異常とも言える猛暑が襲う愛知県で行われている「平成30年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会」。女子準決勝第2試合は今大会の台風の目となった“ミラクル泗商”こと四日市商業高校(三重)と7年連続の決勝進出を目指す桜花学園高校(愛知県)が対戦した。
大阪薫英女学院高校(大阪府)、東京成徳大高校(東京都)という歴代優勝校を次々と破り、初めてインターハイでベスト4進出を果たした四日市商業。サイズがなくても徹底したボックスアウトでリバウンドを踏ん張り、機動力のあるディフェンスでルーズボールをもぎ取って勝ち上がってきた
対するのは準々決勝で優勝候補の一角、関東大会優勝の八雲学園高校(東京都)を破り、意気上がる桜花。この試合では1年生ガード、江村優有が積極的にシュートを放っていく。いきなり5連続得点をあげるとオフェンスのペースを上げていった。これに呼応するかのように坂本雅、岡本美優がシュートを決め、リードを奪った。それでも四日市商業も負けていない。堀江ゆうみが6連続得点で対抗すると、第1クォーターは20-24の4点ビハインドで食らいついていく。
しかし、難敵を次々と破ってきた四日市商だけに、さすがに疲れの色は濃かった。第2クォーターに入ると、桜花の攻防における激しいプレッシャーに足が止まりだす。この機を逃さなかった桜花はモハメド早野夏のポストプレーや平下愛佳の3Pでスパート。四日市商業の得点を5分以上も許さずリードを広げて、前半を50-31で折り返した。
第3クォーター、四日市商業は井谷彩良の速攻で先鞭をつけるも、桜花のディフェンスの前に連続得点をあげられない。攻めあぐねる四日市商業を尻目に、桜花は岡本、平下がステップインや3Pで次々に得点。主導権を渡さない。第3クォーター終了時に29点ものリードを奪った桜花は、ベンチメンバーも全員出場を果たし、四日市商業に勝利。悲願の地元インターハイ優勝まであと1勝と迫った。
「かなり伸びてきている」と四日市商業に警戒を強めていた桜花の井上眞一コーチ。「リバウンドが粘り強く、シュートが正確」と分析、スカウティングは怠らなかった。さらに「もっとインサイドを中心に攻めて、もっとファウルを誘いたかった」と反省の弁を述べる。
決勝の相手は、昨年敗れた岐阜女子高校(岐阜県)。「アウトサイドを決められると厄介な相手。ドライブでどれだけ崩せるかがカギを握る」と井上コーチは戦いの青写真を描く。これまで女子では開催地のチームがインターハイを制したことはない。それだけに千載一遇のチャンスを得た。岐阜女子vs桜花の決勝戦は7日、パークアリーナ小牧にて午後2時ティップオフ予定だ。
文=入江美紀雄