2022.12.22

【ウインターカップ2022注目校】福岡第一(福岡)「目指すは『最強の証明』、今こそ日本一の結束力を示すとき」

新たな高校3冠を目指す福岡第一 [写真]=佐々木啓次
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 3大会ぶりにインターハイを制し、全国の強豪が集った「U18日清食品トップリーグ2022」も全勝で駆け抜けた。話は前後するが、6月にも九州地区のチャンピオンに輝いている。2022年は福岡第一高校(福岡県)が頂点に君臨する年なのか――。その答えは、もうすぐわかる。

 堅守速攻をスタイルに置くチームは数多くあるだろう。だが、福岡第一の堅守速攻は超がつくほど、全国でもトップクラスに値する。今年のチームにおいてその中心にいるのが、8番の轟琉維(3年)だ。昨年からスターターを務めるポイントガードは、168センチのハンデをものともせずにコートを支配。卓越したスピードとスキル、得点力を武器に今年はエースの役目も担う。

 轟と中学時代から苦楽をともにしてきた城戸賢心(3年)は、チームキャプテンとして今年の福岡第一をまとめるシューティングガード。オフェンスではジャンプシュートを得意とし、大事な1本を決め切る勝負強さもある。「轟ほど派手ではないけれども精神面でもプレー面でも頼れる存在」と井手口孝コーチも評価するが、「個人的には何もできずに終わってしまって、課題だらけのインターハイでした。大事なところでのシュートやディフェンスも甘くなってしまった場面があったので、冬までにはその課題を克服できるようにしたいです」と城戸。夏は大会を通して納得のプレーができなかっただけに、個人としてもウインターカップでの巻き返しに燃えているはずだ。

 先発に名を連ねるのは、インターハイから変わらず轟、城戸、小田健太、平岡倖汰、ニャン アマドゥ マクターの3年生5名が濃厚。昨年のウインターカップの舞台にも立った崎濱秀斗(2年)も主力メンバーであり、「自分がコートに立つ時は何か違うアクションを起こさないといけないと思っていますし、(井手口)先生に求められていることはリングにアタックすることと、周りの選手を快適にプレーさせることです」と、主にシックスマンとしてチームを活性化させる。

 168センチの中村千颯、165センチの川端悠稀(ともに3年)による強烈なディフェンスを強みとするセカンドユニットも、今年のチームを象徴する存在。210センチの高さを誇るムスタファ ンバアイ(2年)もインターハイから場数を積み、ウインターカップでは相手にとってはさらに脅威となりそうだ。

 今年の福岡第一は、先発組とセカンドユニットのどちらがコートに立っても遜色なくプレーできる。実際にインターハイでも先発組が不調ならセカンドユニット、控えメンバーが点差を詰められた主力がコートに戻る、というような起用法で勝ち上がった。だが、ウインターカップを前に井出口コーチは言う。

「スタートの子たちの方が力は伸びていますね。控えの子たちはやっぱ控えだなという感じです。いい時間帯もありますけど、どうしても悪い時間ができでしてしまう。トータルしたらイーブンになってしまうので、(セカンドユニットは)やっぱりプラスにしないといけない。ウインターカップの5連戦を考えると、短い時間帯で彼らがどれだけカバーしてくれるかが大事になると思います。準決勝、決勝になると、ある程度スタートのメンバーが長く出なきゃいけないでしょうけど、そこまでに主力の疲労度をうまく抑えられればなと思っています」

 ウインターカップ制覇を狙うライバルたちは、言うまでもなく「福岡第一を倒さなければ優勝はない」という気持ちで大会に臨んでくる。牙城を崩すための対策も入念に練ってくるだろう。59チームからの包囲網を突破するには、先発、控えだけでなく、ユニフォームを勝ち取れなかった選手たちも含めて日本一の結束力の強さを示すしかない。この1年、無心で走り続けた自分たちの足で、最強を証明できるだろうか。ウインターカップは明日開幕、福岡第一の初戦は12月25日だ。

文=小沼克年

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