2018.06.17
4月15日(現地時間14日)から、計16チームによる今シーズンの王座を懸けた激闘、「NBAプレーオフ2018」が幕を開けた。バスケットボールキングでは、プレーオフ出場チームやシリーズ勝敗予想に加え、これまでのプレーオフにおける名シーンや印象的なシリーズ、ゲームなども順次お届けしていく。
<プレーオフ特別企画21>
イースタン・カンファレンス・セミファイナル プレビュー Part.2
トロント・ラプターズ×クリーブランド・キャバリアーズ
■2017-18シーズン成績
ラプターズ>59勝23敗(イースタン・カンファレンス1位)
キャバリアーズ>50勝32敗(イースタン・カンファレンス4位)
■2017-18シーズン直接対決戦績
キャバリアーズの2勝1敗
■ラプターズ
ラプターズは今季、フランチャイズ史上最多となるシーズン59勝を挙げ、意気揚々とプレーオフを迎えた。ワシントン・ウィザーズとの1回戦は、一時2勝2敗のタイに持ち込まれたが、そこから2連勝してイースト準決勝へ勝ち進んだ。
ウィザーズとのシリーズでは、デマー・デローザンが平均26.7得点4.8アシスト、カイル・ラウリーが平均17.2得点4.8リバウンド8.3アシスト2.0スティールをマーク。ヨナス・バランチュナスが平均13.5得点9.3リバウンド1.3ブロックと続き、リザーブのデロン・ライトがチーム4位となる平均10.7得点2.7アシスト2.3スティールと続いた。
デローザンは6戦のうち、3試合で32得点以上を挙げてチームをけん引。ラウリーは徐々にショットの成功率がアップし、第6戦では24得点をマーク。このオールスターデュオがチームの柱であることに変わりはないのだが、今季の好成績を支えたベンチ陣が、第5、6戦で活躍したことも忘れてはならない。第5戦ではライトが第4クォーターだけで11得点を挙げるなど18得点を奪取し、ウィザーズを突き放した。第6戦ではパスカル・シアカムの11得点8リバウンド2ブロックを筆頭に、ライトやフレッド・バンブリート、CJ・マイルズ、ヤコブ・ポートルが躍動し、ウィザーズ相手に逆転勝利を収めている。
ラプターズは今季、キャブスに対してシーズン成績が1勝2敗。プレーオフでも過去2年連続で戦い、現在は6連敗を喫している。とはいえ、今季のキャブスは過去3年、イーストを制していた時ほど支配力が感じられない点、そして今季はラプターズがホームコート・アドバンテージを持っていることで、3度目の正直を実現させることができるかもしれない。
■キャバリアーズ
昨季までの3シーズン、キャブスはイーストを勝ち上がり、3年連続でファイナルへ進出。2016年にはフランチャイズ史上初となる優勝も成し遂げた。この期間におけるイーストのチームとのプレーオフ戦績は36勝5敗と、もはや敵なしといった圧倒的な強さを誇っていた。
ところが、今年のプレーオフでは第5シードのインディアナ・ペイサーズに大苦戦。第5戦にレブロン・ジェームズのブザービーターで勝利するも、第6戦で34点差という大敗。第7戦もリードしていた展開から残り約1分に4点差まで詰め寄られる中、何とか勝ち切った。ペイサーズとのシリーズは、レブロンが縦横無尽の働きをしたからこそ、制することができたと言っていい。
レブロンはシリーズ平均で得点(34.4)、リバウンド(10.1)、アシスト(7.7)、スティール(1.4)、ブロック(1.0)という主要5項目すべてでチームトップの成績をマーク。平均2ケタ得点を挙げたのはケビン・ラブ(平均11.4)しかおらず、孤軍奮闘しているシーンが何度も見られた。
それでも、カイル・コーバーやJR・スミスの3ポイントシュートやディフェンスの踏ん張り、第7戦で復帰したジョージ・ヒルがレブロン不在時に良いつなぎ役を果たし、この試合で先発出場したトリスタン・トンプソンが15得点10リバウンドの活躍を見せ、勝利をもぎ取ってみせた。ただし、チーム第2の得点源であるラブは、第2戦で左手の親指じん帯を断裂しており、万全な状態ではないことが気がかりだ。
■シリーズ予想 キャバリアーズ 4-3 ラプターズ
今季の直接対決では、ラプターズが先勝したものの、キャブスはトレード・デッドラインでロースターにメスを入れており、現有戦力による戦績はキャブスの2勝0敗。
レブロンは3試合で平均29.3得点6.7リバウンド8.0アシストを残し、デローザンは平均17.7得点6.7アシストと、エース同士の成績はレブロンに軍配が上がる。
ラプターズにとって、打倒キャブスを果たすためには、レブロンをスローダウンすることがマストとなる。シーズン中はOG・アヌノビーとパスカル・シアカムが主にマッチアップしており、レブロンは前者に対して61.9パーセント、後者に対しては25.0パーセントのフィールドゴール成功率を残していた。このシリーズでも、ラプターズはこの2人をレブロンにマッチアップさせてくることが予想されるものの、レブロンをストップできるのは、事実上不可能に近い。
ただし、キャブスがラプターズに勝利するためには、レブロンが平均30得点以上を挙げても物足りない。シーズン中に勝利した試合は、ラブは当然として、ヒルやフッド、クラークソンといった選手たちが2ケタ得点を残し、大黒柱を援護する態勢ができていたからだったと言っても過言ではない。ラブとヒルは要所で得点できることが見込めるものの、ペイサーズとのシリーズでフッドは平均6.3得点、クラークソンは平均わずか4.4得点と不発だったため、彼らの復調がシリーズのポイントとなりそうだ。
全体的な選手層の面でいえば、ラプターズはキャブスを上回っている。特にベンチ陣に関してはマイルズ以外が若手ながらも、ウィザーズとのシリーズですでに結果を残しており、開幕から1シーズンを共にプレーしてきたことも強みとなる。スターター陣でも、ウィザーズとのシリーズ初戦でチームトップの23得点を挙げたサージ・イバカというベテランがおり、日替わりでヒーローになれる選手がいることは、長いシリーズを戦い抜くうえでカギとなるだろう。
また、ラウリーのプレーにも注目したい。昨年のキャブスとのシリーズでは平均20.0得点8.0アシスト、フィールドゴール成功率56.0パーセント、3ポイントシュート成功率66.7パーセントと絶好調だったにもかかわらず、シリーズ3戦目から負傷欠場という、悔しい思いをしてきた。今季はここ5シーズンで最も低いプレータイムを記録しており、プレーオフで勝利すべく、温存してきた。だからこそ、このシリーズでラウリーが大活躍を見せることに期待したい。
このシリーズは、どちらかのチームが圧倒して早期決着にはならないだろう。6、7戦までもつれた末に、レブロン率いるキャブスがラプターズを振り切り、シリーズを制すると予想。
確かに、キャブスはレブロンがこのシリーズでも大車輪の活躍をしなければならず、ほかの誰かが平均20得点以上を残すことができる可能性も低い。しかし、キャブスには、ラプターズにはない、プレーオフを勝ち上がってきた経験がある。それに、ラブやヒルをはじめ、コーバーやスミスといった選手が、シリーズをとおしてではなくとも、1試合、あるいはクラッチタイムで貴重なショットを決めることができれば、シリーズを勝ち抜くことができるのではないだろうか。
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