屈強な体格とフットワークを武器とする好ディフェンダー
今夏のフリーエージェント(FA)市場には、残留が確実視されるケビン・デュラント(ゴールデンステート・ウォリアーズ)やクリス・ポール(ヒューストン・ロケッツ)といったオールスター級の選手たちだけでなく、去就が注目されている若手選手も数多くいる。
その中の1人がマーカス・スマートだ。ボストン・セルティックスで4シーズンをプレーした24歳のスマートは、今夏制限付きFAとなる。今季終了後、「ボストンを愛してる。チームに残りたい」とスマートは語っており、セルティックスの指揮官ブラッド・スティーブンズHCもスマートを残留させたいと考えていることから、スマートとセルティックスの関係は相思相愛と言っていい。
キャリア平均9.4得点3.7リバウンド3.9アシスト1.5スティールを記録するスマートは、直近2シーズン連続で平均2ケタ得点を残しているものの、フィールドゴール成功率は4割未満、3ポイントシュート成功率でも3割前後と決して有能なシューターではない。ガードというポジションということを考えれば、致命的と思う人もいるかもしれない。
それでも、スマートは193センチ99キロという筋骨隆々な肉体と見事なフットワークを武器に、攻防両面でアグレッシブなプレーができる。チームに勢いを持ち込むハッスルプレーが持ち味で、チームに勝利をもたらすことができる。
Marcus Smart ladies and gentleman. https://t.co/qaWTH297tn
— Boston Celtics (@celtics) May 16, 2018
特にタフでフィジカルなディフェンスは評価が高く、バックコートのディフェンス力を強化したいチームにとっては願ってもない獲得候補となる。
スマートが重要視するのは“勝利”、それとも“高年俸”か?
6月20日(現地時間19日)、現地メディア『New England Sports Network』には、スマート獲得に興味を示している3チームを掲載していた。それがサクラメント・キングス、デンバー・ナゲッツ、インディアナ・ペイサーズだった。
記事の中で『Yahoo Sports』のクリス・マニックス記者はこう語っている。
「多くの人たちは本当にマーカス・スマートのことを好きなんだと思う。サクラメントは獲得を狙うだろうし、デンバーもキャップスペースを整理できれば手を挙げるだろう。サディアス・ヤングの動向しだいだが、インディアナにも可能性がある。もし年平均1,500万ドルの契約をスマートにオファーすれば、ボストンはマッチできないだろう」。
今季イースタン・カンファレンス・ファイナル第7戦に敗れたセルティックスには、来季ゴードン・ヘイワードとカイリー・アービングというオールスター選手がラインナップに復帰する。ところがセルティックスは、この2人にアル・ホーフォードを加えたオールスタートリオに、来季それぞれ2,000万ドル以上の高額サラリーを支払うこととなっているため、スマートに高額年俸を支払うことが厳しいというのが現状だ。
とはいえ、スマートはセルティックスが誇る“ハート&ソウル”と言える重要選手。スマートが“勝利”を最優先にするならば、高額年俸を得るチャンスを犠牲にしてまでも、セルティックス残留を選択することがベストなのは言うまでもない。
ただし、スマートが先発出場、そして高額年俸を何よりも優先した場合、その願いをセルティックスでかなえることはほぼ不可能なため、ボストンと決別することとなる。
7月解禁となるFA市場を前に、6月22日(同21日)に行われる「NBAドラフト2018」でトレードが成立することもある。スマートと再契約を希望するセルティックスが、ドラフト前後にサラリー削減のトレードを成立させたとしても、決しておかしくはないだろう。