2017.09.18

大阪学院大が1点差の死闘を制してウインターカップ出場決定

接戦を制しウインターカップ出場を決めた大阪学院大 [写真]=平野貴也
スポーツライター

 高校バスケットボールの祭典、平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ2017)の大阪府予選男女決勝戦が、9月18日に金岡体育館で行われた。男子は大阪学院大学高校が62-61で阪南大学高校を下して、3年ぶり3回目の出場(※選抜優勝大会出場回数)を決めた。

 大阪学院大の主将、高田知毅(3年)は「研究していてもうまくプレーできなかったけど、良い時に仲間がチームプレーをしてくれた。点数を取れなくてもディフェンスや声を出すことで粘って、とにかく集中力を切らさずに戦おうと思った。シーソーゲームになって『気持ちの強い方が勝つぞ』と声をかけた。最後の2分でそれを出せた」と試合を振り返る。また、「インターハイ(全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会)では1回戦で負けているので、ウインターカップの全国大会は、挑戦者の気持ちで臨みたい。大阪代表として1つでも多く勝てるように、これからさらにチームを引っ張っていきたい」と次の舞台への意気込みを語った。

キャプテンの高田知毅(右)[写真]=平野貴也

 守備でリズムを立て直し、接戦に持ちこんで底力を見せた大阪学院大だったが、試合の立ちあがりは阪南大のペースだった。スピードとハンドリングの技術に長けるポイントガード、浦野泰斗(3年)がキレのある動きを見せ、ゴール下では中原啓太(3年)が活躍。第1ピリオドで15-22とリードを許した。

 しかし、大阪学院大はゾーンディフェンスで中央を固めて対抗。守備からの速攻とリバウンドの制圧でじりじりと点差を詰めた。ともに身長192センチを誇る田中透希、金田龍弥という2人の2年生ビッグマンの存在も活きた。

 高橋渉ヘッドコーチは、チームの持ち味である堅守速攻のベースに立ち返ったことが効果を発揮したと振り返る。「相手にゾーンで守っているとハッキリわかる形にしたことで、相手が切りこんでこなくなった。守備は、攻撃のリズムを作る。ウインターカップは、やっぱり簡単には勝てない。でも、選手は早く結果がほしいから焦って、『シュートが入る』『入らない』という結果ばかりを気にしていた。試合の途中で開き直って(シュートの正否にこだわらず、速攻やリバウンドに)走りだしてから、リズムができた」

 相手の攻撃を止めることで少しずつ試合のペースを手繰り寄せた大阪学院大。しかし、阪南大は第2ピリオドのラストプレーで浦野が強引なドライブから見事にシュートを決めて盛りあげ、簡単にはリズムを渡さなかった。

 大阪学院大が追いあげを見せたのは、26-33で迎えた第3ピリオドだ。神野力哉(3年)の外角シュート、大椙誠也(3年)のドライブ、江木亮太(3年)の3ポイントなどで、ついに1点差と迫った。

 45-46で始まった第4ピリオドは、完全なシーソーゲーム。江木の3ポイントシュートで49-48とついに逆転し、さらにリードを広げて54-48としたが、阪南大の加藤丈寛(3年)が3ポイントを2本連続で決めて追いつき、試合は最後まで拮抗した展開で進んだ。

 残り時間52秒で1点を追う大阪学院大は、神野がしぶとくシュートを決めて62-61と再び逆転。それでも、残り42秒の再開から、阪南大は中原啓太(3年)がドライブを仕掛けてファウルを獲得。神野はファウルアウトとなった。

 しかし、中原が放ったフリースロー2本は決まらなかった。その後、大阪学院大が時間を最大限に使い放ったシュートが落ちると、阪南大がボールを得る。最後にブザービーターを狙ったが入らず、62-61のまま死闘に決着がついた。

チームの追いあげの中心となった神野力哉 [写真]=平野貴也

 得意のジャンプシュートで勝利に貢献した江木は「僕はケガでインターハイは出られなかったので、全国大会は中学校以来。チームの目標は、ベスト8以上。挑戦者の気持ちを忘れず、1回戦から学院らしく泥臭く戦って勝っていきたい」と躍進を誓った。

 各都道府県予選の優勝チームに加え、全国高校総体の優勝、準優勝、さらに開催地(東京)代表の全50チームが日本一の称号を争う全国大会は、12月23日から29日まで東京体育館で行われる。

取材・文=平野貴也