ラプターズ必死の追い上げを帳消しにしたレブロン
5月6日(現地時間5日)、トロント・ラプターズ(0勝)とクリーブランド・キャバリアーズ(2勝)によるイースタン・カンファレンス・セミファイナル第3戦が、キャバリアーズのホーム、クイックン・ローンズ・アリーナで行われた。
アウェーで2連勝を飾ったキャブスは、ホームで行われたこの試合で先手を打った。ジョージ・ヒルの3ポインターを皮切りに、レブロン・ジェームズのレイアップとフリースロー2本、カイル・コーバーの長距離砲が続き、第1クォーター残り5分7秒には、16-4と12点リードを手にする。
ラプターズはデマー・デローザンの3ポイントプレーやカイル・ラウリーの活躍で反撃開始。残り1分57秒にはラウリーのフリースロー2本で3点差(17-20)まで追い上げる。しかしそこからジョーダン・クラークソンとジェフ・グリーンのショットでキャブスがリードを広げて、24-19でこのクォーターを終える。
第2クォーター序盤。ラプターズはフレッド・バンブリートやCJ・マイルズのショットで2点差まで詰め寄るも、キャブスはクラークソンの3ポインター、レブロンのドライブでリードを譲らず。
このクォーター途中、ラプターズはOG・アヌノビーの活躍などで1点差に迫るも、コーバーやレブロン、ケビン・ラブのショットでキャブスが突き放し、55-40のキャブス15点リードでハーフタイムへ。
第3クォーター。ラプターズがヨナス・バランチュナスの6連続得点とデローザンの3ポイントプレー、バンブリートのフリースロー3本で12-0のランを見せ、残り8分39秒で5点差(52-57)とする。
しかしキャブスはレブロンの3ポイントプレー、ヒルとコーバーの長距離砲で2ケタのリードを取り戻す。ラプターズはサージ・イバカやパスカル・シアカムなどのショットで加点するも、キャブスとの点差はなかなか縮まらず、このクォーターを終えて65-79と、14点ビハインドを背負って最終クォーターを迎えた。
すると、第4クォーターにラプターズが猛攻を仕掛ける。バンブリートのフィンガーロールを皮切りに、イバカのフリースロー、アヌノビー、マイルズ、ラウリーの3ポインターが続き、残り8分12秒でラプターズが80-85の5点差まで追いつく。
粘るラプターズはその後、ラウリーやアヌノビーのショットでキャブスを追い詰め、残り19.1秒にラウリーのレイアップで2点差、残り8.8秒にはアヌノビーの3ポインターで、ついに同点(103-103)。
タイムアウトを取ったキャブスは、試合の命運をレブロンに託した。左サイドを攻め込むレブロンに対し、アヌノビーはドライブするコースを防ぐ好ディフェンスを見せる。そして左コーナーから、レブロンがフローター気味のショットを放った。
どう見てもタフショットだった。だが、レブロンの右手から放たれたショットは鮮やかなバンクショットとなってリムを通過。ブザービーターという劇的な形で勝利を決定づけた。最終スコアは105-103。ラプターズが第4クォーターに見せた必死の追い上げも、1人の男の劇的ショットにより、水泡に帰した。
ラプターズはイーストトップの意地を見せることができるのか?
劇的勝利となったキャブスは、レブロンがゲームハイとなる38得点に6リバウンド7アシスト3スティール、ラブが21得点16リバウンド、4本の長距離砲を沈めたコーバーが18得点、ヒルが12得点をマーク。ベンチスタートのグリーンも11得点と、計5選手が2ケタ得点を奪取。
試合後の会見で、インディアナ・ペイサーズとのシリーズ第5戦に続くブザービーターを決めたレブロンは「俺はこの瞬間のために生きているのさ」とさすがのコメント。「俺は6、7、8歳の頃から、これまでずっとやってきた。33歳になった今、キャリアをとおしてこういった貴重な瞬間を経験することができ、とても幸運だ」と続けた。
惜しくも敗れてしまったラプターズでは、ラウリーがチームトップの27得点7アシスト、アヌノビーが4本の3ポイントシュート成功を含む18得点、バランチュナスが10得点11リバウンドを記録。イバカに代わり、先発入りしたバンブリートは9投中2本しかショットを決めることができずに8得点、デローザンも12投中3本しかショットが入らず8得点止まり。
ベンチからマイルズが13得点6リバウンド、イバカが11得点8リバウンド4ブロックと奮闘するも、チームはこれでシリーズ3連敗。
この日の第4クォーター。ラプターズは38得点と爆発したのだが、デローザンの姿はコート上にはなかった。ドウェイン・ケイシーHCの判断により、ベンチにいたからだ。
「きわめてつらかった。コートで起きていることをベンチから見たいだなんて、そんなこと思うわけがない。最悪だったよ。個人的にはそんな日だった。でも僕はチームが勝つことができるように考え続けてる。それが唯一の癒しとなるから」と語ったデローザン。
次の試合に向けて抱負を聞かれたラウリーは「戦うだけ」とコメント。「チーム全体でもっともっとタフに戦うしかない。俺たちは他に何ができるっていうんだい?」と言い放ち、会場を後にした。
そんな中、ケイシーHCは、選手たちに対して批判を口にした。「私は(一部の選手たちに)失望している。我々は(レブロンという)ハードルを超えなければならない。ノックダウンしなければいけない」と語り、怒りをあらわにした。ラプターズは現在、プレーオフにおける対キャブス戦で9連敗、キャブスのホームでは6連敗と屈辱的な負け方を続けている。
2011年のNBAファイナルで、マイアミ・ヒートに所属していたレブロンに対し、ダラス・マーベリックスのACだったケイシーは、チームとしてある程度スローダウンさせるディフェンスを敷いてきた。しかし、自らがヘッドコーチを務めるラプターズでは、いいようにやられてしまっている。
シリーズ第4戦は、キャブスのホームで8日(同7日)に行われる。キャブスは容赦なくラプターズを2年連続でスウィープすべく、圧倒してくるに違いない。イーストトップの59勝を挙げながら、もし今年もスウィープでプレーオフ敗退となれば、ラプターズは指揮官またはロースター変更を余儀なくされるに違いない。そうでなければ、NBAファイナル進出は夢のまた夢だ。
今季をとおして健闘してきたラプターズが、“イーストトップの意地”を見せ、天敵レブロン率いるキャブスに一矢報いることができるのか。現有戦力における最後の試合になるかもしれない第4戦に注目したい。