高校バスケの最高峰「ウインターカップ」の活躍で名を馳せた選手の一人に、明成高校(宮城県)初の3連覇に貢献し、卒業後はアメリカへと活躍の場を移した18歳八村塁(現ゴンザガ大学)がいる。そんな日本トップレベルの高校生たちが頂点を目指すこの大会は、将来Bリーグや日本代表を背負って立つようなスター選手の宝庫でもある。そんな彼らを元NBA選手はどう見るのか。アルバルク東京のディアンテ・ギャレットに各選手のプレー動画を見てもらい、その印象を語ってもらった。
構成=青木美帆
写真=新井賢一
■カリーから3ポイントを決めた男 大倉颯太(石川・北陸学院高校⑫/2年/184cm)
野々市市立布水中学(石川)時代に全国制覇を達成し、高校でも1年時から主力として活躍する大倉。今秋はスポーツメーカー主催のアジアキャンプに参加し、ステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)とのマッチアップで3ポイントを決めるという貴重な経験を積んだ。下級生ながら堂々たるオーラをまとい、物怖じしないプレーで得点を積み重ねる将来のスター候補を、ギャレットはどう見たのだろうか。
「ボールを持つとスピードが増すタイプの選手なのかな。ハンドリングが非常にいいからボールを失わないんだ。トリッキーなプレーもあるし、ドライブも強い。ピック&ロールの使い方もいいしフローターのタッチもなめらかだね。非常に能力の高い選手の1人だと思う」
■変幻自在のツインズガード 重冨周希(福岡・福岡第一高校④/3年/172cm)&友希(同校⑤/3年/172cm)
一目見ただけでは判別がつかないほどよく似た双子の兄弟が、ガードとしてタッグを組む。小柄ながら強じんな脚力を持ち、そのスピードは抜群。兄から弟へ、弟から兄へと自在に繰りだされるパスには、相手チームも観客も翻ろうされることだろう。ギャレットも、この双子のコンビプレーを楽しそうに見つめていた。
「非常にスピーディだね。リングに向かうクイックネスさとアグレッシブさがある。身長の低い選手は高い選手よりもずっとがんばらなきゃいけないということを、彼らはちゃんとわかっているし、身長差を恐れていない。対戦相手からしたら嫌な2人だと思うよ。ちょこまか動く小さな選手はフラストレーションが溜まるんだ(笑)。2人の間でかわされるパスは、恐らくパスをする前にもう一方がその場所に行っているという感じだと思う。何を好むのか、何が苦手なのかがすべてわかっているはず。これは兄弟でしか持ちえないプレーだね。高校卒業後もサイズには苦労すると思うけど、ハードにアグレッシブにプレーすること。負けない、恐れないという気持ちを持つこと。そうすればいいところまで進めると思うよ」