2018.08.12

「DFは好きじゃない」平下愛佳…仲間の離脱や過密日程を乗り越え、桜花学園を優勝に導く

今大会で著しい成長を見せた2年生の平下[写真]=山口剛生
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 2年ぶりとなる通算23回目、地元開催では初の優勝を懸けて戦った岐阜女子高校(岐阜県)との「平成30年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)」決勝戦。桜花学園高校(愛知県)の2年生、平下愛佳はチームトップとなる21得点を挙げて優勝に大きく貢献した。

「去年は遠慮してボールをもらいに行かなかったり、シュートを打つ機会が少なかったので、今年は積極的に自分から攻めてシュートに行こうと決めていました。それが今日はうまくできたのでよかったです」

 試合後、そう口にした平下は1年生から中心選手として活躍するスモールフォワード。ドライブや3ポイントを含む難しい距離からのジャンプショット、176センチの身長を活かしてリバウンドにも飛びこめるオールラウンダーで、井上眞一コーチからは「毎試合20点以上取れ」と言われている点取り屋でもある。

 今大会を振り返ると、桜花学園が1回戦から決勝進出までにポイントとなった試合では、平下の存在が非常に大きかったと言える。

 まずは自身も「ポイントだった」と決勝戦後に明かした、2回戦の昭和学院高校(千葉県)戦。終始接戦となった好ゲームは、残り2.4秒で64-63と逆転。ラストプレー、昭和学院に再逆転を狙った3ポイントを打たれたが、それを平下がブロックで阻止し熱戦に終止符を打った。

 もう1つは準々決勝で相まみえた東京都代表、八雲学園高校との試合。今年度の女子日本代表候補にも選出された大エース、奥山理々嘉にマッチアップするはずだった伊森可琳(3年)はケガの影響で大会前に登録メンバーから外れた。この緊急事態に井上コーチは平下を指名。「ディフェンスは好きじゃない」と彼女は言うが、「その時はボールもあまり見ないでずっとつくような感じで、とにかく点を取られないように守りました」と見事に相手の得点源を抑えこみ、オフェンスでも奥山を上回る25得点をマーク。最終スコア74-48という圧勝劇の主役となった。

八雲戦では、相手エースの奥山に本来の仕事をさせなかった[写真]=山口剛生

 大会直前まではU17日本代表として、ベラルーシでの「FIBA U17女子バスケットボールワールドカップ2018」に臨み、全7試合に出場した平下。インターハイを合わせれば約半月で計13試合というハードスケジュールを戦い抜いた。「飛行機の中では時差をなくそうと調整したり、帰国してからもトレーナーさんのマッサージを受けたりして疲労を溜めないように工夫した」という。そして、今大会は「地元なので優勝しないといけない」、「自分が点を取らなきゃ」と意気込み、チームを頂点へと導いた。

 代表活動に伴う過密日程、連戦に次ぐ連戦、帰国後に知らされた仲間の戦線離脱は、平下を一回りも二回りも成長させた。だが、まだ高校2年生。伸びしろは十分にある。

今大会の活躍ぶりは、さらなる成長を予感させた[写真]=山口剛生

「今よりもオフェンスリバウンドを取りに行くこと。(今大会は)ストップジャンプシュートとか3ポイントが多かったので、もっとドライブでレイアップまで行けるようにしていきたい」

 今後も自身の武器にさらに磨きをかけ、平下は自他ともに認めるエースとして桜花学園にいくつものタイトルをもたらす構えだ。

文=小沼克年

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