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6月21日から23日までの期間、丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で行われた「令和元年度 第66回近畿高等学校バスケットボール大会」。女子は大阪薫英女学院高校が同じ大阪府のライバル・大阪桐蔭高校(ともに大阪府)を92-50で下し、大会11連覇を達成した。
決勝戦に先駆けて行われた準決勝で、大阪薫英は京都精華学園高校(京都府)と対戦。大阪薫英は序盤からエースの森岡奈菜未を中心にバランスよく得点を重ねる。一方の京都精華は持ち味であるドリブル1対1を守られ、なかなか得点が伸びていかない。それでも自分たちのスタイルを貫く京都精華学園が2人の留学生の高さも活かして、徐々に点差を縮めていく。
一方の大阪薫英は留学生をアウトサイドに引っ張り出そうとするあまり、インサイドへのアタックが希薄になり、徐々にリズムが失われてしまう。終盤、京都精華学園は高橋未来が2本連続で3ポイントシュートを沈め(2本目はファウルも受けて4点プレーに)、2点差まで追いあげる。しかし、この土壇場で大阪薫英2年の安田茉耶がビッグプレー。ゴール下に飛びこみ、森岡が出した速くて低い弾道のパスを飛び上がりながら受けると、そのままシュートを打つ。ディフェンスが迫っていて、着地をしていたら165センチの安田だけに守られていた可能性もある。状況判断とスキルを兼ね備えたプレーだった。
京都精華学園も最後まであきらめず、高橋がドライブを仕掛けるが、大阪薫英女学院の森岡がそのシュートをブロックして勝負あり。65-61で決勝戦進出を決めた。
もう一方の準決勝は序盤こそ大阪桐蔭が抜けだしたが、近年安定した力をつけてきている奈良文化高校(奈良県)が粘りを見せて逆転すると、流れは一気に奈良文化へ。大阪桐蔭はポイントガードの祢宜菜々葉、センターのエドボロ・アニイタを軸にしたチームオフェンスで追いつくが、「今年のチームはメンタルが弱い」と言う森田久鶴コーチの言葉どおり、奈良文化の粘り強さに根負けし、またも奈良文化に逆転を許してしまう。
どちらが波をつかむのかわからない、やや奈良文化に傾きかけているかと思われた第4Qの立ち上がり、最後のビッグウェーブをつかんだのは大阪桐蔭だった。厳しいディフェンスから祢宜を起点としたファストブレイクが決まって、得点を重ねる。奈良文化も片岡瑶稀を中心に果敢にアタックするが、最後の壁を乗り越えられず、74-67で大阪桐蔭が決勝進出を決めた。
“大阪対決”となった決勝戦は思わぬ大差での決着を見る。序盤からインサイド、アウトサイドとバランスの良い攻撃を見せる大阪薫英に対して、大阪桐蔭は攻守ともに淡白なバスケットになってしまう。選手交代などで流れを変えようとするが、なかなか立て直しのきかない大阪桐蔭に対して、大阪薫英女は次々に得点を重ねていき、ファイナルスコア92-50。42点という大差で優勝を決めた。
インターハイの大阪府予選決勝戦で大阪桐蔭に敗れた大阪薫英からすれば、この試合はいわゆるリベンジマッチでもあり、またインターハイのシード権のかかった重要なゲームでもあった。チームを率いる安藤香織コーチは「(インターハイ予選で)負けたという薬が大きかったと思います。そのときの反省を活かして、決勝戦の前半などはしっかりとプレーできていました。これはインターハイにつながることです。結果的に近畿大会11連覇ですが、その結果よりも練習してきた『中へ、中へ』というプレーをきっちりやろうと選手たちには伝えていました」と振り返る。
準決勝の京都精華学園のときにも露見した、アウトサイドにばかり出てしまうと動きが止まるという課題を、決勝戦では森岡と塩谷心海の3年生がインサイドでしっかりと仕事をしたことで、ライバルを圧倒する結果に導いたのである。
今大会ベスト4の4校は、いずれもインターハイ出場を決めている。この大会で得た新たな課題に取り組んで、7月下旬からのインターハイに臨む。
■大会結果
1位:大阪薫英(大阪府)
2位:大阪桐蔭(大阪府)
3位:奈良文化(奈良県)、京都精華学園(京都府)
取材・写真・文=三上太