新連載『勝手にオレのチーム愛を聞いてくれ!』、略して『勝手にオレ愛』は…バスキン編集部とバスケコメンテーターの井口基史氏がBリーグチームを愛する業界人を独断と偏見で選び、チーム愛を徹底的に聞くという、誰が喜ぶかわからないが愛を思う存分語れるという大変名誉あるインタビューです。
我こそはというオレ愛に自信のある業界の方自薦他薦は問いません。有名かどうかより愛の深さを問う企画です。アピールをぜひよろしくお願いいたします。
もちろん申込みフォームはありませんのでブースター/バスキン編集部/井口さんへ愛が届くように頑張ってください…
「ファン・ブースターの皆さまへ」チーム愛優先ですので、特定チーム複数回やゼロの可能性をご了承下さい…#勝手にオレ愛
構成・文=井口基史
第2回後編 レバンガ北海道を愛する現代書道家・アートディレクター八戸香太郎さん「僕が選ぶレバンガ北海道歴代ベストファイブ!」
第2回は、現代書道家・アートディレクター八戸香太郎さんにレバンガへの思いを語っていただきます!
■プロフィール
八戸香太郎(はちのへ・こうたろう)1977生/北海道出身。
現代書道家・アートディレクター。1977年札幌生まれ。幼少より「書」を学び、大学時より京都で伝統的な書法と現代における書の可能性について研究。京都造形芸術大学大学院卒業後、大学講師を経てロンドンでアーティスト活動を開始。現在、ニューヨーク・東京・札幌をベースに幅広い領域で仕事を展開している。これまで20カ国以上で個展やパフォーマンスなどを発表。最近の悩みは朝起きてから筆を持つかバスケットボールを持つか決められないこと。スポーツではこれまで千葉ジェッツ、レバンガ北海道、北海道コンサドーレ札幌(プロサッカーチーム)、ヴォレアス北海道(プロバレーボールチーム)でスローガンやキービジュアルを手掛ける。Bリーグ専門番組「マイナビ Be a booster!」で題字も披露する、根っからのバスケ書道家。
八戸香太郎が選ぶレバンガ北海道歴代ベストファイブ!
――それではこのインタビューでの一番の名誉になります、「八戸さんが選ぶ歴代ベスト5」の発表をお願いします。
八戸 この取材依頼を頂戴してから、このテーマについて、多くのレバンガブースターを差し置いて自分が答えていいものか悩みました。でも言い訳じゃないですが、これを読まれている皆さんも是非やってみてください! 本当に寝られないくらい悩むんですから(笑)。それでも選ばせていただけるのであれば、まずレバンガを愛する仲間に伝えたいのは、道産子選手を贔屓目に見てしまう習性はもはや隠せないということ。しかしながら、これまでレバンガを作り上げてきたのは道産子ではない折茂選手であり、その土台があって初めて我々は今のレバンガに一喜一憂できるということです。結論から言いますと、そこに最大限のリスペクトを捧げた場合、引退した折茂選手をベスト5というカテゴリーにあげるのは失礼ではないかという。歴代のベスト1、レバンガMVPなら考えるまでもなく9番一択になります。しかしベスト5というかたちであれば、未来のレバンガをイメージした上で現役選手の中から考えたい。きたえーるに掲げてある永久欠番9番のユニフォームをじっと眺めながらそう考えました。
――うぉー! そうきましたかー! リスペクトと批判を同時に満足させるタイムアウトの使い方ですね!
八戸 その苦悩のうえで各ポジションを考えていきたいですが、まず5番から行かせてください。というのもレバンガはずっと1、2番が豊富なんですよね。逆に5番の選手の獲得には苦戦してきたように思います。本当のセンターという意味では、パーソナリティも含めてデイビッド・ドブラス選手(熊本ヴォルターズ)は大好きな選手です。日本で再びプレイするときはレバンガファンも沸きましたし、貢献者であることは間違いない。それと同時に、宮永HCが掲げている『速い・走るバスケ』でいうと、マーク・トラソリーニ選手(茨城ロボッツ)の方が4番寄りの選手ではありますが、フィットする可能性が高いのではとも考えました。
――二人の貢献者を1つのポジションで考えると難しいですもんねー。
八戸 5人しか選ぶことができないという難しさの中で、ノスタルジーに浸る考えと、未来のレバンガを考える対極が入り乱れたベスト5になってしまいますね。あれ? シックスマンは選んではいけないんですよね??
――あの~八戸さん。1人目の5番もなかなか言わないですねー。
5番 ニック・メイヨ(2020-)
八戸 やっぱり宮永HCが走るバスケを目指すのであればということで、ニック・メイヨ選手に決めさせて頂きました。ゴメンなさい! 結局、現メンバーかい! という声は分かるのですが、これからのレバンガという意味でまだ23歳という若いメイヨ選手の速攻にからんでくれる姿を優先してしまいました。彼も本来は4番なのですが、30分を超える出場時間であれだけ働いてくれるメイヨ選手には頭があがりません! 外国人選手でまだ伸び代もあるという貴重な戦力ですよ。
――ガチガチのセンターは置かず、マルチな仕事と若いメイヨ選手に託したという判断ですね。
八戸 次にポイントガードのポジションで考えたのは、1番であり3番でもある選手の選択です。
――それは大きなヒントですね! ここであの選手を1番で起用してきますか!!
