2018.08.04

試合時間残り2秒4で逆転! 九死に一生を得た桜花が3回戦進出

勝敗を決定づけたブロックショットを決めた桜花の平下愛佳[写真]=山口剛生
バスケットボールキング編集部。取材歴は20年を数え、これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、今年も氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 女子2回戦注目の一戦、桜花学園高校(愛知県)対昭和学院高校(千葉県)は期待に違わぬ大熱戦となった。第1クォーター、激しいつばぜり合いの中、思いどおりに試合を運べない桜花が残り3分6秒、タイムアウトを請求、センターのオコンクォ・アマカを投入。インサイド、特にリバウンドを強化したことで、フォワード陣に思い切りのいい攻撃がよみがえった。

 第2クォーター、桜花は坂本雅、平下愛佳が連続してドライブを決めると逆転成功。そのままリズムに乗るかと思われた。ベンチから井上眞一コーチが「どんどんドライブで行け!」と檄を飛ばす。しかし、昭和は西江瑠伽也ワリペ、三田七南の3Pで対抗。前半は29-28と桜花が1点リードで折り返した。

 試合後、昭和の鈴木親光コーチが悔しがったのが第3クォーターの入り方だ。桜花は江村優有と坂本の3P、さらに平下がジャンプシュートを決め、一気に9点にリードを広げた。鈴木コーチはタイムアウトを請求して、ディフェンスをオールコートにチェンジさせた。これが奏功し、桜花ガード陣のボール運びにミスを生じさせ、残り1分45秒に星杏璃のレイアップで逆転に成功。しかし、この采配が「やや早かった」と鈴木コーチは振り返った。これが試合の終盤、昭和に重くのしかかることになる。

 第4クォーター、桜花の井上コーチは昭和に離されかかるとタイムアウトを取って立て直しを図る。桜花は坂本のレイアップ、アマカがセカンドショットをねじ込み追撃。昭和は黒澤楓がオフェンスリバウンドを入れ返し逃げ切りを図るが、残り1分13秒、アマカがこの試合、8本目のオフェンスリバウンドからシュートを決めて1点差に迫った。

 昭和はこの大事な場面で足が止まっていく。対照的に押せ押せの桜花は元気を取り戻した。桜花は 岡本美優がレイアップを外すが、がオフェンスリバウンドをゲット。それをシュートに行くも、リングの根元にボールが弾む。コート上の選手、両ベンチ、応援席が固唾を飲んでそれを見守る中、ボールはリングに吸い込まれ、桜花がついに逆転に成功した。

 残り時間は2秒4。昭和の鈴木コーチは最後のタイムアウトを請求し、オフェンスの指示を与える。再開後、昭和はトップに位置した小林明日香にボールを託して3Pを狙った。しかし、桜花の平下がそのシュートをブロック。熱戦にピリオドを打った。

 試合後、桜花の井上コーチは「地獄から生還したようなもの」と表情を崩す。大会前にエースの伊森可琳をケガで失い、この日のオフェンスも桜花らしからぬ、ぎこちないシーンが何度も見られた。その厳しい状況の中、この結果を「命拾い」という井上コーチの言葉は本音だったと言えよう。「最後のシュートの場面、予想外の攻めだったので、やられたと覚悟した。ただ、第4クォーターはタイムアウトをうまく取りながら試合を進められたのが大きかった」と勝因を語った。

 一方敗れた鈴木コーチは、「甘さですね。勝ちきれなかった」と自嘲気味に振り返る。「狙い通りの試合はできていた。しかし第4クォーターに入り、疲れが足に来てしまった。オールコートのディフェンスで相手のガードにプレッシャーをかけるのは準備してきたとおり。その時間をもう少し短くできればチャンスはあったはず」とほぞをかんだ。

 この勝利は下級生主体のメンバー構成の桜花にとって、この上ない経験をしたことになる。地元のインターハイを前にチームの大黒柱を失ったが、この逆縁勝ちで大きな自信を得ることができた。第1シードの座は安城学園高校(愛知県)に譲ったが、手負いの女王が虎視眈々と優勝を狙っている。

昭和は星杏璃を中心に攻めたが、1点差で惜敗[写真]=山口剛生


文=入江美紀雄

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