平均身長は191.8センチ。「将来を見据えたサイズアップ」を遂行
U22男子日本代表が3月10日から15日にかけて韓国遠征を行った。今年度、U22代表の指揮を執る比嘉靖ヘッドコーチのもと、選考ポイントとなったのは日本協会が掲げる「将来を見据えたサイズアップ」(日本代表フリオ・ラマスHC)という中長期強化方針。3度のスプリングキャンプを経て15名が選考された。
チームの平均身長は191.8センチ。2メートル台の選手は井上宗一郎一人だけだが、ガードとフォワード陣のサイズアップをしたことが特徴だ。また、対戦相手に応じてタイプの異なるガードが必要になるため、生粋のポイントガードである172センチの熊谷航も名を連ねている。選手選考について比嘉HCは「日本が目指しているのは40分間プレッシャーディフェンスをして、トランジションで走ること。そうした戦術が遂行できる選手でサイズアップを図れるメンバーを選んだ」と語る。また、「サイズアップは重要だけど日本らしさを見失っては意味がない」とも言う。
比嘉HC「まずはファストブレイクを狙ってアウトナンバーの展開を作る」
「今までの日本はゆっくりボールを運んでナンバーコールをすることがありましたが、それでは国際大会は通用しません。まずはファストブレイクを狙ってアウトナンバーの展開を作る。そして男子も女子のような40分間トランシジョンの展開をして、フィニッシュを決めきる力をつけること。大型選手を走れるようにすることも必要ですが、走れる選手がプレーの幅を広げてスキルをつけていく強化も大事」と語る。これらの強化方針は、比嘉HC自身、これまで2度のユニバーシアードにアシスタントコーチとして参戦したことで、日本に必要な選手層やチーム作りだと確信したものだ。だからこそ、全体的にサイズアップした中でも走れる選手が選ばれている。
韓国のプロリーグ所属チームからも貴重な2勝
この遠征で手応えをつかんだのは2戦目の高麗大学戦だ。初戦の韓国U22代表は、相手が集合したばかりであったことから、3度のキャンプを経ている日本のほうが組織力でまさったが、強豪の高麗大相手には2番に吉井裕鷹(195センチ)、3番に西野曜(196センチ)という大型ラインナップを起用。「相手を守れた手応えがあり、サイズアップの利点はディフェンス面で感じた」と比嘉HC。
また韓国プロリーグKBLとの対戦は貴重な経験となった。シーズン中であるためにフルメンバーと試合をすることは不可能だが、ベンチ登録外となる選手、いわゆる2軍メンバーと2戦行った。2軍選手のサイズは日本よりも劣ったが、それでもフィジカルが強く、3ポイントを打たせる展開に長けていたことからも、試合運営の面で勉強になったといえる。韓国側に準備が足りない面があったとはいえ、日本が長年苦手としてきた相手に5戦ともに勝ちきったという点では収穫が大きい遠征となった。
大学界はスプリングキャンプが定着し、毎年5月には韓国学生選抜と対戦する李相伯佰盃がある。この2年は春に韓国遠征をしており、ここ数年は夏にアジアパシフィック大会(韓国開催)にも参戦し、強化に継続性が出てきたといえる。ユニバーシアード大会のない今年のメインは李相伯佰盃とアジアパシフィック大会。その2大会に向けたメンバー選考の競争はまだまだ続く。
【試合結果】
U22日本代表 78-74 U22韓国代表
U22日本代表 77-59 高麗大学
U22日本代表 78-75 蔚山現代モービス(KBL2軍)
U22日本代表 89-71 成均館大学
U22日本代表 85-82 仁川電子ランド(KBL2軍)
U22日本代表 韓国遠征メンバー
【スタッフ】
ヘッドコーチ 比嘉靖(大阪体育大学)
アシスタントコーチ 網野友雄(白鷗大学)
アシスタントコーチ 西尾吉弘(大東文化大学)
アスレチックトレーナー 一柳武男(公益財団法人日本バスケットボール協会)
マネージャー 齊藤尋太郎(東海大学)
マネージャー 佐々木美蘭(大東文化大学)
【選手】
熊谷航(大東文化大学3年/172センチ)
玉木祥護(筑波大学3年/195センチ)
ナナー ダニエル弾(青山学院大学2年/197センチ)
中村太地(法政大学2年/190センチ)
星野曹樹(白鷗大学2年/193センチ)
平岩玄(東海大学2年/199センチ)
牧隼利(筑波大学2年/187センチ)
増田啓介(筑波大学2年/191センチ)
吉井裕鷹(大阪学院大学1年/195センチ)
津屋一球(東海大学1年/188センチ)
岡田侑大(拓殖大学1年/188センチ)
西野曜(専修大学1年/196センチ)
赤穂雷太(青山学院大学1年/197センチ)
西田優大(東海大学1年/189センチ)
井上宗一郎(福岡大学附属大濠高校3年/200センチ)
写真・文=小永吉陽子