キャリア平均得点は12位ながら、強烈なインパクトを残した男
これまでNBAには、偉大なスコアラーが何人も存在した。マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)やウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズ)、カール・マローン(元ユタ・ジャズほか)、エルジン・ベイラー(元ロサンゼルス・レイカーズほか)、ジェリー・ウエスト(元ロサンゼルス・レイカーズ)、アレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)らがそうだ。
ジョーダンはキャリア平均30.12得点で歴代トップ、通算10度の得点王に輝き、チェンバレンは歴代2位のキャリア平均30.07得点、通算7度の得点王、1961-62シーズンには前人未到の平均50.4得点を達成。マローンは11年連続でシーズン2,000得点以上、ベイラーはキャリア平均27.36得点で歴代3位、ウエストはキャリア平均27.03得点(歴代6位)、アイバーソンは歴代7位の平均26.66得点を残している。
そしてもちろん、一昨季限りで引退したコービー・ブライアント(元レイカーズ)も、歴代屈指のスコアラーである。キャリア平均こそ24.99得点で歴代12位なのだが、2度の得点王に輝いただけでなく、1試合81得点という歴代2位の記録を持ち、通算3万3,643得点を奪っている。それに、2007年3月にはチェンバレン以来となる4試合連続で50得点以上という驚異的な爆発力も見せた。
ただし、コービーにはほかにも恐ろしい記録がある。なんと月間平均40得点以上をキャリアで4度も記録しているのである。現地メディア『CLUTCHPOINTS』によると、この記録はチェンバレン以外に誰も成し遂げたことがないという快挙である。
そこで、コービーが月間40得点以上を残した月の成績を紹介していきたい。
※FG=フィールドゴール、3P=3ポイントシュート、FT=フリースロー
■2003年2月
月間平均40.6得点FG成功率47.2パーセント3P成功率42.9パーセントFT成功率84.6パーセント
■2006年1月
月間平均43.4得点FG成功率47.0パーセント3P成功率39.7パーセントFT成功率89.7パーセント
■2006年4月
月間平均41.6得点FG成功率50.9パーセント3P成功率41.3パーセントFT成功率82.4パーセント
■2007年3月
月間平均40.4得点FG成功率45.9パーセント3P成功率37.2パーセントFT成功率86.5パーセント
コービーが絶頂期に残した記録は今後も残り続ける
03年2月はレイカーズの4連覇が懸かったプレーオフへ向けて、猛烈な勢いで得点奪取した時だった。06年から07年は、コービーにとってスコアリングにおいては全盛期と言っていい時期だった。レイカーズのチーム事情もあり、積極的に点を取りに行っていた。
なかにはシュートの打ちすぎでフィル・ジャクソン(当時のヘッドコーチ)やメディアなど多方面から批判を浴びることもあった。それに05-06シーズン、06-07シーズンのレイカーズは、コービーがいずれも平均30得点以上を挙げて得点王を獲得するも、プレーオフでは1回戦敗退に終わっている。
とはいえ、当時のレイカーズはプレーオフを勝ち抜くには戦力不足だった。コービーが得点することでチームメートへのガードが緩くなり、得点機会が増えていたことを考慮すれば、「仕方なかった」と判断せざるをえない。そして上記にあるように、月間平均40得点以上を挙げた時のコービーは、ショット全般において高い精度だったことから、決して無駄打ちではなかったこともわかるはずだ。
現在NBAでプレーしている選手たちには、当時のコービーを見て育ち、NBAのコートに立った選手も多い。「コービーみたいにできるかな?」「コービーのようになりたい」「コービーだったらきっとこうするだろう」といったことを考えながらプレーしているのだろう。
しかしながら、コービーが残してきた“月間平均40得点以上”という快挙は、今後も偉大な記録として残り続けるに違いない。