2023.04.17

決戦に自信をみなぎらせる渡嘉敷来夢「逆転優勝できたからメッチャかっこいいと思いません?」

ENEOSの渡嘉敷は試合中、エネルギーをみなぎらせた [写真]=伊藤大允
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 4月16日、「京王 presents Wリーグプレーオフ 2022-2023」ファイナル第2戦が武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都)で開催。ファイナル第1戦に勝利して王手をかけたトヨタ自動車アンテロープスとあとのないENEOSサンフラワーズが対戦した。

 ティップオフ直後から激しいディフェンスでペースをつかんだのはENEOSだった。初戦の反省を生かし、宮崎早織、星杏璃のガード陣がトヨタ自動車の山本麻衣、川井麻衣にプレッシャーをかけて思い通りのバスケを展開させない。ENEOSが得意とするディフェンスからブレイクの形もでき、第1クォーター残り3分4秒、長岡萌映子が10点目となる3ポイントシュートを決めると、20−10とリードを広げることに成功した。

 しかし、その後、山本に2本の3ポイントシュートを決めるなどしてトヨタ自動車が追撃を開始。山本の15得点の活躍をもあり、ENEOSに食らいついていく。第1クォーターは22−20とENEOSの1ゴール差で終えるが、ここから第3クォーターが終わるまで一進一退の展開となった。

 勝敗を決めたのは第4クォーターの出だしだろう。ENEOSは林咲希が連続得点すると、高田静と長岡萌映子が3ポイントを決めて、リードを一気に広げていく。勝負どころで自分たちのバスケを改めて徹底したことで、追随するトヨタ自動車を振り切ることに成功。74−65で勝利したENEOSが逆王手をかけることに成功した。

勝負どころで連続得点を決めたENEOSの林 [写真]=伊藤大允


 試合後の記者会見で「集中していたので、第3クォーターが終わった時点で同点だったのは今知りました」と語ったのは渡嘉敷来夢。「我慢比べの中、ガード陣がプレッシャーをかけ続けてくれました。そして、走ることに飢えていた林が走ったことでうちのいい形ができました」と振り返った。

 第4クォーターでチームに勢いを吹き込んだ林は「昨日の試合も21点負けていたのに、最後はあのようなゲームができたので、自分としては絶対にいけると思っていました。ガード陣がプレッシャーを掛けてくれればチャンスはあると。不安はなく、絶対に勝てると思っていました」と試合を振り返る。

 渡嘉敷は初戦に敗れたあと、チームメートに「あと2つ勝てばいい」と声をかけたという。「昨日の反省として、自分のエネルギーが足りなかったと思います。チームの盛り上げもできなかった。他のメンバーも緊張したので、今日はハッスルして、みんなもそれに乗ってくれました。その面ではチームに貢献できたと思います」と満足気に語る。

 渡嘉敷はパーフォマーンスでも17得点14リバウンドとダブルダブルの活躍。「逆転優勝できたらメッチャかっこいいと思いません? 明日はやるだけ。今シーズン積み上げてきたものをぶつけたいと思います」と語る渡嘉敷の表情には何の迷いもなかった。

ENEOSが第2戦に勝利。今季の女王は第3戦で決することに [写真]=伊藤大允


 第2戦を終え、1勝1敗となった今回のファイナル。最後の1戦で勝ったほうが優勝という状況は、2007−08シーズン以来。この時は富士通レッドウェーブが3勝2敗でJOMO(現ENEOS)サンフラワーズに勝利した。運命を決める第3戦は、4月17日午後7時ティップオフだ。

文=入江美紀雄

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