カーメロが加入すればロケッツはオフェンス面でさらに脅威が増す
7月21日(現地時間20日)、ヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデンが、カーメロ・アンソニー獲得について現地メディアへ自身の見解を述べた。
先日アトランタ・ホークスへとトレードされたカーメロは、今季の契約をバイアウトし、制限なしフリーエージェント(FA)になることが予想されており、移籍先の筆頭候補がロケッツだと複数の現地メディアが報じている。
『Houston Chronicle』のマット・ヤング記者によると、ハーデンはカーメロと連絡を取り合っているわけではないものの、現状についてこのように語っていた。
「(カーメロを獲得できれば)俺たちにとって、すばらしい補強になるだろう。メロ(カーメロの愛称)は実績のあるベテランだからね。(キャリアの中の)この時点で、彼はただ勝ちたいんだと思う」。
キャリア15年目を終えた34歳のカーメロは、デビューから一昨季までの14シーズンすべてで平均20得点以上を残してきたリーグ有数のスコアラーだった。オクラホマシティ・サンダーでプレーした昨季こそ、ラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージに次ぐ第3のオプションとなり、キャッチ&シュートの機会が増えたことで、平均16.2得点にとどまったが、カーメロ自身としてはまだまだ一線級のスコアラーであることを証明したがっているのかもしれない。
もっとも、ハーデンが語ったように、カーメロが勝利、そして優勝を求めている点も否定できない。デンバー・ナゲッツ在籍時の2009年、カーメロはチャウンシー・ビラップス(元デトロイト・ピストンズほか)らと共にカンファレンス・ファイナルへ進出したが、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)率いるレイカーズに2勝4敗で敗れており、NBAファイナルの舞台にも立てていないからだ。
ディフェンス面の不安をかき消すことのできる選手を獲得できれば心強い
昨季リーグトップの65勝を挙げ、NBAファイナル進出まであと1勝に迫ったロケッツだが、今夏は戦力ダウンが見受けられる。バックコートでは198センチの長身ポイントガード、マイケル・カーター・ウィリアムズを獲得したものの、不動の先発スモールフォワードだったトレバー・アリーザ、ディフェンス向上に一役買ったルーク・バー・ア・ムーテを流出しているからだ。先発センターのクリント・カペラとは再契約できる見込みとなっているが、フォワードの選手層には不安が残る。
もしロケッツがカーメロを獲得できれば、オフェンス面では大きな補強になるだろう。アイソレーションから得点でき、シュートレンジも広く、スキルも備わったカーメロが控えることで、相手チームにとってはやっかいとなるに違いない。
しかし、ディフェンス面も考慮すると、むしろマイナスになってしまうかもしれない。昨季、カーメロ出場時における得失点差(RPM)をディフェンス面で見てみると、パワーフォワードの中でリーグ73位となる-1.25、同ポジションの中ではリーグ下位レベルという評価になっている。さらに、ロケッツがトレード相手を探しているパワーフォワードのライアン・アンダーソンにいたっては、リーグワースト4位の-1.96。
つまり、パワーフォワードがディフェンス面で泣き所になってしまう恐れがあるということ。ゴールデンステート・ウォリアーズをはじめ、多くのチームがスイッチして、ディフェンスを苦手とする選手を相手に得点を重ねていく可能性が十分ある。
それに、ロケッツには昨季のMVPを獲得したハーデンと、オールスター級の司令塔クリス・ポールというスターパワーを擁している。カーメロを加えたとしても、おそらく昨季のサンダーと同様に、第3のオプションとなってしまうだろう。
ハーデンとポールにカーメロが加入すれば、ロケッツのオフェンスはさらに威力を増すに違いない。だがフォワードにもう1枚、ディフェンスに優れた献身的な選手が欲しいところだ。