2018.04.14
2月27日(現地時間26日)終了時点で、イースタン・カンファレンスのトップ争いはトロント・ラプターズ(42勝17敗)とボストン・セルティックス(43勝19敗)が0.5ゲーム差と僅差の展開となっている。
セルティックスはマーカス・スマートの欠場時に調子を落としたこともあり、2月は6勝4敗と少し苦しんでいるものの、ラプターズは2月に入って7連勝を含む8勝1敗と絶好調。
ラプターズのドウェイン・ケイシーHCは、複数の現地メディアから「(ラプターズはイーストのベストチームかと聞かれて)わからない」と答えた。「我々は自信を持っている。ただ、この時点でベストチームとはならないだろう。だが今、我々は1位の座にいる。数字上ではそうなるね」と語っているのだが、はたしてそうなのだろうか。
一昨季のプレーオフで、カンファレンス・ファイナルへと進出したラプターズだが、今季こそイーストを勝ち上がり、NBAファイナルの舞台へと勝ち上がることが本当にできるのだろうか。
熱狂的なファンが多いトロントでは、「今年こそ」という大きな期待を抱いていることだろう。だがプレーオフを勝ち上がることは、簡単なことではない。
ここでは、2月27日(同26日)に現地メディア『Sporting News』に掲載されていた記事を紹介したい。ズバリ、トロントが心配すべき5つの理由である。
1.若手ぞろいのベンチ陣
今季、ラプターズのベンチ陣を構成するのは、パスカル・シアカム、ノーマン・パウエル、デロン・ライト、フレッド・バンブリート、CJ・マイルズ、ルーカス・ノゲイラといった面々で、マイルズを除くと5選手が25歳以下という若いメンバーとなっている。
ベンチ陣についてケイシーHCは「我々が抱えるヤングコアは、良い方法でここまでやって来た。ただもちろん、今の段階で彼らが(プレーオフという)ドアを通り抜ける準備ができているとは言わない。彼らはまだ若い。彼らにはまだまだ学ぶべきことが多い」。
指揮官がそう語るのも無理はない。ベンチ陣の中で、プレーオフをローテーション入りした選手として経験しているのは、パウエルとマイルズくらいしかいないからだ。シアカムやバンブリートがブレイクするのであれば面白いが、その保障はどこにもない。
2.勝負どころで不振に陥る
「ただ良い形でゲームを終えようとしているだけ。接戦であれば、より良い方法でフィニッシュするようにしている」とカイル・ラウリーは言う。
しかし、今季もクラッチタイム(残り5分で5点差以内の試合)の戦績は14勝13敗と、わずかに勝ち越しているのみ。こういった時間帯に、オフェンシブ・レーティングとディフェンシブ・レーティングはそれぞれ悪化してしまっている。
ここ11試合におけるクラッチシチュエーションでは、デマー・デローザンが平均3.3得点フィールドゴール成功率40.6パーセント、ラウリーに至っては平均2.1得点フィールドゴール成功率33.3パーセント3ポイントシュート成功率12.5パーセントと不振に陥っている。接戦が続くプレーオフで、このガードデュオが得点できないとラプターズは厳しい。
3.まずまずなシューティング
3ポイントシュートの観点から見てみると、ラプターズは決してリーグ上位のチームとはいいがたい。今季の3ポイントシュート成功率35.5パーセントはリーグ21位でしかなく、相手ディフェンダーが近づくにつれて、成功率はもちろん低下してしまう。
ただ、今季はワイドオープンの3ポイントシュートを39.0パーセントで決めているため、何とかリーグ中位の順位をキープしているのである。1試合平均で1.0本以上決めている選手の成功率では、上から順にバンブリート(41.0パーセント)、ラウリー(38.7パーセント)、マイルズ(38.6パーセント)なのだが、相手に脅威を与えるまでには至っていない。
4.アウェーの苦手意識
「我々のことを懐疑的に見ている人たちには、我々がどれくらいの時間をかけてチーム強化を行ってきたかを示すチャンスだと思っている。それが重要なんだ。しかし、もしイーストの第1、2シードに入れば、ホームコート・アドバンテージを手にすることができる。これも今シーズン、とても重要なこと」とケイシーHCは言う。
ラプターズは今季、ホームでは25勝5敗と自信を持っている。しかしそれがアウェーになると、17勝12敗に過ぎない。しかもその内訳を見てみると、勝率5割以下のチームを相手に11勝2敗と大きく勝ち越しており、勝率5割を上回るチームを相手にすると6勝10敗となっている。オフェンスとディフェンスの両面、特にディフェンス面は、ホームで戦う試合よりも失点を許してしまう傾向にある。
ホームコート・アドバンテージがあることは有利なことに違いないのだが、“内弁慶”なチームがプレーオフを勝ち抜くことができるほど、NBAは甘くない。チーム一丸となって、アウェーでも着実に勝っていくことが求められる。
イーストのプレーオフにおいて、レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)を倒すことができなければ、NBAファイナルへ進むことはできない。ラプターズは昨季カンファレンス・セミファイナルで激突し4連敗、一昨季はカンファレンス・ファイナルでぶつかり、2勝4敗で敗れた。
レブロンは計10試合において、平均30.0得点8.4リバウンド6.1アシストを挙げており、フィールドゴール成功率61.7パーセント3ポイントシュート成功率41.7パーセントと絶好調。フィールドゴール成功率においては全試合で50パーセント以上を残している。
「レブロンがリーダーとして君臨している限り、イーストのチームはすべて、レブロンが頭の中にいるはずだ。彼と対戦することで、自チームがより良くなるチャンスがある」とケイシーHC。
今年レブロンとマッチアップするのは、OG・アヌノビー、CJ・マイルズ、ノーマン・パウエルあたりだろうか。となると、このままでは過去2年と同じ道を歩むことになりそうだが……。
これまでとは一味違うラプターズを、プレーオフでも見せてほしいところである。
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