八戸 そうです。もうお分かりですね。そもそも桜井選手は当時としては斬新な大型ポイントガードとして北海道へ来てくれました。そこであえて1番桜井選手、2番多嶋選手という超攻撃的な陣容はどうだ!? と思って想像をめぐらしてみたのですが、結果的にちょっと自分のワガママがすぎるかなとやめておきました……(笑)。
1番 橋本竜馬(2019-)
八戸 ということで、やはり北海道のポイントガードは橋本選手に背負ってもらいましょう。ここまで言っておいて、また結局現メンバーかい! と言われるとは思いますが、はっきり言って橋本選手が北海道に加入するという一報は、折茂選手、桜井選手が加入した時以来のビッグニュースでした。日の丸を背負ってきた橋本選手が北海道に来てくれるあの衝撃は、本当にうれしかったです。なぜ彼が素晴らしいかと言うと、数少ない「勝ちのメンタリティー」をチームに持ち込むことができる選手だから。是非ともここから第二の礎を築いていってほしいですね。練習からとても激しいですし、声もよく出しています。コートの内外で感じる彼のキャプテンシー。あれ、レバンガ在籍10年だっけ? と錯覚してしまいます。若い選手たちが彼のようなリーダーからどのように学んで行くのかも楽しみでなりません。
3番 桜井良太(2007-)
――では、3番が桜井選手ということですかね。
八戸 そのとおりです。彼のアスレチックな部分だけでなく、ベテランになってから見せてくれるディフェンス面での貢献や、チーム事情で本来のポジションじゃない場所でも、体を張ってくれる姿は胸にくるものがあります。連続出場記録(636試合)が有名ですが、いろんなケガを抱えながらも、休まずコートに立ち続けることの偉大さは言っておきたいですね。あんな甘いマスクでも鉄人なんです(笑)。オフコートではクールですが、コート上ではめちゃくちゃ熱い。言わずもがな、我々にとって桜井選手はもう完全に道産子ですよね。
――それくらい桜井選手は北海道にとっては特別な存在だということですね。
4番 野口大介(2007-19)
八戸 ストレッチ4の作戦でいく場合、もう一方のウィングに元祖・道産子バスケ選手の野口大介(サンロッカーズ渋谷)はやはり外せない。東海大四高から日体大を経て北海道にプロとして帰るという、初めてのコースで入団してくれた、多くの方が思い入れのある選手でもありますよね。
――ということは、唯一の道産子&外国籍選手オンザコート1になりますか?
八戸 申し訳ないですけれど、オンザコートうんぬんの前に野口選手だからこそ勝てる場面を想定して選んでいます。むしろ「勝手にオレ愛」はオンザコート1や2というルールがあるのでしょうか?
――大変申し訳ございません。マイチーム愛を聞く企画ですので問題ございません……。
八戸 それに、彼の背番号23番には、北海道バスケ関係者にとっても特別な意味があります。彼の高校・大学のバスケットの先輩であり、悪性リンパ腫のため38歳の若さで亡くなった、元中学教諭の佐藤竜弥さんの背番号です。闘病を励まそうと日体大OB関係者とレバンガが一緒となり、2015-16シーズンに1日入団した事があります。それ以来、野口選手は背番号を23に変更しました。その経緯を知る、佐藤さんと同世代の北海道のバスケ仲間はいつも野口選手に感謝していますよ。私もその一人です。私と佐藤さんは同学年で中学・高校時代と何度となく対戦してきた仲間ですから。野口選手はそういう優しい男なんですよ。
――きっと野口選手は自らが道産子プレイヤーということに誇りをもっているんでしょうね。
2番 ????
八戸 あえて2番は発表しないということもできますでしょうか?
――あの……いいんですけど理由を教えてもらえますか?
八戸 ここまで決めるのもかなり大変な作業だったんですから、そんなに追い込まないでくださいよ(笑)。どうしてもレバンガがリードしている展開は少なくなるので、2番は大事な最後の切り札になりますからね。そして最初に折茂さんを入れない決断をしたことがこんなに重くのしかかってくるなんて……。やはり今更ながら偉大すぎる選手です。
その上で考えました。長いですが聞いてください笑
1.追いかける展開では橋本選手と関野選手(サンロッカーズ渋谷)の鬼のプレスディフェンスがみたいなぁとか。
2.やはり橋本選手と多嶋選手のコンボガードは有効だよなぁとか。
3.ジョーダン・テイラー選手はこれからどうフィットしていくのかもっとみたいなぁとか。
4.西川(貴之)選手(三遠ネオフェニックス)のサイズと身体能力があれば道産子ビッグラインナップで凄いぞ!とか。
5.逃げ切る場面では阿部選手(富山グラウジーズ)のコントロールをまたきたえーるでもみてみたいなぁとか。
6.ピュアシューターなら松井啓十郎選手(京都ハンナリ―ズ)もいるぞ! とか。
7.いやいや葛原(大智)選手は2番でも機能するポテンシャル持ってるぞ! とか。
8.根強い川邊(亮平)選手、(マーキース)カミングス選手、溝口(秀人)選手たちの待望論もありますからね。
――たしかに北海道にゆかりある選手を全員言いましたね……。
八戸 ここが勝つか負けるかの勝負の分かれ道ですから! 全集中して後日電話します!
