FIBAワールドカップ2019の雪辱を晴らすために、オリンピック4連覇が必須任務となっているアメリカ代表。しかし、本大会に向けたエキシビションマッチでは、FIBAランキング22位のナイジェリア代表にまさかの敗戦。続くオーストラリア戦では、一時10点差以上の点差をつけるも、後半の失速が仇となり、2連敗を喫した。
第3戦となったアルゼンチン戦は108-80の完勝で締めくくったが、チームは期待という重圧からか、顔色は未だ良くない印象。そんなチームで奮闘するのが他でもない、NBAのナンバーワンスコアラーであるケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)だ。デュラントは3試合で平均17得点をマークし、チームのオフェンスをけん引。レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)やステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)らが不在のなか、チームの年長者として、リーダーシップを発揮する立場にある。
「デュラントはいかなる時もアメリカ代表でありたいと感じている」
アメリカ代表を率いるグレッグ・ポポヴィッチヘッドコーチは、もしこのチームにデュラントが不在だったことを考えると、身の毛もよだつ思いだろう。サンアントニオ・スパーズの名将は『New York Post』のブライアン・ルイス記者に対し、デュラントをチームに迎えるためなら何でもする覚悟があったと語っている。
「まずはじめに、もし彼が『No』と言ったら、私は懇願し、泣きわめき、彼の気持ちを変えるためにいかなる手段も施しただろう」
「これは明白だ。しかし、彼について言いたいことは、第一に彼がゲームを愛しているということです。彼はバスケットボールをすること、そして勝利することを心の底から愛しています。また、彼はチームメートにも愛情を注ぐことができます」
デュラントとの共演を待望していたポポヴィッチHC。以上のようにコメントしたものの、KDのオリンピック参戦には絶対的な自信があったのかもしれない。
「皆が知っているように、彼はいかなる時もアメリカ代表の一員でありたいと感じています。これこそ彼の芯に宿るモチベーションであり、彼はアメリカ代表として戦えることを誇りに思っています。彼がそのような人間であることは、私たちにとってとても幸運なことです。これは彼の性格と、チームの一員として挑戦し、成功を収めたいという気持ちの表れなのではないでしょうか」
『New York Post』によれば、デュラントは現在、2012年、2016年のオリンピックを含むFIBAの関連大会で39勝無敗という記録を保持している。ポポヴィッチHCにとって、これ以上に心強いジンクスはないだろう。
出鼻はくじかれたものの、デュラントは東京の地でも無敗神話を継続することができるのか。それには百戦錬磨のポポヴィッチHCの手腕が不可欠に違いない。
文=Meiji