現在、Bリーグの各クラブは5月11日から始まる『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18』進出に向け、大切な終盤戦を迎えている。そのような状況の中、強豪ひしめく東地区において首位を走るのがアルバルク東京だ。開幕前に日本バスケットボール協会でテクニカルアドバイザーを務めていたルカ・パヴィチェヴィッチ氏を新たにヘッドコーチに招聘し、外国籍選手も一新するなど、2シーズン目のBリーグを迎えるにあたり、クラブのバージョンアップを図ったA東京。今回、悲願のBリーグ制覇に初優勝に向けて、キーとなる3選手にたっぷりとお話を聞く機会を得た。その3回目は田中大貴選手。チームのエースとして、さらには日本代表に欠かせない存在としてプレーする田中選手を直撃した。
取材=バスケットボールキング編集部
写真=加藤誠夫
「ファイナルではリーグナンバーワンのディフェンス・チームになっていたい」
――Bリーグ2シーズン目、HCや選手が多く入れ替わりました。やりづらい、強いと思ったチームはありますか?
田中 東地区は激戦区なので、実際に試合をやってみないとわからないというのが正直な感想です。どこのチームもタフな戦いが続いていますよね。
――その中で、チャンピオンシップ出場、そしてリーグ制覇に向けて何が必要だと思いますか?
田中 本当にディフェンスがカギで、どれだけ激しく、インテンシティあるディフェンスを継続できるかだと思います。さらに、それを週の2試合でどれだけやれるかに尽きるかと。オフェンスはシュートが入ったり、入らなかったりするなど波がありますが、ディフェンスで波を作ってはいけません。昨季の栃木のように、優勝するチームは間違いなくディフェンス力が高く、相手のやりたいことを40分間やらせないのが徹底できていると思います。優勝するためにはディフェンスが大きなポイントだと思うので、自分たちもそういうチームになれるようにもっともっとレベルアップして、ファイナルではリーグナンバーワンのディフェンシブなチームになりたいです。
――前身のトヨタ自動車アルバルク時代から優勝が遠ざかっています。今季はいかがでしょうか?
田中 勝ちたいという気持ちは毎シーズン変わりません。これまでチャンスがあった中でなかなか優勝をつかめない状況が続いています。自分がこのチームに入ってから優勝を経験したことがないため、年を重ねるごとにその気持ちが強くなっています。入団当初からチームの主軸としてやらせてもらっているので、どうにかしてチームにタイトルをもたらせたいです。それが1回でもダメだと思っています。リーグが変わったことでアルバルク東京というチームができて、バスケットボールのスタイルやクラブのビジョンなどいろいろなことが手探り状態ですが、このクラブがリーグを代表するチームでないといけないなと思っています。“常勝クラブ”になっていくためにも、一発目のタイトルをチームにもたらすことはとても大事なこと。甘い世界ではありませんが、1回優勝を経験して、勝ち方を知っていくことで、この先がどんどん良くなっていくはずです。
――2016-17シーズンは開幕戦を任され、“絶対王者”とうたわれましたが、違和感やプレッシャーはありましたか?
田中 あまり感じませんでした。自分たちが言っているわけではなく、周りが言っていることなので、あまり気にすることではないのかなと思っていました。ただ“バスケ界のプリンス”と言われたことに関しては根に持っていますけど(笑)。
――今季はホームゲーム開催のメインアリーナが立川に移りました。他チームに負けないようにがんばろうというファンが増えていますが、アリーナ立川立飛の雰囲気はいかがですか?
田中 アリーナ自体はそこまで大きくないのですが、いい意味での圧迫感があって、すごくやりやすい雰囲気です。東京に拠点を置くチームのファンは地方チームと違って、“地元愛”がなかなか表現しづらかったと思いますが、今は多く観客が声を出して応援してくれているとすごく伝わります。自分たちはもちろん、ファンの方々も、一緒に成長していけていると感じています。
――とても楽しそうに応援していますよね。
田中 本当にいい方向に向かっていると思います。千葉さんや栃木さんの応援はすごく迫力がありますが、チームごとにいろいろな特徴があっていいのではないでしょうか。
――ファンの方との交流が増えていると思いますが、これまでと比べて意識は変わっていますか?
