リーグ史上でも特筆すべき得点力を誇示するジョーダンとデュラント&カリー
70年以上を誇るNBA史において、唯一無二の“金字塔”と呼べる偉大な記録がある。
ウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズほか)が残した1試合100得点や、MJことマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)の通算10度の得点王、ジョン・ストックトン(元ユタ・ジャズ)による9年連続アシスト王、最近で言えばラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)が樹立した2シーズン連続の平均トリプルダブルも金字塔と言っていいだろう。
今回は、金字塔とはいかないまでも、史上12人しか達成していない記録を見ていきたい。それは1シーズンにおいて平均30得点以上かつフィールドゴール成功率50パーセント以上を達成したことのある選手たちだ。
『Basketball-Reference.com』を基に、この記録を達成してきた選手をリストアップしてみた。
※チーム名は略称、*印は複数回達成した選手
■1シーズンで平均30得点以上、FG成功率50%以上を達成した選手
カリーム・アブドゥル・ジャバー(元レイカーズほか)*
ウォルト・ベラミー(元ブレッツほか)
ウィルト・チェンバレン(元ウォリアーズほか)*
ステフィン・カリー(ウォリアーズ)
エイドリアン・ダントリー(元ジャズほか)*
ケビン・デュラント(ウォリアーズ)
ジョージ・ガービン(元スパーズほか)*
マイケル・ジョーダン(元ブルズほか)*
バーナード・キング(元ニックスほか)
カール・マローン(元ジャズほか)
モーゼス・マローン(元ロケッツほか)
ボブ・マッカドゥー(元ブレーブスほか)*
ジャンパー中心ながら達成したカリーとデュラントは現役最高級のスコアラー
伝説の巨人と称されるジャバーやチェンバレン、筋骨隆々の肉体とシュート力を駆使してポストプレーとジャンパーから得点を量産した2人のマローンなど、このリストにはやはりビッグマンが多い。最も確率が高いとされているリング下を中心に効率良く得点することが、この記録を達成するためのポイントと言っていいだろう。
その中に、ジョーダンとKDことケビン・デュラント、ステフィン・カリーが入っているのは興味深い。ジョーダンが達成したのは1990年代前期の3連覇までの期間で、1度目の引退前となる。身体能力がピークにあり、リング下へ積極果敢に攻め立てていた時期なのだが、87-88シーズンから91-92シーズンまで、なんと5シーズン連続で達成している。ガードの選手としては、間違いなく“金字塔”と呼べる快記録だ。
一方、カリーとデュラントは一度ずつしか達成できていないものの、現役選手ではこの2人のみというのがこの記録達成の難しさを象徴している。両者はインサイドでガンガン得点する選手ではないものの、持ち前の高精度なシュート力を駆使して、効率良く得点を挙げてこの記録を達成したのである。
そんな希少な選手が2人もそろうのだから、2連覇中のウォリアーズが難攻不落と称されても納得せざるをえないというもの。
ちなみに、今後このリストに入りそうな選手として、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)を挙げたい。5年目の昨季、自己最高となる平均26.9得点をマークしたアデトクンボは、フィールドゴール成功率52.9パーセントを残しており、平均得点さえアップすれば十分達成可能な能力を持っている。
それに昨季のアデトクンボは、リング下におけるフィールドゴール成功率で76.1パーセントという驚異的な決定力を誇っていた。そしてマイク・ブーデンホルザー新HCの下、今季はアーサン・イリヤソバとブルック・ロペスというビッグマンが3ポイントシュートを放つ機会が多いと予想できるため、アデトクンボが得意とするエリアで得点を量産するシーンが増加する傾向にあるからである。
はたして、“ギリシャの奇人”ことアデトクンボは13人目の記録達成者となることができるのか。まずは今季のプレーに注目していきたい。