「これまでにも支配してきたチームはあるから」と新フォーマット案に反対
クリーブランド・キャバリアーズのレブロン・ジェームズが、2月22日(現地時間21日)、現地メディア『cleveland.com』のインタビューに答えた。
この日のメインとなった話題は、NBAが考えているというプレーオフの新フォーマット。従来であれば、イースタン・カンファレンスとウエスタン・カンファレンスそれぞれ上位8チームが、各カンファレンス内でシリーズを戦い、勝ち抜いたチームがNBAファイナルに進出するというものなのだが、新フォーマット案では、リーグ全体の勝率上位16チームがプレーオフに出場し、1位と16位、2位と15位といった形でシリーズを戦っていくこととなる。
NBAでは西高東低がささやかれている。ほんの数年前までは、ウエストでは勝率5割以上のチームがプレーオフに出場できない反面、イーストでは勝率5割未満のチームが第8シードで出場するケースがあった。
近年はそのケースこそほぼなくなったものの、昨季はリーグの勝率トップ3チームはすべてウエスト、一昨季はリーグの勝率トップ2がウエストとなっていることから、「カンファレンスに関係なく、ベストなチームが勝ち上がるシステム」として、新フォーマット案を検討しているという。
それに対してレブロンは、「俺はその案に同意できないね」とコメント。
「これまで、カンファレンスを支配してきたチームはいくつかあった。1980年代、(ロサンゼルス・)レイカーズが一時期リーグを支配していたし、ボストン(・セルティックス)もそうだった。1990年代はシカゴ(・ブルズ)が支配していた。その後、サンアントニオ(・スパーズ)や俺が所属していた頃のマイアミ(・ヒート)も支配していた時期があったし、今ではゴールデンステート(・ウォリアーズ)がそうだ」。
レブロンが言うように、レイカーズは80年代から91年にかけて12シーズンのうち9回もNBAファイナルに出場している。セルティックスも80年代に4年連続でファイナルに勝ち進んでいた時期があった。90年代のブルズは8年間で6度のNBAタイトルを獲得しており、スパーズも2003年から5年間で3度の優勝を果たしている。レブロンが所属していた当時のヒートは、11年から14年にかけて、4年連続でファイナル進出、そしてキャブスとウォリアーズは、過去3年連続ファイナルで顔を合わせている。
「バスケットボールの歴史は、ことあるごとに変わっていくんだ。今回のオールスターはいい試みだったと思うけど、プレーオフとなると話は違ってくる」とレブロンは続けた。
11年から7年連続でNBAファイナルに出場しているレブロン。「ウエストにいたら同じことができたのか?」といった否定的な意見もあるが、この男が残した実績は評価すべきだろう。特に所属チームがヒートからキャブスへ変わった15年、ケビン・ラブが1回戦で戦線離脱し、カイリー・アービング(現セルティックス)も欠場する試合があった中、レブロンはイーストを制してみせた。
かつてなかったカードが実現し、プレーオフは盛り上がるのか?
今季、オールスターブレイクの時点ではあるものの、リーグの勝率トップ3を見てみると、1位から順にヒューストン・ロケッツ(44勝13敗で勝率77.2パーセント)、ウォリアーズ(44勝14敗で勝率75.9パーセント)、トロント・ラプターズ(41勝16敗で勝率71.9パーセント)。ウエスト2チームに次いでイーストから1チームが入っている。
とはいえ、今後リーグがプレーオフを新フォーマットに切り替える可能性は十分ある。仮に実現すれば、これまでになかったチーム同士で争うシリーズを見ることができるという点では興味深い。
ただし、カンファレンスを制した際に製作される「カンファレンス・チャンピオン」のグッズや、ホームアリーナに飾られる「カンファレンス・チャンピオンのフラッグ」など、実績として残るものがどのような価値観に変わっていくのかは疑問である。
NBPA(NBA選手会)で会長を務めるクリス・ポール(ロケッツ)は、副会長を務めるレブロンの考えをどのように捉えているのか気になるところ。イーストとウエスト、双方にメリットがある新フォーマット案が望まれる。