イースト決勝プレビュー セルティックス×キャバリアーズ/プレーオフ特別企画24

キャブスの大黒柱レブロン(左)とセルティックスのブラウン(右)[写真]=Getty Images

4月15日(現地時間14日)から、計16チームによる今シーズンの王座を懸けた激闘、「NBAプレーオフ2018」が幕を開けた。バスケットボールキングでは、プレーオフ出場チームやシリーズ勝敗予想に加え、これまでのプレーオフにおける名シーンや印象的なシリーズ、ゲームなども順次お届けしていく。

<プレーオフ特別企画24>
イースタン・カンファレンス・ファイナル プレビュー
ボストン・セルティックス×クリーブランド・キャバリアーズ

■2017-18シーズン成績
セルティックス>55勝27敗(イースタン・カンファレンス2位)
キャバリアーズ>50勝32敗(イースタン・カンファレンス4位)

■2017-18シーズン直接対決戦績
キャバリアーズの2勝1敗

■セルティックス

下馬評は不利も、チームとしての団結力で挑む

 フィラデルフィア・セブンティシクサーズとのカンファレンス・セミファイナル。タレントレベルではシクサーズに劣っていたセルティックスだったが、持ち前のタフなディフェンス力を駆使し、4勝1敗で突破。2年連続のカンファレンス・ファイナル進出を決めた。

 シリーズをとおして、セルティックスはシクサーズのフィールドゴール成功率を42.6パーセントに抑え込んだ。TJ・マッコネルを除き、シクサーズの選手を48.0パーセント未満にシャットアウト。オフェンスではシリーズ全試合で20得点以上を挙げた新人ジェイソン・テイタムをはじめ、計6選手が平均2ケタ得点をマーク。

 カイリー・アービングというリーグ最高級のクローザーはいないものの、テイタムやジェイレン・ブラウンテリー・ロジアーはプレーオフに入って自信を深め、存在感を増している。攻防両面で献身的なプレーを見せるアル・ホーフォードマーカス・スマート、ベンチから得点を重ねるマーカス・モリスがおり、リーグきっての知将、ブラッド・スティーブンズHCは虎視眈々とイースト制覇を目論んでいることだろう。

左からテイタム、ホーフォード、ブラウン。攻防両面で勝敗の行方を左右する主軸の3選手だ[写真]=Getty Images

 とはいえ、キャバリアーズに対して、セルティックスはシーズン戦績1勝2敗と負け越している。戦術面でセルティックスに分があるという意見もあるが、現地メディア『ESPN』のライター陣22名による予想で、セルティックス勝利に票を投じたのはわずか3名。シリーズは第6、7戦までもつれるという展開としつつも、大部分の記者がキャブス勝利を予想している。

 下馬評では不利と言わざるをえないセルティックスが、ベテランぞろいのキャブスに対し、どのような戦いを挑むのか。テイタムが左手の負傷でシリーズ初戦に欠場する可能性があるものの、タフで粘り強く、チームバスケットボールを展開するセルティックスが、早々にシリーズ敗退するとは思えない。若きタレントが豊富なセルティックスの選手たちを、スティーブンズHCがどのように操るのか注目したい。

■キャバリアーズ

ベテラン主体の布陣で好調を維持する東の雄

 イースタン・カンファレンス1位の59勝を挙げたトロント・ラプターズとのカンファレンス・セミファイナル。大黒柱レブロン・ジェームズがゲームを支配し、勝負どころでは自らの手でとどめを刺し、終わってみれば4戦無敗のスウィープでキャブスはラプターズを片付けた。

 シリーズ平均34.0得点8.3リバウンド11.3アシストを挙げたレブロンの活躍がラプターズとのシリーズを突破した最大の要因なのは間違いない。ただ、レブロン以外のサポーティングキャストの働きも見逃せない。インディアナ・ペイサーズとのシリーズではレブロン以外で平均2ケタ得点を残したのはケビン・ラブ(平均11.4得点)だけだったが、ラプターズとのシリーズではラブだけでなくカイル・コーバー、JR・スミスジェフ・グリーンジョージ・ヒルと、5選手が効果的に加点。「彼ら(チームメートたち)は初戦からすばらしかった」とレブロンも絶賛している。

シーズン中の直接対決で2勝1敗とリードするキャブス。レブロンは自身としては8年連続ファイナル進出を懸けた戦いとなる[写真]=Getty Images

 では、キャブスに不安材料がないのかと聞かれると、決してイエスとは言えない。2月のトレードで獲得した4選手のうち、プレーオフで活躍しているのはベテランのヒルのみ。ラプターズとのシリーズで、ジョーダン・クラークソンは4試合すべてに出場するも、平均わずか5.0得点。フィールドゴール成功率と3ポイントシュート成功率はいずれも3割未満と壊滅的。ロドニー・フッドはシリーズ中に放った9本のショットのうち、成功わずか1本。第4戦では出場を拒むほどだった。ラリー・ナンスJr.に至っては、2試合で計8分と、ほとんど結果を残せなかった。

