2023.09.14

W杯解説の馬瓜エブリンが主戦場で奮起…「女子バスケの精度の高いプレーを見てほしい」

1年間の休養を経て、Wリーグのコートに復帰した馬瓜エブリン [写真]=Wリーグ
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 3カ国共同開催となった「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」。日本の沖縄も開催地の一つとなり、8月25日から10日間にわたって世界レベルの戦いが繰り広げられた。

 沖縄では男子日本代表が厳しい試合を制して3勝。大会でのアジア最上位となり、来年のパリオリンピックへの出場権を獲得した。劇的な逆転勝ちなど、日本の粘り強い戦いには、試合会場だけでなくテレビを通しても多くの人たちが歓喜したことだろう。その大会において日本戦を放映したテレビ朝日で解説を務めたのが馬瓜エブリンだ(デンソーアイリス)。

 馬瓜は、5人制の女子日本代表として東京オリンピックに出場。東京オリンピックで銀メダルを獲得した直後のWリーグではトヨタ自動車アンテロープスの選手として優勝にも貢献した。しかし、続く2022ー23シーズンは「人生の夏休みです!」と、1年の休養を宣言。その間にトレーニングも行っていたが、3x3の大会を主催したり、テレビに出演したりと幅広く活動。そして今年の6月、休養を終えてWリーグへの復帰、加えてその復帰先はトヨタ自動車ではなく、デンソーアイリスであることも発表された。

 ワールドカップでは沖縄の地に赴いて解説を行ったが、それから約1週間後、彼女の姿は岩手県の奥州市総合体育館Zアリーナにあった。デンソーアイリスの一員として「Wリーグオータムカップ2023 in 奥州」を戦っていたのだ。

 沖縄滞在中も空いている時間には体育館を借りて練習をしていたため、「体がきついというのはないですね」と、馬瓜。一方で「5対5はやっていなかったので、チームにいるからこその『あうんの呼吸』のような合わせはまだないというか。そこはもっと自分がみんなに合わせなくてはいけないですね」とも語った。

「ブレイクが(チームとして)少し足りないかなと思っているので、走ることなど速い展開のときに自分が機能したいなと思っています」と、自らの役割をこのように捉える。コート外については「みんなのことを鼓舞して、試合を掌握できるような雰囲気を作ることが自分のやらなくてはいけないことですね」という。

 身長180センチのデンソー0番は、ドライブやインサイドプレーでシュートをねじ込むだけでなく、シュートが外れたとしてもファウルをもらってフリースローへとつなげるなど体の強さにも定評がある。「フィジカルがなかったら、自分はやることがないですから(笑)」と笑うように、オータムカップでもその強さは十分に発揮していた。それでも、「チームにまだフィットしきれていないし、自分の調子のところも。正直、一年も休んでいたので、これは分かっていたこと。もう少し我慢して(調子を)戻さないといけないですね」と、現状を冷静に語った。

 ワールドカップを伝える側として携わった馬瓜は、「やっぱりバスケットは楽しいですね。初めて見た人でもあれだけ速い展開で点がいっぱい入ったら盛り上がりますよね。どうやってバスケットという競技を知ってもらおうかと考えたけど、日本代表の方たちがああいった試合してくれると…、本当にうれしかったです! それに、改めてトップリーグの選手たちがどれだけ見られているか、見られていないようで見られているなと思いました。そういった意味ではファンの人たちを大切にするようなプレーや行動をしたいと思いました」と、興奮気味に語る。

 試合の解説という大役を経てその知名度はさらに上がったといえる。だが、本人は見られることには何のプレッシャーがないという。

「女子バスケットを見てもらう人が増えれば。私だけで終わってほしくないというか、私よりもっと面白い人がいっぱいいるし、プレーを見たら精度が高くてみんな一生懸命やるので、そこを見て欲しい。自分自身は、女子バスケットを知ってもらう役割を担っていると勝手に思っているだけです」

 復帰のシーズンを「(休養前に)戻すというか、新しく作るという感じ」と語った馬瓜。新天地では日本代表の髙田真希、赤穂ひまわりら頼もしい仲間とともに、チームの初優勝を目指す。これからは、『選手の馬瓜エブリン』が日本のバスケシーンを熱くするに違いない。

デンソーの一員としてリーグ初制覇を目指す [写真]=Wリーグ


文=田島早苗

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