2010年のシリーズを引き合いに出したピアース
現在、イースタン・カンファレンス・ファイナルはボストン・セルティックスが2戦無敗でクリーブランド・キャバリアーズをリードしている。
キャブスの大黒柱レブロン・ジェームズは、初戦で15得点に抑え込まれたものの、第2戦ではゲームハイの42得点に10リバウンド12アシストのトリプルダブルをマーク。八面六臂の活躍を見せたのだが、キャブスは後半に逆転を許し、シリーズ2連敗を喫した。
レブロンは今季終了後にプレーヤーオプションを行使して制限なしフリーエージェント(FA)になる権利を持っていることから、今季開幕前からその去就が注目されていた。
そんな中、セルティックスのレジェンド、ポール・ピアース(元セルティックスほか)が、現地メディア『Boston Herald』の記者による電話取材で、興味深いことを話していたので紹介したい。
ピアースがセルティックスに在籍していた2009-10シーズン。レブロン率いるキャブスはリーグトップの61勝21敗を挙げてプレーオフを迎えていた。対するセルティックスはシーズン後半あたりから失速し、イースタン・カンファレンス4位となる50勝32敗でプレーオフに臨み、両チームはイースト準決勝で対決。
レブロンが35得点を挙げて初戦を制したキャブスだったが、セルティックスが誇る流麗な“トゥギャザー・バスケット”を打ち負かすことができず、2勝4敗でシーズンを終え、10年夏にマイアミ・ヒートへ移籍した。
当時のセルティックスで主軸を務めたピアース、ケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)、レイ・アレン(元シアトル・スーパーソニックスほか)、ラジョン・ロンド(現ニューオリンズ・ペリカンズ)らは、攻防両面において抜群のチームケミストリーを見せつけ、NBAファイナルまで勝ち上がった。ピアースはレブロンの現状を“2010年の再現”として見ているという。
「俺たちは歴史が繰り返すところを見ることができるかもしれない」と笑いながら語ったピアースは、「これが面白い部分でもあるんだけど、もし今年のシリーズでボストンがキャブスに勝利すれば、彼(レブロン)は出ていくだろう」と自身の見解を述べている。
レブロンは2010年にヒートへ移籍し、ドウェイン・ウェイドとクリス・ボッシュ(現未所属)と共にリーグを震撼させる“ビッグ3”を形成。2011年から4年連続でNBAファイナルへ勝ち進み、12、13年には連覇も果たした。
レブロンが移籍する際には明確な理由があった
この時レブロンが移籍を決断した理由——。それはプレーオフで何度も苦しめられたセルティックスのように強力なビッグ3を形成し、優勝を勝ち取るというものだった。また、14年夏にヒートを離れてキャブスに帰還した理由は、チャンピオンシップを故郷にもたらすことだった。
セルティックスはこれまでのプレーオフにおいて、2戦無敗でスタートした7戦シリーズでは37勝無敗と圧倒的な強さを誇っている。今年のプレーオフでは9戦無敗を記録し、絶対的な自信を持つTDガーデンで残り2試合を戦うことができるというメリットもある。そのため、キャブスとのシリーズではセルティックスが今のところ優位に立っているのは疑いようのない事実。
とはいえ、キャブスの今季はまだ終わりを迎えたわけではない。今年のプレーオフで初の連敗を喫したとはいえ、シリーズを制するチャンスはまだ残っている。それに、今季を終えなければレブロンの決断が発表されることはないだろう。
ただ、もし仮に移籍してしまうとなれば、気になるのはその理由だろう。ピアースが指摘するように、もしレブロンがセルティックスとのシリーズに敗れてしまい、移籍を決断するとした場合、その理由としてセルティックスが誇るチームバスケットを挙げるのか、または才能あふれるヤングコアたちと共にプレーすることを選択するのか。
いずれにせよ、セルティックスとのシリーズで見せるレブロンの一挙手一投足に、引く続き注目していきたい。