2024.04.13

勝敗を分けたのは富士通のチームディフェンス…デンソーとのファイナルで先に王手

ファイナル初戦、激しいディフェンスでペースを握ったのは富士通だった [写真]=Wリーグ
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

「京王 presents Wリーグプレーオフ 2023-2024」のファイナル第1戦が4月13日に武蔵野の森総合スポーツプラザで行われ、富士通レッドウェーブ(レギュラーシーズン1位)がデンソーアイリス(レギュラーシーズン2位)と対戦。16年ぶり2度目のリーグ制覇を目指す富士通と初のリーグ優勝と昨年末の皇后杯との2冠を狙うデンソーがファイナルで初めて顔を合わせた。

 第1クォーターは16−16の同点で終えるも、第2クォーターに入ると富士通は町田瑠唯が躍動。3連続でジャンプシュートを沈めるとグッと流れを引き寄せる。それでもデンソーは赤穂ひまわりのゴール下や馬瓜エブリンの3ポイントシュートで対抗。前半は富士通が36−32とリードして折り返した。

 後半に入り、得点を重ねたのが富士通。宮澤夕貴がゴール下や3ポイントシュート等多彩な攻めを見せてリードを11点とし、あっという間に2ケタ点差にすると、富士通がペースをつかんだかに見えた。

 しかし、第4クォーターに入るとデンソーが粘りを見せる。髙田真希、赤穂(ひ)、馬瓜といった主力がシュートを決めて、点差を5まで縮めることに成功。それでも富士通は奪ったリードを渡すことなく、デンソーを残り2分間無得点に抑えるディフェンスを見せて、64−57と大事なファイナルの第1戦を勝利した。

 この試合、レギュラーシーズンの平均得点が79.81点とリーグ1位のオフェンス力を誇るデンソーを50点台に抑えたことが富士通の勝因に挙げることができるだろう。しかもそれは試合開始直後のつばぜり合いの中で、確実に富士通が先手を打っていたことが大きかった。

 試合後の会見で「シンプルに富士通がアグレッシブだった。結果は7点差での敗戦だが内容的には僅差ではなかったと思う」と振り返ったのはデンソーのヴラディミール・ヴクサノヴィッチヘッドコーチ。「今シーズンは出だしからリードする試合が多かったが、今日の試合はそれに対応されてしまった」と、ヴクサノヴィッチHCは敗因に言及した。

 対する富士通のBTテーブスHCは、自分たちがどんなスタートを切れるかにフォーカスしていたという。「心配というわけではなかったけど、うちの選手がどんなプレーをするのかを注視していた。でも、大丈夫だった」と、試合後の会見で笑顔を見せた。

「デンソーはディフェンスもオフェンスもしっかりやってくるチームなので接戦になると思っていた」とデーブスHC。それでも自分たちのペースを握れたのは「今日の試合はディフェンスのルールを失敗する回数が少なかった。失敗は仕方ないけど、その回数を減らそうとチーム作りをしてきた」(テーブスHC)という成果の表れとだった。

富士通のテーブスHCはチームのディフェンスの出来を評価した [写真]=Wリーグ


 互角と思われた第1クォーターだが、実はすでにディフェンスで富士通がイニシアティブを握ったことになる。デンソーは高田、馬瓜、赤穂(ひ)を中心にそれを引き戻そうと粘りのプレーで対抗したが、富士通の町田、林咲希、宮澤がそれを渡さなかった。

 先に2勝すれば雌雄を決する短期決戦にあって、第1戦を制したことは富士通に有利に働くだろう。しかし、デンソーも諦めていない。

 ヴクサノヴィッチHCは「明日がバスケに取り組む姿勢から修正したい。失うものはなにもない。勇敢に戦わせたい」と力を込めた。そうなれば、勝敗を分けるポイントは試合の入り方であり、試合の出だしで、どちらのチームが自分たちのバスケをやりきれるかにかかってくるだろう。

デンソーのヴクサノヴィッチHCは第2戦での奮起を誓った [写真]=Wリーグ


 富士通が王手をかけて臨む第2戦は4月14日、今日と同じ武蔵野の森総合スポーツプラザで14時ティップオフ予定。試合の模様はNHKBSで生中継、バスケットLIVEでライブ配信される。

文=入江美紀雄

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