若かりし頃のコービー、キャリア終盤のジョーダンと共にプレー
現在クリーブランド・キャバリアーズでヘッドコーチを務めるタロン・ルー。今季キャブスが不振に陥ろうと、ルーHCを解任することはなかった。大黒柱レブロン・ジェームズとの関係が良好だからとも言えるが、ルーにはなにか強運があるようにも思える。
現地メディア『CLUTCHPOINTS』によると、ルーは近代NBAで最高の3選手と同じチームで関わっていたことがわかった。その3選手とは、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、そしてレブロンである。
Tyronn Lue has played with Michael Jordan and Kobe Bryant while also coaching LeBron James.https://t.co/A5NU7z2ZRQ
— Cavs Nation (@CavsNationCP) March 1, 2018
まずは現役時代から。ルーはロサンゼルス・レイカーズの一員として1998-99シーズンにデビューすると、ケガをして欠場が続き、プレーオフのロースター入りさえできないというショッキングなことも起こった。
それでも、当時レイカーズに所属していたロン・ハーパー(元シカゴ・ブルズほか)らベテランに「必ずお前の出番はやって来る。だからいつでも準備しておけ」と言われ、努力を重ねてきたという。
レイカーズは99-00シーズン、シャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)とコービーを中心とした布陣で1987-88シーズン以来となる優勝を果たした。だがルーはプレーオフのロースターに入っておらず、記録上はチャンピオンリングを手にしていない。
2連覇を懸けて迎えた翌00-01シーズン。ようやくルーにも出番が巡ってきた。それまでの2シーズンでわずか23試合しかプレーしていなかったルーだったが、このシーズンは38試合に出場する機会を得る。平均出場時間は12.3分ながら、ようやくチャンピオンチームの一員として溶け込むことができた。このシーズン、レイカーズはプレーオフで驚異的な勝ち上がりを見せる。1回戦のポートランド・トレイルブレイザーズ、カンファレンス・セミファイナルのサクラメント・キングス、カンファレンス・ファイナルではサンアントニオ・スパーズを無敗で切り抜け、圧巻の11連勝を記録した(当時の1回戦は3戦先勝のため11とする)。
迎えたNBAファイナル。フィラデルフィア・セブンティシクサーズには、リーグ最強のクイックネスを誇るスーパースター、アレン・アイバーソン(元シクサーズほか)がいた。そこでレイカーズのフィル・ジャクソンHCは、練習時の“仮想アイバーソン”としてルーを指名。小柄でスピードとクイックネスにあふれるルーはその役目を果たすと、試合でも“アイバーソン・ストッパー”として起用され、レイカーズ優勝(4勝1敗)に貢献。
翌01-02シーズン。ルーは多くの出番を求めてワシントン・ウィザーズへと移籍。アイバーソンへのディフェンスを評価され、ウィザーズの主力として迎えられたのだが、そこでジョーダンが現役復帰を果たしたのである。ジョーダンと共に2シーズンをウィザーズでプレーしたルーは、その後オーランド・マジックやヒューストン・ロケッツなどでプレーし、08-09シーズンをもって現役を引退。コーチになるべく新たなキャリアをスタートさせた。
NBAコーチわずか5年、キャブスのHC就任1年目で優勝
11-12シーズンから2シーズン、ボストン・セルティックスでドク・リバースHCの下でアシスタントコーチ(AC)を務めたルーは、リバースHCのロサンゼルス・クリッパーズ移籍に伴い、13-14シーズンは自らもクリッパーズのACに就任。そして14-15シーズン、アソシエイトヘッドコーチとしてキャブスのコーチングスタッフに加わった。
キャブス2シーズン目途中となった16年1月中旬、当時指揮官を務めていたデイビッド・ブラットが解雇となり、ルーはキャブスのHCへと昇格。レブロンやケビン・ラブ、カイリー・アービング(現セルティックス)らを擁してウォリアーズ相手にNBAファイナルで1勝3敗から3連勝し、就任1年目で優勝を成し遂げた。
コービー、ジョーダンとはチームメートとしてプレーし、レブロンとは同じチームでコーチしたルー。3人のスーパースターを間近で見てきた(コーチしてきた)ことは、この男に多くのプラスをもたらしたに違いない。
ジョーダンとコービーが引退した中で、ここまでの経歴を持つルーは、史上最高のラッキーボーイと言っていいだろう。