王者相手に王手をかけるも2連敗で痛恨の敗退となったロケッツ
昨季、ヒューストン・ロケッツはリーグトップの65勝を挙げてプレーオフ全体のホームコートアドバンテージを手にし、意気揚々とプレーオフへ臨んだ。
ロケッツは自身初のシーズンMVPに選出されたジェームズ・ハーデンと攻防両面でインパクトを与えるクリス・ポール、得点とリバウンドで平均ダブルダブルをマークしたクリント・カペラを中心に、トレバー・アリーザ(現フェニックス・サンズ)やエリック・ゴードン、PJ・タッカーといった有能なサポーティングキャストを配置して、プレーオフを勝ち抜いていく。
1回戦でミネソタ・ティンバーウルブズを4勝1敗、カンファレンス・セミファイナルでは4勝1敗でユタ・ジャズを下し、ディフェンディング・チャンピオンのゴールデンステート・ウォリアーズとのカンファレンス・ファイナルへ。
選手やコーチだけでなく、ダレル・モーリーGMを含め、ロケッツはチーム一丸となって“打倒ウォリアーズ”を掲げていた。ホームコートアドバンテージを手にした昨季は、ウォリアーズを王者から引きずり下ろす絶好のチャンスと言っていいムードにあった。
シリーズ初戦では終盤にゲーム運びの差を見せ付らけれてウォリアーズに黒星を喫したものの、翌第2戦ではロケッツが22点差の快勝。すると第3戦ではウォリアーズが爆走し、強烈なしっぺ返し。41点差という大敗でシリーズはウォリアーズの2勝1敗に。
一昨季であれば、ロケッツはこのまま負けていたかもしれない。だが昨季のロケッツは違った。第4戦からディフェンシブな展開に持ち込み、100得点未満というロースコアで2連勝。ハーデン、ポール、ゴードン、アリーザ、タッカーというスモールラインナップを駆使してフィジカルコンタクトを多用し、ウォリアーズを大いに苦しめた。
ところが、第5戦終盤に2連勝の殊勲者ポールがハムストリングを痛めてしまい、無念の戦線離脱。ロケッツは3勝2敗で王手をかけたものの、ポール抜きで残り2試合を戦わざるをえなかった。
「俺たちはロースターに自信を持ってる」と、ハーデンがシリーズ突破に向けて語ったものの、最後は2連敗でシリーズを終えた。第6、7戦はいずれもロケッツが前半をリードして終えたものの、後半に入ってウォリアーズに逆転を許してしまい、悔しい2連敗を喫してしまったのである。
ハーデンを悩ます2連敗、乗り越えるためには打倒ウォリアーズ遂行しかない
「後半も3ポイントシュートが入っていたら…」「ポールが最後の2試合をプレーしていれば…」といった“タラ・レバ”はロケッツのファンに限らず、選手たちも感じていたのかもしれない。
ここでは、8月4日(現地時間3日)にハーデンが現地メディア『Yahoo Sports』へウォリアーズとのシリーズについて話していたので紹介したい。
「(ウォリアーズとのシリーズについて)俺は毎日、考えている。特に第6戦と第7戦の敗戦は、俺を毎日悩ませている」とハーデンが切り出すと、続けてこのように語っている。
「何も変わったりはしない。ウエストは本当に恐ろしいチームの集まりだ。俺たちはウォリアーズがどんな補強をしたのかを理解してるつもりだ。(新加入した)デマーカス・カズンズはスキルと能力を高いレベルで兼備した選手。だがウォリアーズはウォリアーズだ。彼らは過去4年間で3度も優勝した」。
カズンズを加えたことでさらに注目を浴びているウォリアーズだが、もし仮にカズンズがフィットしなくとも、ウォリアーズの強さは変わらないとハーデンは言及している。では、ハーデン率いるロケッツはどうなのだろうか。
「俺たちはチャンピオンシップ争いの渦中にいた。特に昨季は、間違いなく俺たちは優勝することができるんだと見せ付けることができた。今季も俺たちは同じように覇権争いの中にいるはずだ」。
MVPを獲得し、ますます自信を深めたハーデン。ロケッツがウォリアーズの3連覇をストップすることができるのか。おそらくこれが、今季の覇権争いにおいて最も注目すべきポイントと言っていいだろう。