史上最高級の選手としてロサンゼルスに降り立ったレブロン
7月2日(現地時間1日)、ロサンゼルス・レイカーズ入りを決断したレブロン・ジェームズのニュースは、世界中に拡散され、大きな注目を集めた。
高校卒業後にNBA入りし、キャリア15シーズン目を終えたレブロンは、これまでに3度の優勝、4度のシーズンMVP、3度のファイナルMVPをはじめとする数々の功績を残してきた。
また、NBA史上初となる通算3万得点、8,000リバウンド、8,000アシスト以上という記録を残しており、キャリア通算のトリプルダブル達成回数は歴代6位の73回で、歴代フォワードとしてトップに君臨。
今季も82試合にフル出場し、平均27.5得点8.6リバウンド9.1アシストを残しており、レブロンのオールラウンドなゲームは円熟味を増すばかり。前人未到のオールNBAファーストチーム選出12回という記録が、この男がどれだけ長い間、第一線でプレーできているかを示していると言っていい。
レブロンはすべてを可能にしてしまう万能性と強烈なリーダーシップを駆使してレイカーズのプレーオフ返り咲き、そしてフランチャイズ史上17度目の優勝へ導くことを期待されている。
そんな中、現地メディア『ESPN』に興味深い記事があったので紹介したい。同メディアによると、レブロンはレイカーズでポストプレーに重点を置いたスタイルにしていくという。
今思えば、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)やコービー・ブライアント(元レイカーズ)といった歴代有数の名スコアラーたちは、キャリアを重ねていくにつれて、ポストで効果的に得点することをマスターし、キャリア終盤でも相手チームの脅威であり続けた。
レブロンの場合は33歳という年齢だけでなく、15シーズンという長いキャリア、そしてプレーオフでも8年連続でファイナルに出場するなど身体を酷使してきた。そのため、プレースタイルを変えることはポジティブに働くことだろう。
203センチ113キロという屈強な体格を誇るレブロンには、広い視野と歴代ポイントガードと比較してもそん色ないほどのパス能力を持っており、リング下における決定力も折り紙付き。ジョーダンやコービーよりも、ポストでは優位に立つことができるのではないだろうか。
同メディアによると、レイカーズでバスケットボール運営部門代表を務めるアービン“マジック”ジョンソン(元レイカーズ)に対し、レブロンはもっとジョーダンやコービーのようにプレーするために、時間と辛抱が必要になるだろうと語ったという。
また、レブロンと距離の近いリーグの情報筋は、こんな言葉を残していた。
「フリーエージェント(FA)選手たちが(移籍して)所属チームを変えることと違って、レブロンは史上最高級の選手としてレイカーズというチームに降り立った。彼には何かを証明する必要などないし、プレッシャーも感じていない。彼はいくつか変化を加えるだけで、大きな影響を与えることができる」。
おそらくポストプレーに重点を置くというプレースタイルが、その“変化”なのだろう。
“偉大さへの努力”を続けるレブロンの進化を見届けるべき
もっとも、レブロンにとって、ポストプレー中心に切り替えることは決して難しいことではないはずだ。
というのも、レブロンは2010年までプレーしていた“第一期キャブス時代”ではポストプレーを用いることがほとんどなかったが、マイアミ・ヒート在籍1シーズン目の11年NBAファイナルでダラス・マーベリックスに敗退後、同年夏にポストプレーに磨きをかけ、ポストプレーから得点を挙げる機会が増加したからだ。
翌12年には自身初優勝を飾り、12-13シーズンにはフィールドゴール成功率56.5パーセント、13-14シーズンにはキャリアハイとなる56.7パーセントを記録。13年2月には、NBA史上初の6試合連続で30得点以上、フィールドゴール成功率60.0パーセント以上という、歴史的なパフォーマンスを見せている。
そのため、レブロンとしては少し変化を加えることで、ポストでプレーすることは十分可能ではないだろうか。
現役引退までに、レブロンは「息子とのプレーを楽しみにしている」と語っていたのだが、レブロン自身の目標はやはりチャンピオンシップを多く勝ち取ることに変わりはない。
“Strive For Greatness”――偉大さへの努力――。
レブロンは、自身のインスタグラムでほぼ毎回好んでこのフレーズを入れている。
今後のキャリアをプレーするうえで、レブロンは今までよりもポストプレーに軸を置いてプレーすることとなる。変化を恐れないこの男が、より偉大な頂へと上り詰めるプロセスを見届けることができるのは、バスケットボールファンとしてとてもハッピーなこと。
来季、レイカーズのパープル&ゴールドのユニフォームを身にまとったレブロンのプレーを大いにエキサイトし、新たな偉業を成し遂げる“目撃者(Witness)”になれることが楽しみでならない。