 つまり、現在のキャブスは昨季までの主軸と今季から加入したグリーン、そして今季途中に加わったヒルという、ベテラン主体のラインナップで好調を続けているということ。タフなディフェンスを誇るセルティックスとのシリーズでは、シューティングスランプに陥る主力が出てくることも十分考えられるため、クラークソンやフッド、ナンスJr.がラッキーボーイとなって1試合でも活躍することができれば御の字だろう。過去3年連続でイーストを制しているキャブスとしても、若手の台頭はシリーズを制するカギになるかもしれない。

■シリーズ予想 キャバリアーズ 4-2 セルティックス

レブロンという最強選手を擁するキャブスが優位

 セルティックスのシックスマンを務めるモリスは、「トロントとのシリーズを見ていたら、とても簡単に彼らがキャブスに得点を許してしまっているシーンが何度もあった。(ラプターズは)ヘルプもなし、フィジカル面でも特に感じることはなかった。俺たちは(ラプターズとは)違ったものをキャブス相手に持ち込むことができるだろう」と『ESPN』に語っている。

 新人のOG・アヌノビーパスカル・シアカムが交互にレブロンをガードしていたラプターズとは異なり、セルティックスにはブラウンとテイタムだけでなく、スマートやモリスを交代でマッチアップさせるだろう。勝負どころでは、ホーフォードがレブロンのマークに入るかもしれない。

 だが、セルティックスはレブロンに対して頻繁にダブル、またはトリプルチームするのではなく、ペイサーズのように他の選手たちの得点を抑え込むことに力を注ぐはずだ。そこでカギになるのは、ホーフォードとラブのマッチアップとなる。

 昨年のセルティックスとのイースト決勝において、ラブは平均22.6得点12.4リバウンドと活躍。3ポイントシュートは43投中23本も決めており、53.5パーセントという高確率を残していた。セルティックスとしては、ラブをシャットダウンすべく、ホーフォードが多くの時間でガードすることになるだろう。

ホーフォード(左)を相手にラブがコンスタントに得点を挙げることができるかがポイントになりそうだ[写真]=Getty Images

 そのホーフォードは、昨年よりも今年のロースターを気に入っており、“対レブロン”に関しても自信を持っている。

 「昨年、僕らはとてもユニークなグループだった。コートに出れば毎晩ハードにプレーする選手ばかりだった。僕らは今でも同じことをしているけれど、今年のグループは各ポジションにおいて選手層が厚くなったことで、レブロンに対してもガードできる選手が多くいる。レブロンをガードするというタフなチャレンジに対して、僕らは(昨年よりも)多くの選手で立ち向かうことができるんだ」。

 レブロンに対し、セルティックスはブラウンやテイタムをガードさせることもあるだろうが、チームにとっては得点源であるため、シェミ・オジェレイを先発起用してレブロンにマッチアップさせる可能性もある。ベンチからはモリス、スマートといった屈強な肉体を誇る選手をマッチアップさせることができる。

 そのレブロンは、カイリー不在であろうと、「彼らは若いかどうかに関係なく、とても有能な選手たちを擁している。彼らはどのようにバスケットボールをプレーすべきか理解しており、コーチ(スティーブンズHC)は選手たちの成功を促している」とセルティックスを高評価。

 キャブスとしては、老獪なディフェンス力が光るヒルをロジアーやブラウンにマッチアップさせて、セルティックスの得点源の1人をスローダウンさせることだろう。テイタムに対しては、レブロンやグリーンがガードすることが予想される。セルティックスにはインサイドにおいて高さのアドバンテージがないため、球際に強いトリスタン・トンプソンを入れて、リバウンド面で優位に立つことも考えられる。

 このシリーズは決着するまで長引くだろうが、最後はキャブスが制し、4年連続のファイナル進出を決めるだろう。プレーオフのクラッチタイムにおいて、セルティックスはロジアーが奮闘しているものの、レブロンの存在はやはり別格。セルティックスがレブロンをスローダウンできたとしても、1試合をとおして守り切ることはさすがに酷。また、試合中にショットが不発でも、勝敗を決める重要な場面でラブやコーバーがショットを決めることができれば、5戦でキャブスがシリーズを制する可能性もあるだろう。

プレーオフに入って好調を続けるロジアー。キャブスとのシリーズでも活躍に期待がかかる[写真]=Getty Images

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