Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
まさしく「シンデレラガール」として駆け上がった夏だった。
岐阜女子高校(岐阜県)の3年生・安江沙碧梨は、エントリー変更からスタメンに抜擢されたポイントゲッターだ。大会プログラムの集合写真でも、ユニフォームを着たメンバーの後ろで笑っている。高校バスケでは無名の存在だが、決してキャリアがないわけではない。中学バスケの名門・藤浪中学校の出身で、3年時にはスタメンとして全国中学校大会でベスト8入りに貢献している。
ベンチ入りとスタメンの報を安江満夫コーチから告げられたのは、6月の東海大会が終わって少し経ったころ。喜びもつかの間、その大役に気が引き締まった。「全力で自分の役割を果たしたい」。安江が担う大きな役割の一つが、ハイポスト周辺からのシュートだった。
チームには188センチのハディ・ダフェ、184センチのイベ・エスター・チカンソという、対戦相手が必ずマークしてくる大型センターがいる。彼女たちにディフェンスが寄った時が安江の出番。パスを受け取り、ミドルシュートを決めることで、相手に的を絞りづらくさせた。
しかし、決勝の桜花学園高校(愛知県)にはその役割が果たせなかった。自分よりも大きく体の強い相手とのマッチアップに苦戦し、これまで決められてきたようなシュートを何本も落とした。第4ピリオド残り2分8秒には5ファール退場し、8得点、2ポイントシュートは3/12本という内容でタイムアップ。安江コーチは「こういうステージに慣れていない中でよく頑張ってくれた」とねぎらったが、本人は「簡単なシュートを落としてしまってチームに申し訳ない」と涙を流した。
文=青木美帆