2019.09.15

「最後まで諦めずにプレーしよう」…指揮官の言葉が実った大塚裕土の3ポイント

第4Q、今後につながる1本の3ポイントを沈めた大塚[写真]=B.LEAGUE
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「千葉県内で台風の影響で大変な思いをしている方々がいる中で、こうして試合ができたことに感謝しています。選手たちにも『感謝の思いを持ってプレーすること』、『気持ちが伝わるプレーをして、最後まで諦めずにプレーし続けること』は伝えました」

 9月14日の「B.LEAGUE EARLY CUP 2019 KANTO」の1回戦後、川崎ブレイブサンダースの佐藤賢次ヘッドコーチが口にした言葉だ。

 ともにケガ人を抱え各チーム8名での試合を強いられたが、川崎はサンロッカーズ渋谷に8点差で敗戦。それでも、試合終了残り6秒で66-74というほぼ勝敗が決定した中でも、選手たちはフロントコートからディフェンスを仕掛け、最後までボールを追いかけた。

「気持ちの部分では、しっかり伝えることができたのではないかと思っています」。敗れはしたが、佐藤HCは選手たちを称えた。

今季から川崎の指揮官に昇格した佐藤新HC[写真]=B.LEAGUE

 今シーズンから川崎に加入した大塚裕土は、先発に名を連ねて約23分間コートに立った。約2カ月間チーム全体で注力してきたディフェンスの部分では「いい時間帯も作れました」と手応えを口にしたが、オフェンスでは7得点と振るわなかった。持ち味の3ポイントシュートは「出だしから焦って打ってしまった」と、計6本中ネットをくぐったのは1本。だがその1本は、最後に川崎のスコアボードを動かした。

 第4クォーター残り7秒、スコアは63-74。鎌田裕也がオフェンスリバウンドで競り合い、そのこぼれ球を拾った藤井祐眞からコーナーにいた大塚へパスが渡った。この直前にも3ポイントを放っていたが決められず、大塚にとっても川崎にとってもこれがこの試合最後のシュートだ。大塚は藤井からパスを受けると、これまでの素早いタイミングではなく、キャッチしてから“一拍置いて”3ポイントを放った。

「自分としても丁寧に打った感じはありました」

 シュートは水物ではあるが、大塚がこの試合で決めた1本の3ポイントは、試合前の指揮官の言葉を遂行し続け、最後まで諦めずにプレーし続けた結果が生んだ3点だった。


 
「いい時もあれば、悪い時もある。今までそういった中でシーズンを過ごしている」と、32歳となったシューティングガードは言う。当然、この先プレータイムをどれだけもらえるかも保証されていない。川崎には日本を代表するシューター・辻直人もいる。

 大塚自身は「今は試合に出れていますけど、辻(直人)選手も帰ってきますし危機感はあります」と口にするが、ここまでの新天地での日々を「ハードに練習もできて、いい2カ月を過ごせています」と胸を張る。

大塚は熊谷尚也とともに先発の座を虎視眈々と狙っている[写真]=B.LEAGUE

「明日も収穫がある試合をしたいです。外国籍選手や代表メンバーがそろってないですが、このメンバーなら十分に戦えると思います」

 新天地でも必要不可欠な存在となれるか。大塚裕土の新たな挑戦は、まだ始まったばかりだ。

文=小沼克年