12月25日、東京体育館で「ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子2回戦が開催された。県立川内高校（鹿児島県）は県立厚木東高校（神奈川県）との試合に68－73で敗退。期待のルーキーのウインターカップデビューは、ほろ苦いものとなった。

　川内の野口侑真は、188センチの長身からスピードあふれるドライブを仕掛けられる1年生で、体も強い。高校が所在する薩摩川内市在住で、彼が3年生になったときには地元開催のインターハイが待っている。田中俊一コーチは「これは私が育てなければいけないという気持ちでいました」と当時の心境を振り返る。

　入学当初から”エース”として活躍することを求められた。インターハイ2回戦は28得点、3回戦は32得点と、その期待に応える活躍を十分に見せ、野口自身も大きな手ごたえをつかんだ。

　インターハイでベスト8に進出したことで、シード校として臨んだ今大会。満員の東京体育館の雰囲気と、対戦した厚木東の気持ちの強さに圧倒され、前半でオフェンスチャージングを含む3つのファウルを犯してしまう。4点ビハインドで迎えた後半は「インターハイでベスト8に入ったチームがここで負けていられない」と気持ちを立て直し、積極的に仕掛けて試合の流れをつかみつつあったが、「ちょっと遅かったかなと思います」とコメント。試合終了まで21.6秒というタイミングで5つめのファウルを宣告され、最後までコートでエースとしての存在感を示すことができなかった。

チームトップの20得点を記録するも、痛恨の5ファウルで退場となった野口[写真]=兼子慎一郎

　終わってみれば20得点でチーム1の得点を稼いだが、田中コーチは「ポンポン外で打たずに1対1をやりなさいと言っているんですが、どうしてもタフショットを打ってしまう。もっと精神的にしっかりしないと」と厳しい評価。野口自身も「退場はエースとして不甲斐ないです。自分のせいで負けてしまいました」とコメントし、記者からの「今日の試合で通用したところはありましたか？」という質問に、言葉もなく首を振った。

　U18男子日本代表候補に選出されており、11月には合宿にも参加した。「あまり思うようなプレーができませんでした」と振り返るが、いずれは日の丸を背負えるような選手になりたいと夢見る。直近の目標はもちろん、真の意味で「川内高校のエースになること」。今日の日の経験を笑い話として、多くの報道陣に語れる日を心待ちにしたい。

文＝青木美帆