2018.03.02
2月19日(現地時間18日)にロサンゼルスのステープルズ・センターで行われる「NBAオールスターゲーム2018」。先月、オールスターの出場選手ならびにロースターが発表され、開催が刻一刻と近づいてきている。バスケットボールキングでは、67回目となるオールスター出場選手紹介に加え、オールスターにまつわる記録や大盛り上がりしたイベント、印象的なゲームなども順次お届けしていく。
ラストを飾るのは、2016年のオールスターゲーム。この年を最後に現役引退することを表明したコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)へ、選手やファン、関係者たちが感謝を表す記念すべき球宴となった。
■イースタン・カンファレンス出場選手一覧(所属は当時のもの/太字はスターター)
カイル・ラウリー(トロント・ラプターズ)
ポール・ジョージ(インディアナ・ペイサーズ)
カーメロ・アンソニー(ニューヨーク・ニックス)
ドウェイン・ウェイド(マイアミ・ヒート)
レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)
ジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)
ポール・ミルサップ(アトランタ・ホークス)
アイザイア・トーマス(ボストン・セルティックス)
デマー・デローザン(トロント・ラプターズ)
アンドレ・ドラモンド(デトロイト・ピストンズ)
パウ・ガソル(シカゴ・ブルズ)
アル・ホーフォード(アトランタ・ホークス)
※出場選手変更(ケガのため)
ジミー・バトラー(シカゴ・ブルズ)→パウ・ガソル
クリス・ボッシュ(マイアミ・ヒート)→アル・ホーフォード
■ウエスタン・カンファレンス出場選手一覧(所属は当時のもの/太字はスターター)
ステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)
コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)
カワイ・レナード(サンアントニオ・スパーズ)
ケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー)
ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)
ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)
クレイ・トンプソン(ゴールデンステート・ウォリアーズ)
クリス・ポール(ロサンゼルス・クリッパーズ)
アンソニー・デイビス(ニューオリンズ・ペリカンズ)
ラマーカス・オルドリッジ(サンアントニオ・スパーズ)
ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステート・ウォリアーズ)
デマーカス・カズンズ(サクラメント・キングス)
史上初となるトロント(カナダ)開催となった2016年オールスター。会場の雰囲気はまさに“コービー一色”。ウエストはカリーやデュラント、ウェストブルック、レナードといった実力者が集い、強力なロースターを構成。
一方のイーストも、レブロンを筆頭にウェイド、カーメロという2003年のドラフト組をはじめ、トロントに本拠地を置くラプターズからラウリーとデローザンが選ばれた。いったん外に出るとマイナス20度はあろうかという極寒の中、ラプターズの2人が試合前にスピーチを行うと、会場の中は異様な熱気と期待感に包まれていった。
「このオールスターは彼(コービー)のための週末。彼にとって最後のお祭りだからね」
カーメロが複数の現地メディアへ語ったこの言葉は、このオールスターに出場する選手全員の気持ちを代弁していたと言っていいだろう。レブロンもコービーに対する気持ちを率直に語っていた。
「彼(コービー)は俺たちに、多くのものをもたらしてくれた。現役としてプレーする俺たちのようなたくさんの選手が、彼から刺激をもらってきた。だから、彼への感謝としてベストな方法は、彼がもたらしてくれたことの見返りとして、何か別のものを与えたい。それが俺のやろうとしていることだ」
レブロンだけでなく、このオールスターに出場する選手のほとんどが、コービーから影響を受けたことは間違いない。特にデュラントやジョージ、デローザンはコービーを心底尊敬し、必死になってコービーのプレーを取り入れてきた。ロサンゼルス出身のウェストブルックもまた、コービーから多大な影響を受けて育ってきた。
また、ウォールはルーキーだった頃、アドバイスが欲しいと尋ねたところ、コービーから携帯電話の番号を渡され、じっと見つめてしまったという。「あの時は信じられなかった。でもそれこそが、コービーをすばらしい選手にしている部分なんだと思う。彼はアドバイスを送った若手が正しいところへ進むことができるよう、より良いバスケットボール選手になれるようにとサポートしてくれるんだ」とウォールが語った。
コービー最後のオールスターゲームは、得点に関する多くの記録が生まれた。前半を終えて92-90というハイスコアでウエストが2点をリード。後半に入ってもウエストの勢いはとどまることを知らず、むしろ得点数は上がる一方だった。試合は196-173でウエストに軍配。後半だけで104得点も記録したウエストは計196得点を奪い、オールスターの最多得点記録を塗り替えてみせた。
両チームの合計得点は当時史上最多の369得点。2017年に計374得点を記録したため、歴代2位となったものの、単一チームが挙げた196得点は、今でもトップとなっている。
さらに、ウエストは試合をとおしてのフィールドゴール試投数(149本)、ハーフにおけるフィールドゴール試投数(79本)でもトップ、3ポイントシュートの試投数(80本)と成功数(31本)でもトップを更新するなど、アグレッシブなオフェンスを展開。
その一方で、コービーが元チームメートのガソルを相手に1オン1を仕掛けたり、レブロンがリスペクトの気持ちを込めてコービーに1オン1で勝負をするなど、微笑ましいシーンがいくつも生まれた。
この日のコービーは10得点6リバウンド7アシストと控えめな成績だったが、カリーが26得点6アシスト4スティール、デュラントが23得点5リバウンド7アシスト、ポールが14得点16アシストを記録するなど、5選手が20得点以上をマーク。そしてMVPを獲得したのはウェストブルックだった。わずか22分11秒のプレータイムながら、31得点8リバウンド5アシスト5スティールという離れ業をやってのけたのである。
試合後、「てっきりコービーが取るもんだと思ってたから、準備なんてしてなかったよ」とウェストブルックは振り返っていたが、この日のコートで最もインパクトを放ったのはこの男だった。
イーストでは、ジョージがいずれもオールスター新記録となる3ポイントシュート試投数(19本)と成功数(9本)をマークし、歴代3位タイとなる41得点。そのほか、ウォールの22得点など計7人が2ケタ得点をマークした。
最後のオールスターを終えたコービーは、複数の現地メディアへ向けてこう語った。
「最高だったよ。ロッカールームを見渡したら、俺が初めてオールスターに出場した時、まだ4歳だった選手(ドラモンド)もいたんだ。いったい、どれほどの選手が20シーズンもプレーして、いくつもの世代を通り抜けることができると思う? 俺はまったく悲観的になんか思っちゃいない。ここにいることができて光栄だし、この町、そしてこのチームでプレーできて本当に幸せさ」。
今でも現役選手たちに多大な影響力を与えているコービー。2016年は、自身最後のオールスターを存分に楽しみ、充実した表情で去っていった。
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