田中 試合を見に来てくれるファンの方々は、自分たちのクラブにとって本当に大切な存在です。近くでコミュニケーションを取れる機会はあまりないので、限られた中でいい時間を過ごしてもらいたいと思っています。またチームでは7歳の人形櫂世君をチームに招き入れて、様々な活動(療養のため社会から長期間離れてしまう子どもが社会に復学していくためのプログラム)をしています。チームだけではなく、リーグとしても、もっとこういった活動が増えていければと思っています。オールスターでは熊本の仮設住宅に足を運びましたが、自分たちが思っている以上に子どもたちはすごく影響受けているなと感じました。自分が逆の立場だったら、プロの選手に来てもらうのは本当にうれしいことなので、今後も活動を増やしていければなと思います。
――リーグ戦を戦っているとき、日本代表のことは頭のどこかに入っているものですか?
田中 頭の中には常にあります。リーグはリーグ、日本代表は日本代表と頭を切り替えなければいけませんが、代表活動に行ってから切り替えるのはなかなか難しいものです。ただA東京でやっていることは少なからず代表にもつながると思うので、日頃から代表のことも考えながらやっています。今回のような(代表活動の)レギュレーションは初めてのことで、スケジュールも厳しいですが、一番大事なのはその中でどれだけいい状態で試合に臨めるかですし、自分たちがコントロールできるものはしっかりしないといけないと思っています。自分はコンディション調整など最善の努力をしないといけないとはずです。
天皇杯を逃した今シーズンだからこそ、リーグを制したい!
――マイブームについて聞かせてください。食べ物などこだわりはありますか?
田中 こだわりは特にありませんが、コンディションの管理はしっかり意識しています。
――非常に几帳面な性格だと聞きました。家のリモコンの位置についてもうるさいとか。
田中 几帳面……。自分ではそれが普通だと思っているので(笑)。
――車の中や試合前に聴く曲は決めていますか?
田中 これを絶対に聴くというのはないので、シャッフルで流しています。自分は小島(元基)を送り迎えしているのですが、彼が曲を流すこともありますね。今はマイブームを作ったり、いろいろなことをやる時間が欲しいです。
――オフは何をしていますか?
田中 代表合宿がないときは基本的に月曜日が休みなのですが、ダラダラするのはあまり好きじゃなくて。いつもより長めに睡眠時間を取りますが、朝はしっかり起きて掃除したり、どこかにお昼ご飯を食べに行ったりします。この方がリフレッシュできて疲れが取れる気がします。
――おすすめのお店はありますか?
田中 小島とよく一緒に行く焼肉屋さんがあるのですが、そこのゆず冷麺がすごく美味しいです。締めで食べています。食事に関しては練習場でお昼を食べることもあれば、外で食べることもありますね。
――焼肉の好みは?
田中 タレや塩のこだわりはあまりないんです。お店の美味しいものを食べていますが、年を重ねるごとに脂っこいものが少しずつ苦手に。なるべくサッパリしたものがいいですね。
――最後に、ファンの皆さんへ向けてメッセージをお願いします。
田中 天皇杯優勝が一つの目標でしたが、逃してしまったのであとはリーグ優勝しかありません。チーム全員がリーグタイトルを取らなければいけないという思いが強くなりました。今はファンの方々が多くの声援を送ってくれているおかげで、いい順位にいると思っています。それを継続してさらに成長していき、いい形でチャンピオンシップに臨みたいですし、最後まで優勝を目指して戦いたいです。自分たちと一緒に、ファンの皆さんも、もっといいものにしていけるように、一緒に成長していきましょう。