1月12日、最終日を迎えた「第95回天皇杯・第86回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」ファイナルラウンドは皇后杯決勝が行われ、JX-ENEOSサンフラワーズがデンソーアイリスに83-53で勝利。大会7連覇を達成するとともに大会記録となる通算優勝数を24に伸ばした。
デンソーにとって誤算だったのは先発シューティングカード、篠原華実の故障だろう。篠原は開始早々に足を痛め、第1クォーター開始1分52秒で交代。デンソーは準決勝の三菱電機戦コアラーズ戦で3本の3ポイントシュートを含む11得点をあげたシューターを失った。
しかし、このチームの危機で力を発揮したのが近藤楓だった。近藤は第1クォーター残り1分55秒でコートインすると、18分もの出場時間を得て、チームのエース髙田真希に次ぐ10得点をあげる。オフェンスではマークが甘くなれば3ポイントシュート、そしてドライブでリングにアタック。またポジションとしては2番と3番をこなし、ユーティリティ振りも発揮した。
2016年に日本代表としてリオデジャネイロオリンピックのコートに立った近藤は、活躍の場を求めて今シーズン、デンソーへの移籍を決断。昨シーズンに負ったケガのためWリーグの開幕には間に合わなかったが、皇后杯での活躍を見るかぎり完全復活の兆しが見えてきたのではないだろうか。
その近藤が試合後、メディア対応を行った。JX-ENEOSとの決勝戦の感想を問われると、「絶対に勝てない相手ではないと思うのですが、JX-ENEOSと戦うには100%、いやそれ以上の力を発揮しないと。コートに立った時は『まずディフェンス』、そして積極的にリングに向かうつもりでした」と振り返った。
移籍後の自身の状況を問われると、「徐々にチームになじんできた気がします。ゲームプレーの中で自分の持ち味を出せるようになってきました。『空いたら打つ』、それが自分のスタイルですがそれができるようになったと思います」。
移籍1年目の近藤だが、大阪人間科学大学卒業後トヨタ自動車アンテロープに加入して6シーズン目のキャリアを持つ。「年齢的には上級生。ゲームに入ればすぐに対応できるようにと思っていますし、出られれば2番でも3番でもしっかり仕事をしたい、ゲームの役割を果たしたいと思っています」と冷静に自身の役割を語ってくれた。
デンソーは今シーズンからヴラディミール・ヴクサノヴィッチヘッドコーチが新たに指揮をとり。目指すスタイルは「リバウンドを取ったら走り、そしてチャンスがあったら打つ」(近藤)だという。まさに近藤のプレースタイルとピタリとはまる。そのディフェンス力、そしてシュート力が発揮されれば、髙田、赤穂さくら、ひまわりに次ぐ戦力として活躍することは間違いないだろう。