2024.02.23

【井口基史のスカウティングレポート】やっぱり気になるお金について(前編)「営業収入」ランキング2022年度版

国立代々木競技場第一体育館をホームにしたA東京が収入ランキング1位に [写真]=B.LEAGUE
鹿児島南高-愛知学泉大-カリフォルニア州立大ベーカーズフィールド校-ベーカーズフィールドカレッジ出身。帰国後FIBA国際代理人資格をアジア初の受験取得。プロリーグ発足後まもなく資格返納しチームスタッフへ。富山-滋賀-岩手-大阪でスカウト/通訳/GM/クラブ代表を経験。現在は様々なカテゴリーのバスケ解説を務める。座右の銘「一緒に日本のバスケを熱くしよう!」

今回で4回目となるクラブ決算概要レポート。皆さまのおかげで続けさせていただいています。いつもありがとうございます!
今回は2023年11月22日に発表された「B.LEAGUE 2022−23シーズン(2022年度)クラブ決算概要」をもとに、マイクラブとリーグの現在地を知っていただければ幸いです!

※現在進行しているシーズン決算ではなく、昨シーズンの決算についてのレポートです。ご注意ください。

文=井口基史

■営業収入トップはアルバルク東京

 各クラブの営業収入はどれくらいの規模で、順位はどうなっているのか。2022−23シーズンの営業収入ランキングは以下のとおり。



 アルバルク東京千葉ジェッツが営業収入で25億を突破! ちなみに2022年度のJリーグ・J1クラブの平均売上が48億円です。事業規模が違うために単純に比較はしにくいのですが、J1売上下位クラブと比べるとBリーグのトップ2クラブが上回っており、今後も上回るBリーグクラブが増えるかもしれません。

 昨期決算で20億円を超えていたのは千葉Jのみでしたが、A東京、千葉J、琉球ゴールデンキングス川崎ブレイブサンダースの4クラブが突破。このうち新アリーナ運用開始済みは琉球のみですので、さらなる営業収入増のポテンシャルを秘めていると見ていいでしょう。

■Bプレミア基準到達クラブは?

 2024年10月初回審査を予定しているBプレミアが求める基準は当初「売上12億円・入場者数4,000名・収容人数5,000人以上等の基準を満たすアリーナ」でした。

 当初に発表されていたBプレミア基準のうち売上12億円だけで焦点を当てるとすでに16クラブが到達しています。ただし2026−27開幕時に最大18クラブを想定していた参入条件を満たすクラブがそれを超える可能性が出てきたことを受け、3次審査をクリアするクラブは全て受け入れる発表が(2023年12月19日)されています。

●3次審査クリアに必要な基準は
「売上12億円/入場者数3,000名/収容人数5,000人以上等の基準を満たすアリーナ」(1期)
 もしくは
「売上9億円/入場者数4,000名/収容人数5,000人以上等の基準を満たすアリーナ」(1期)

●昨シーズン(2022-23シーズン)売上でBプレミア基準到達クラブ数は下記のとおり
・12億円以上達成クラブ=16(平均3,000人を達成したとして)
・9億円以上達成クラブ=19(平均4,000人を達成したとして)

■格差は拡大

 1位のA東京と24位の富山グラウジーズの差は約20億円。昨シーズンの両クラブの差は約11.7億円でしたので、その差はさらに広がりました。全てが平等といかないのがプロの世界――、とはいえ、この差が与えるインパクトは想像でき、もう創意工夫だけでは乗り越えられえない差を受け入れるしかないでしょう。Bプレミアが求める基準には、ピュアな県民球団や、これまで是とされてきた地域密着だけのスタイルでは届かない現実が突き付けられている気がします。

■B1昇格に必要な売上は?

 昨シーズンB1昇格したのはファイティングイーグルス名古屋仙台89ERS。FE名古屋が9.4億円、仙台が7.4億円の売上ですので、B2ブースターにとってはマイクラブがの売上が7.4億円を超えているとB1昇格の可能性はグッと高くなると思っていいでしょう。

 ただし滋賀レイクスはBプレミアに必要な12億円以上の13.2億円を達成しながらもB2へ降格。「B1昇格→B1に居続ける→Bプレミアに居続ける」ために必要な売上チャレンジがずっと続きます。お金の話と切り離せないのがプロスポーツ。一度マイクラブの売上がどうなっているかチェックしてはどうでしょう。知りたかったことも、知りたくなかったことも見えてしまうでしょう!

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