿を見れば、『すでにスコアラーなのではないか?』という疑問も浮かぶ。しかし、練習後にその疑問を本人に直接聞くと、こんな答えが返ってきた。

「うーん、でもやっぱりシューターじゃないですか? これからは、いろんなバリエーションでの決め方をしたいというか、昨年は『FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018』でも3ポイントシュートを止められた後に何もできなかったという感じだったので。だからそうならないように、シュートが無理でもドライブできる、パスできるといったオールラウンダーになりたいと思っています」

WリーグではプレーオフMVPを受賞した宮澤 [写真]=兼子慎一郎

 先述したように、Wリーグや皇后杯など、日本国内での活躍はすでに多くの人が知るところ。だが、宮澤が目指すのはあくまでも東京オリンピックでの金メダル獲得で、それに向けて世界レベルのプレーヤーになることなのだ。

 そのために「ドリブルができないので(笑)、今はドリブル練習をしています。まずはそこからですね」と、宮澤。「ドライブにしてもまだ弱いし、逃げてしまうところがあります。体の使い方、体を寄せながらシュートに持って行くなど、今年はいろいろと練習していきたいとは思っています」と、直面する課題を的確に語る表情は、やる気に満ち溢れていた。

3ポイントシュート習得のために、チーム練習を終えたJX-ENEOSの体育館で黙々と3ポイントシュートを打ち込んでいた姿はこれまでも幾度となく見てきた。その時と同様、今度は世界レベルのオールラウンダー、スコアラーになるという目標に向け、宮澤は今後もたゆまぬ努力を重ねていくだろう。

文=田島早苗

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