6月15日・17日に韓国代表と行われた「バスケットボール男子日本代表国際強化試合2018」ではニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)と八村塁(ゴンザガ大学)、そしてシェーファー アヴィ幸樹(ジョージア工科大学)の3名が代表デビューを果たした。
大田区総合体育館での第1戦では、ファジーカスと八村がスターターに起用され、ファジーカスが28得点13リバウンド、八村が17得点7リバウンドと期待を上回る活躍を見せた。「この試合はWindow3(対オーストラリア、チャイニーズ・タイペイ)に向けた準備ととらえている。韓国は強敵だけに相手にとって不足はない」と、試合後、記者会見に臨んだフリオ・ラマスヘッドコーチは満足気な表情を浮かべて報道陣の前に現れた。
さらに「試合開始から5分間は韓国にリードを奪われたが、それ以降は自分たちが試合をコントロールできた。ディフェンスが機能し、リバウンドかファストブレイクを得点につなげることもできた。それゆえ相手はファウルで止めるしかなく、ペイントエリアに入ってプレーができたので、フリースローも獲得できた」と勝因を語った。
また、ファジーカスと八村のパフォーマンスに関しての評価は高かった。「彼らが合流してくれてうれしい。Window1、2にもいてくれたら違う結果になっていたかもしれないが、過去はもう振り返らない。彼らのポテンシャルと可能性をベースにシステムを変化させる予定だ。ただそれは彼らを生かすため。いい選手がいれば、これまで構築してきたものを抜本的に変更する必要はない」と、強力な新戦力をどのようにチームに生かしていくかも語っていた。
しかし、迎えた第2戦、第1戦後半から機能し始めた韓国のディフェンスに手を焼くこととなる。不用意なパスをカットする読み、さらには抜かれてもボールを狙う執着心、そして、体を張ることをいとわないフィジカルなディフェンスで、日本は11本のターンオーバーを犯し、韓国には8本のスチールを献上した。ラマスHCは「詳しくは言えないが、ディフェンスの関しては修正の必要がある」と言及。しかし、「Windows3までには修正できると思う。代表チームの場合、普段クラブと比較すると活動期間が短いので、いろいろとスピードアップを図らなければいけない。もちろんもう1カ月は切っているので、約2週間の間で行わなければいけないが十分修正可能だ」と分析する。ラマスHCの頭には、来るべき重要な一戦、Window3までのスケジュールがしっかり刻まれているのだろう。
ファジーカスと八村の加入がチーム力をアップさせたことは間違いないが、攻防のコンビネーションに関してはまだまだ未完成な部分が多い。もちろん、韓国との2試合ですべてを見せたとも思えないが、「バスケットボール男子日本代表国際強化試合2018」で得た収穫と課題を6月29日のオーストラリア戦までにチームの血や肉に変えていく必要はある。それだけにラマスHCの手腕に期待がかかる。
文=入江美紀雄
写真=山口剛生