2017.10.25

宮城女子は聖和学園が7年連続出場。「夏のベスト16を超え、ウインターカップのメインコートを目指す」

聖和学園が宮城県を制し、7年連続となるウインターカップ出場を決めた [写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

 10月14日から16日にわたり、気仙沼市総合体育館にて、宮城県高校バスケットボール選手権大会兼平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ2017)予選が行われた。女子は聖和学園高校が明成高校を下し、7年連続27回目のウインターカップ出場を決めた。聖和学園の男女アベック出場は3回目となる。

“宮城の2強”決戦を制した要因はリバウンド

聖和学園の相原百良 [写真]=小永吉陽子

 聖和学園と明成は毎年覇権を争う県内最大のライバルだ。2008年から2010年は明成が3連覇し、その後は聖和学園が6年連続でウインターカップの出場権を獲得している。今夏のインターハイ(全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会)予選でも大接戦となり、聖和学園が75-71で明成に辛勝してインターハイの切符をつかんでいる。今年も火花を散らした決勝では、聖和学園が序盤から先行する形でゲームは進められた。

 聖和学園はキャプテン髙野柚希が前半で4本の3ポイントシュートを決めて流れをつかむと、スクリーンプレーからノーマークを作りだし、次々にミドルシュートを決めて先手を取る。明成はディフェンスをチェンジングさせて対抗し、赤石光、古郡はづき、中井香乃花、植松里唯奈らの得点で追いかけるも、聖和学園のリバウンドからの速い展開に押しきられて、終始追いかける展開に。試合をとおして相原百良、鈴木三菜らの高いシュート確率を披露した聖和学園が85-63で明成を振りきり、優勝を遂げた。

明成の中井香乃花 [写真]=小永吉陽子

 最終的に22点もの差が開いたが、聖和学園は一度も手を緩めることはなかった。「明成はいつも気迫があるバスケットをしてくるので、自分たちも気持ちで負けないように」(小野裕コーチ)「明成はプレースタイルがガツガツしていて、苦手で怖い存在」(髙野)と、お互いを認め合うライバルだからだ。

 そんな中で聖和学園の持ち味であるトランジションの展開が出せたのは、リバウンドに跳びこんでボールを支配したことに尽きる。東北大会では郡山商高校(福島)に決勝で競り負け、インターハイでは3回戦で優勝した岐阜女子高校(岐阜)に歯が立たなかった。機動力があり、どこからでも得点が取れるのが今年の聖和学園だが、強豪相手に勝ちきるまでには至っていない。そこで、リバウンド強化は必須だったのだ。

聖和学園の今野紀花 [写真]=小永吉陽子

 また、現在はピック&ロールでの攻めを習得中で、明成戦でも様々な形を試しながら、チームプレーの幅を広げていた。決勝で20得点をマークした2年生エース、今野紀花に対して小野コーチは「ピック&ロールでディフェンスを引き付けるプレーはまだ中途半端で、もっと積極的に攻めてほしい」と要求レベルは高い。スムーズにピック&ロールの展開ができたとき、チームとしてさらに一段上のステージに進めるだろう。

「目標はベスト4になってメインコートに立つこと」とキャプテンの高野が目標を挙げれば、エース今野は「ベスト4に行くためには、コート上で選手同士がコミュニケーションを図って判断して組み立てることが大事」と上位進出へのカギを語る。明成とのライバル決戦では成長がうかがえた聖和学園。本番までにさらなるパワーアップに期待したい。

文=小永吉陽子

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