2018.01.14
FIBAバスケットボールワールドカップ2019アジア地区 1次予選の初戦、日本は出だしにつまずいたことが響いて、フィリピンに惜敗。勝機があっただけに悔しい結果だ。
試合後の記者会見でフリオ・ラマスヘッドコーチは、「ダイナミックに交代してみたりセットプレーを変えた」と明かした。ゲームの出だしでリズムをつかめず、シュートがリングを弾き、さらにはターンノーバーを犯すなどしてフィリピンに許した流れを、ラマスHCはなんとか修正を試みた。
「それでも選手たちは勝ちにこだわり、トライする気持ちも変わらなかった」(ラマスHC)日本は食らいついていく。
第2クォーターになり、比江島慎(シーホース三河)を中心にシュートが決まりだす。日本はティップオフ直後からシュートが入るとマンツーマンからゾーンディフェンスにシフトするチェンジングディフェンスを敷いていたが、なかなかシュートが決まらずそれを繰り出すことができなかった。それがシュートが入りだすことで機能し始める。フィリピンのオフェンスリズムを狂わせ、最大14点あった点差を再び1桁台に引き戻した。
立見席まで用意された駒沢体育館は3482人の超満員。しかもこれまでの日本での代表戦で聞いたことのないような大声援が日本を後押しする。「ディフェンス!」のコールのもと、ベンチスタートの篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)がボールマンにプレッシャーをかけ、リバウンド争いでも互角の展開を見せるようになってきた。
第3クォーターの開始から、日本はフィリピンを3分以上も無得点に抑える。すると比江島、張本天傑(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)のシュート、馬場雄大(アルバルク東京)のバスカンで一気に流れは日本に傾く。さらに出だしからオフェンスのリズムを狂わせていた富樫勇樹(千葉ジェッツ)がピック&ロールから得意のジャンプシュートを沈め、ついにリードを奪った。
しかし、急速に追い込んだツケが日本を襲う。日本のディフェンスの生命線とも言える“足”が次第に止まってしまったのだ。ここを見逃さなかったのがフィリピン。エースのジェイソン・ウィリアムやベテランのゲイブルエール・ノルウッドが勝負強くシュートを沈めて、またしてもリードを奪っていく。そして、第3クォーターの最後にはアンドレイ・ブラッチが3ポイントシュートを沈めて、勢いを取り戻して第4クォーターに入っていった。
勝負の最終クォーター、日本は田中大貴(A東京)と富樫の3ポイントシュート、さらにはアイラ・ブラウン(琉球ゴールデンキングス)の速攻ダンクで追いすがるものの、逆転するまでには至らなかった。残り1分16秒にはとどめとも言えるウィリアムスの3ポイントシュートを食らい万事休す。日本は初戦を落とした。
「バスケットボールは相手がいるスポーツ。ウィリアムスにいいところでやられてしまった。逆転はできたが、やはり最後の勝負どころで勝ちきれなかったのは、まだ私たちの力不足だということ。しかし、日本は一歩一歩進歩している。そして将来強くなる。今は努力するしかない」
ラマスHCはゆっくりと自分に言い聞かせるように語った。結局勝ちきれない試合となったが、リバウンドやデイフェンスという、ラマスHCが就任以来力を入れてきたところには確実い進歩の跡が見られたと言えるだろう。
フィリピンはエースの1人、テレンス・ロメオがケガのためロースター落ち。さらに12名が集まっての練習も数日しかできていない、またアウェーでの試合ということもあり、内容よりも勝負にこだわった試合だったとも言える。得意のオフェンスを封じ込まれた場面もあったが、不用意な日本のパスやドリブルをカットしてターンオーバーを誘い、それを確実に決めたことも勝因だ。
ワールドカップ予選は大陸ごとの1カ国開催のトーナメント方式から、長い期間をホーム&アウェーで戦うシステムに変更になった。すなわち、これまでのように大会を通して調子を上げていくわけにはいかないのだ。日本は翌日に日本を旅立ち、アウェーのオーストラリアに向かうことになる。格上の相手にアウェーでの試合。スタイルもフィリピンとまったく違くオーストラリアにどう立ち向かうか。ラマスHCの下、日本代表の戦いは続いていく。
文=入江美紀雄
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