2018.04.16
現在、Bリーグの各クラブは5月11日から始まる『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18』進出に向け、大切な終盤戦を迎えている。そのような状況の中、強豪ひしめく東地区において首位を走るのがアルバルク東京だ。開幕前に日本バスケットボール協会でテクニカルアドバイザーを務めていたルカ・パヴィチェヴィッチ氏を新たにヘッドコーチに招聘し、外国籍選手も一新するなど、2シーズン目のBリーグを迎えるにあたり、クラブのバージョンアップを図ったA東京。今回、悲願のBリーグ制覇に初優勝に向けて、キーとなる3選手にたっぷりとお話を聞く機会を得た。その3回目は田中大貴選手。チームのエースとして、さらには日本代表に欠かせない存在としてプレーする田中選手を直撃した。
取材=バスケットボールキング編集部
写真=加藤誠夫
――シーズン中に代表活動があるのは大変だと思います。
田中 A東京でハードな練習、試合をこなして、月曜から3日間の代表練習をハードにやると、やらなきゃいけない、頑張らなきゃいけないという状態がずっと続くので、しんどいのはしんどいですね。
――体が疲れているのはどういった時に感じますか?
田中 自分は動き始めの時に、体が重いと感じます。ただ、その状態でのベストを常に出していかなければいけませんし、慣れなのかなと。代表ではA東京の選手たちのコンディションニングが一番いいと感じますし、それは日頃からチームでハードにやっているからこそなので感謝しています。
――試合では20得点を取ってスコアリーダーになっていることもあれば、2ケタ得点に届かずにアシストが増えていることもあります。試合によって自分の役割を変えているんでしょうか?
田中 この試合ではこうしようとか考えてはないですし、毎試合同じようなパフォーマンスをしようとしています。相手の状況によって、シュートを打つのか、パスをするのかの判断は、自分の強みだと思っているので、その結果として得点が増えたり、アシストに偏ったりしているのかもしれません。HCからは「どんな時でも常にアタックモードでやれ」と言われています。それができている試合は20得点を超えるし、自分としては最低限20得点を目安にやっています。
――相手のディフェンスが寄ってきたところで、他の空いた選手にパスをさばくというプレーの使い分けは試合の中で見えていますか?
田中 相手が自分に寄ることで、チームメートがスムーズに動けるのであれば、それは自分が得点を挙げることと同じぐらい価値があることだと思っていますし、その結果アシストが増えているのはいい傾向と言えるでしょう。ただし、その中で自分の限られたシュートチャンスを決めきれずにシュート確率が良くないこともあるので、そこを確実に決めきれる、絶対的な存在になれるようにやっています。
――どんな存在になりたいのですか?
田中 自分が攻めなかったら相手は怖がらないので。自分からガンガン行くようなプレースタイルではなく、周りの様子を見て、ベストな判断をしようと心掛けてプレーしているつもりですが、それでもアグレッシブさが足りていないと。もっと積極的にリングにアタックしたり、得点を取りに行ったりするなど、強引でもいいからそういった姿勢を出していこうかなと思いました。言うのは簡単ですが、それを継続するのは難しいことで、それができなかったから得点がバラけています。
――バランスを見ながらも、アグレッシブにプレーするのは難しいことですよね。自身が一番得意なプレーは何ですか?
田中 HCがルカに代わって、ピック&ロールを多く使うオフェンスが増えました。自分はピック&ロールを使いながら得点を取れるプレーヤーだと思うので、そこは自分の武器ですし、もっともっとうまくなりたいです。
――ゾーンを使ってかわすのではなく、1対1で自分のマークマンを守るスタイルは大変ですよね。
田中 ゾーンでごまかすレベルまで到達していないと思っていて、まずは基本の1対1、ルカが求めるマンツーマンができなければ、チェンジング(ディフェンス)をしても意味がないとも言えます。まずは基礎の部分で、簡単にボールを持たせないこと、激しくプレッシャーを掛けることなどを徹底しなければいけないと思っています。
――基本的にマンツーマンで守るというHCの決まりがある中、ダブルチームでいかず相手のキープレーヤーに多くの得点を与えることもあります。選手たちはどのように感じていますか?
田中 新潟(アルビレックスBB)との試合で(ダバンテ)ガードナーにやられすぎていた中でも「(ヘルプに)行くな」という指示が出て、自分がしびれを切らしてヘルプに行ったら、思いきり3ポイントシュートを決められて。それでも、試合をやっているのは自分たちで、HCの指示の中でもいろいろと感じ取ってやらなければいけないと思っています。今はHCが指示を出して、それを貫くことで結果が出ています。
――千葉の富樫勇樹選手に42得点取られた試合もありました。
田中 ガードナーにやられた時は、もう少しインサイドでいい守り方ができれば失点を減らせたと思いますし、富樫の場合もピック&ロールを使って2対2でしっかり守れれば失点を減らせたかなと。富樫をマークしていたガードの選手がもっとプレッシャーを掛けることも必要だったと思います。
――試合中、ヘルプに行きたくなるときはありますか?
田中 状況を見ての判断だと思いますし、ヘルプに行かない、行っていないわけではなく、ガードの選手が行くふりを見せたり、ちょっかいを出したりすることで違ってくると思います。ただダブルチームを使って、ボールをさばかれて動かされるのではなく、僕たちが先手を取りつつ、気にさせることなどをうまくやっていけば、今のディフェンスのまま相手エースの得点を抑えていけると思っています。
――ディフェンスがうまくなっている、1対1が強くなっている実感はありますか?
田中 昨季よりも細かなルールを決められているので、ボールへのプレッシャーなどは激しくなっていると思います。選手たちも慣れてきていますし、(菊地)祥平さんや(馬場)雄大はもともとディフェンスの能力が高いので。自分はウィングでディフェンスができますし、ほかのチームにはない自分たちの武器だと思います。
――東地区1位をキープしているのも、ディフェンスがうまく機能しているからこそでしょうか?
田中 しっかりとディフェンスができていますし、その週の対戦相手の準備を、試合が終わった次の日からできています。試合だけではなく、練習や準備を細かいところまで徹底できていると思います。
――HCは戦術など細かな方ですか?
田中 細かいというか、注意深く確認しますね。相手の攻め方に対して、どうやって守るのかなど細かく指導してくれますし、ウォークスルーも長時間やります。僕たちは「まだやるの?」というくらい。オフェンスでは自分たちのパターンの確認が多いです。
<後編に続く>
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