2番 ツカサ・ナカノ(2019-)
八戸 はい、決めましたよ。決めるしかないんですから!(笑)ここはやはり未来を託します。折茂さんの後継者になれる可能性を持った選手は彼しかいない。井口さん風に言うとツカサ・ナカノですよ! また結局現メンバーかい! て話なんですけどね。でも中野選手にはそれくらい期待しています。また若い選手たちの代表として彼を入れた思いもあります。というのも、この企画をまた10年後にやってほしいんです。その時はベスト5に内田選手、中野選手、葛原選手、玉木選手と外国人選手、に塗り替わっているかもしれない。それくらいの気持ちで若い選手たちを観ていますからね。ぜひ中野選手には今シーズン中に30点取る試合を期待したいです。
――たくさんの「勝手にオレ愛」をいただきました。これからレバンガがどんなチームになってほしいと思っているか教えてください。
八戸 私の思いとしては3つの目標があります。やっぱり生きているうちにファイナルまで行く姿は観てみたいというのがありますね。優勝するかどうかは、その日の調子次第なので優勝してくれとは言いません! そんな簡単にファイナルに行ってもらっても困るのですが、ファイナルを横浜アリーナで戦う姿を見たらきっとブースター仲間と泣くだろうなぁとは思います。
――きっとそんなに遠くない時に観られますよ!
八戸 また、この世界はスポーツであると同時に、ビジネスであることも事実です。ビジネス的に成功しなければ球団の存続はありません。厳しい現実ですが、私の想像する未来の目標として、30億円規模の企業になってほしいと思っています。なぜその数字かというと、現在の北海道コンサドーレ札幌に近い規模感なんです。そこまで20年以上かかりました。もちろん競技やリーグ規模も異なりますが、レバンガだってあと10年かけて30億円規模になれれば、選手の待遇も変わるし、環境が整備されるし、ファンやブースターへのサービスも変わるでしょう。できることが増えてくると、視野が広がり、地域貢献活動など北海道の発展に寄与できるのではないかと思っています。その過程において、自分にできることは些細なことでもいいので取り組んでいきたいですね。レバンガアリーナの夢も当然見ますし。
――ファンであり、ブースターであり、地域貢献できることを探してらっしゃるのですね。
八戸 そして最後は、やはり現メンバーから日本代表に選出される姿をみてみたいですね! レバンガからのお知らせで「●●選手は日本代表合宿参加のためイベントには参加できませんのでご了承下さい」と発表される気持ちを味わってみたいなー。きっとイベントに来られなくて残念だけど、最高な気分でしょうね。「あー。今日は代表合宿かー。じゃあ仕方ないなー」って言ってみたいですね‼ もちろん代表の試合は確実に観に行きます。
――ありがとうございました。もうお腹いっぱいです。書道家としてのお知らせがあればお願いします。
八戸 このような社会事情ですから、密に人が集まる活動は自粛しているのですが、最近の仕事ではバスケットボール革を使ったアイテムを展開している「leather-g」さんとのコラボレーションで、書の黒を生かした「Black Edition」のアートディレクションを担当しました。プロモーション用の映像制作やウェブページの制作ですね。本物のバスケットボール革を黒に染め上げたスペシャルバージョンですので、良かったらチェックしてみてください! leather-gさんはレバンガのスポンサーでもあるので、当然ながらお声がけ頂いたら全力で協力します(笑)。あと、シーズン後半ではレバンガ北海道の特別指定選手である山口颯斗選手が皆さんとの対戦で爆発するかもしれませんが、爆発しても怒らないでくださいね。いやー、若い選手が豊富になってきました。期待しかない!! 最後に一言だけ言わせて頂くと、今シーズンに限ってはBリーグがスケジュールどおり最後のファイナルまで開催できた場合、チーム・選手・リーグ・ブースター・メディア、関係する全ての人たち、みんなの優勝って事でひとつ宜しくお願い致します(笑)。それくらいの気持ちで一致団結して、万全の体調と万全の観戦スタイルで協力していきましょう!!
(このインタビューは2020年12月末〜2020年1月に行われました)
~ビーコル芸人 鬼ヶ島・和田さんに続き、第2回目に登場した現代書道家・八戸さん。レバンガと北海道への愛をひしひしと感じるインタビューで「勝手にオレ愛」のグレードをグッと引き上げてくれました。次に「勝手にオレ愛」を語れる業界人は現れるのか!!
(協力:レバンガ北海道/マイナビ Be a booster!)