2023.02.02

【井口基史のスカウティングレポート】やっぱり気になるクラブのお金について(前編)「営業収入」ランキング2021年度版

今回も収入ランキング1位は千葉ジェッツ [写真]=B.LEAGUE
バスケットボールコメンテーター

今回で3シーズン目となるクラブ決算概要のレポート。マイチームを愛する皆さまのおかげでご好評をいただいております! いつもありがとうございます! 
今回は2022年12月13日に発表された「B.LEAGUE 2021‐22シーズン(2021年度)クラブ決算概要」をもとに、マイチームとリーグの仲間の現在地を知っていただければ幸いです!

現在進行しているシーズンの決算ではなく、昨シーズンの決算についての直近レポートです。ご注意ください。

文=井口基史

■2021−22シーズン営業収入ランキングのトップは千葉ジェッツ

 各クラブの営業収入はどれくらいの規模で、順位はどうなっているのか。2021−22シーズンの営業収入ランキングは以下のとおり。

・わかりやすく表現するため金額は100万円単位以下は切り捨てとしています
・3月決算など決算期間とシーズンが同じでないクラブがあります。新潟が4月から6月に決算期を変更(A東京・SR渋谷・川崎・新潟・三遠・三河・名古屋D・大阪・島根・山形・FE名古屋)

■新B1当確チームは?

【2021.06.22発表「将来構想」 審査基準等の概要決定 新B1初回審査は2024年10月予定】より


【新B1入会基準・1次審査】(審査:2022-23シーズン開始 / 新B1:2026-27シーズン開始)
●売上高:12億円以上(2期連続)
●入場者数:平均4000名以上(2期連続)
●アリーナ:新設アリーナ基準充足/カーディング設定可能な109日の確保

 昨シーズンの決算より、すでに営業収入約12億円を突破しているチームが「9チーム」あることが分かります。約12億円到達が近い、10位・名古屋D、11位・北海道までが、現在進行中・2022-23シーズンで仮に約12億円にすでに達成しているとすると、入場者数とアリーナに関する基準を除き、「11チーム」が当確になっている可能性が推察できます。

 チーム数が偶数での新B1開幕が望ましいとするならば、残りはあと1枠とも言えますが、基準をクリアしていれば門と閉じるリーグではありません。審査はその後も続いていくため、基準達成を目指した各チームのコート外の戦いも現在進行中と言えるでしょう。

■債務超過も見ておこう

 群馬 / 横浜BC/ 新潟 / 富山 / 三遠 / 滋賀 / 京都 / 山形 / 福島 / 東京Z / 奈良 / 香川 / 愛媛 / 佐賀 / 熊本の15クラブが現在は債務超過の状態にあるが、すでに福島は2022年10月時点で解消済。

 コロナ禍により、クラブライセンス交付条件の緩和があったが、B1クラブでは2023年6月期なので今シーズン中になんらかの方法での解消が求められ、B2クラブでは2024年6月期までに解消の必要がある。コチラは新B1入会基準ではなく、既存のクラブライセンス交付に必要なため、チームの成績に関わらず、来シーズンどこで戦うかが決まるライセンスの行方にも注視が必要です。

■県民球団は新B1へサバイブできるのか?

 入場者数とアリーナに関する基準を除き、新B1入会基準・1次審査に必要な売上高12億円を突破し、大資本をオーナーに持たない、いわゆる県民球団といわれる形態のクラブは宇都宮だけとすると、近年オーナーチェンジが進むBリーグにおいては、新B1基準を満たすにために、変化が必要な時期にきているのか。かつては県民球団として発足し、地域と共に支える大資本を迎え入れた、ハイブリッド型ともいえるクラブも増えている動向をみながら、何がベストな運営形態なのかは、各クラブだけでなくファン・ブースターも自分のこととして捉えていくことが、チームが持つカルチャーの礎になると思います。

クラブ決算概要資料はコチラ
B.LEAGUEとは | 経営情報 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト https://www.bleague.jp/about/management/

 ファン・ブースター・スポンサーから預かった営業収入が、コロナ禍の環境でもほぼ減っていないということを、選手たちにも知っていてもらいたいと思います。またコート上で戦う選手・スタッフだけでなく、チームを支える球団職員たちの奮闘にもエールを贈りたいです。営業収入ランキングを見て、改めてリーグを支えるファン・ブースター・スポンサーの存在に感謝したいと思います。

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