2023.04.20

群馬県太田市に新たに誕生した『夢のアリーナ』のこけら落としで超満員の観客大興奮

OPEN HOUSE ARENA OTAのこけら落とし第2戦に5477名の観客が詰めかけた [写真]=B.LEAGUE
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 Bリーグが掲げる『夢のアリーナ』を形にした「OPEN HOUSE ARENA OTA(太田市総合体育館)」がついにオープン。群馬クレインサンダーズがホームアリーナとして使用する記念すべきこけら落としに、同じ北関東のライバルでもある宇都宮ブレックスを迎え、新たな歴史を華々しくスタートさせた。

 4月16日の第2戦には5447名のファン・ブースターが詰め掛け、超満員の中で激しい戦いが展開。前日の試合で最大14点のリードを第3クォーターにひっくり返されて敗れた宇都宮が、この日はゲーム序盤から持ち味の強固なディフェンスをチーム全員が展開し、群馬を圧倒。前半で28得点差のリードを奪うと、後半も試合の主導権を相手に渡さず、最終的にはロスターが全員得点を挙げ、82−57で勝利を収めた。

「前日の反省を選手たちが修正してくれた。外国籍選手が1人欠けていたり、他の選手も満身創痍の中でもチームを勝たせたいという気持ちを持って全員が頑張って、ファンの方々に1勝を届けたい一心で戦った。そこでしっかり戦えたことに対して、本当に選手たちを誇りに思う」とプライドを持って戦った選手たちを讃えた、宇都宮の佐々宣夫ヘッドコーチ。

 そしてアウェーではあるが、群馬の新たなホームアリーナを「自分が子どもの頃から考えると、思いがけない」とコメントしたうえで、「本当に音響とかも含めて素晴らしいなと思うし、試合に集中できるイメージがあった。こういう環境に対して凄いなとか言う前に、整備してくれる人たちがたくさんいる中で、プレーで責任を果たしていかないといけない」と感想を述べた。

「プレーで責任を果たしていかないといけない」と語った宇都宮の佐々HC [写真]=鳴神富一


 この試合で宇都宮の大黒柱でもあるジョシュ・スコットが欠場した中で、しっかりとその穴を埋めてリバウンドを中心に大活躍し、「準備を常にして、仕事をしっかり果たしてくれる大きな存在」(佐々HC)と評価された大ベテランの竹内公輔

「前日悔しい負け方をして、どうしても今日は勝ちたかった。素晴らしいアリーナの柿落としで連敗すると、スコットにも責任を感じさせてしまうと思った。そうならないためにステップアップして勝利できたことが良かった。残り試合、CS進出が途絶えた中でファンに勝利で恩返ししたいし、精一杯戦っているところを見せたい」と試合を振り返る。

 そして、このアリーナに対しては「こんな場所で30試合戦えるのは、うらやましいでしかないですね、本当に(笑)。ここはセンタービジョンがすごく綺麗だし、迫力があった」と率直な感想をコメントしてくれた。

ベテランの宇都宮・竹内公輔は「こんな場所で30試合戦えるのは、うらやましいでしかない」と笑顔を見せた [写真]=鳴神富一


 一方、記念すべき新アリーナの柿落としで連勝とはならなかった群馬。水野宏太HCは「超満員の中で来てくれた皆さんに、僕たちは見せたかった試合ではない内容を前半見せてしまったことは本当に悔しい。後半戦うことができた分、なぜ前半にできなかったのか。この素晴らしいアリーナで今日のような試合は、もうしたくないのが正直な気持ちです」と非常に悔しい表情を見せつつ、試合を総括した。

 それでもこの新たなホームアリーナで戦った2日間を、「ものすごく気持ちが昂りましたね」と感想を述べて、言葉を続けた。「このアリーナがコンパクトというテーマがある中で、何よりも一体感が非常に素晴らしかった。そして、あのアリーナに入った瞬間に見えるビジョンとコートの雰囲気、色の統一感。すごく驚きや喜びを与えられるんじゃないかなと、心の底から思えるくらい。自分自身も太田市民なので、住んでいる街に象徴となるアリーナができたことは非常に喜ばしい。だからこそ、自分たちのやるべきことを表現しないといけないと改めて感じた」。

太田市在住の群馬の水野HCは「住んでいる街に象徴となるアリーナができたことは非常に喜ばしい」 [写真]=鳴神富一


「後半は自分たちのやりたいことができたが、前半にできなかった。前日にはしっかりとボールを回して回避できたことが、今日は相手のプレッシャーに慌ててしまい、難しいオフェンスを選択してしまった。その部分が勝敗を分けたと思う」と冷静な分析をしたのが、司令塔の並里成

「本当に幸せでしたし、最高でした」と新アリーナでの2日間を笑顔で振り返りつつ、「ファンの皆さんも純粋に心からバスケットを楽しんでいる声が聞けたのは良かったと思う。そういう中でプレーできるのは幸せだし、このクラブの未来が明るいっていうふうに感じられた2日間だった。でも、この環境は自分の含めて当たり前じゃないと思ってほしい。改めて支えてくれている全ての人たちに対して、恥じないように、楽しかったと思ってもらえるようなプレーをしたいです」と、最後は自分自身に何かを言い聞かせるようにコメントをした。

群馬の並里は「本当に幸せでしたし、最高でした」と笑顔で振り返った [写真]=鳴神富一


 コンパクトというテーマの元、その中に全ての興奮と感動を詰め込んだ新アリーナが太田の地で産声をあげた。日本バスケ界の歴史の1ページに新たに刻まれた2日間になったことは間違いない。

文=鳴神富一

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