オールスター出場選手紹介⑳/ジョエル・エンビード(シクサーズ)

昨年に続いて2年連続でスターターとして出場することとなったエンビード[写真]=Getty Images

2月18日(現地時間17日)に迫った「NBAオールスターゲーム2019」。今年もイースタン・カンファレンスとウエスタン・カンファレンスによるゲームではなく、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)がキャプテンを務める「TEAMヤニス」と、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)がキャプテンを務める「TEAMレブロン」というオリジナルチームの対決という形で行われる。そこでバスケットボールキングでは、今年のオールスター出場選手を紹介していく。

■オールスター出場選手⑳ TEAMヤニス
ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)

センター/213センチ/113キロ/キャリア3年目
Twitterアカウント:@JoelEmbiid
Instagramアカウント:@joelembiid

<NBAにおける主な記録・功績>
オールNBAセカンドチーム選出:1回(2018)
オールNBAディフェンシブセカンドチーム選出:1回(2018)
オールスター選出:2回(2018,19)

<2018-19シーズン 個人成績>
平均33.7分27.4得点13.5リバウンド3.5アシスト2.0ブロック
※2月12日(現地時間11日)終了時点

今季ダブルダブルでリーグトップを誇る万能型ビッグマン

 今季序盤にジミー・バトラー、2月上旬にはトバイアス・ハリスが加入するなど、ロースターを強化してきたシクサーズにとって、最も安定したパフォーマンスでチームをけん引しているのがエンビードだ。

 13日(同12日)終了時点で、エンビードはダブルダブルの回数でリーグトップの47回を記録。得点、リバウンド、アシストの主要3項目では3年連続で数字を伸ばしており、リーグ最高級のセンターとしての地位を確立したと言っていいだろう。

 さらに、今季のエンビードはすでに30得点10リバウンド以上を23度も記録する爆発ぶり。『Stat Muse』によると、オールスター前の時点で30得点10リバウンド以上をここまで残した選手は、ここ30シーズンで初だという。

 昨年12月下旬、エンビードは3ポイントをたくさん放つ自身の役割に不満を爆発させ、「3ポイントを放つのは好きじゃない。俺が放つ理由は、オフェンスで自分たちのスペースを作り出すため。時々放たなきゃいけないときがあるくらいだ。だが本来、俺はペリメーターにいるべきなんだ。チームメートたちをオープンにすることができるから」と『ESPN』にこぼしていた。

 互いに大の負けず嫌いだというバトラーは「ヤツの気持ちは理解できる。アイツはただ勝ちたいんだ」と理解を示し、エンビードはしだいに自らのコンフォートゾーンを見つけていった。12月は平均24.3得点13.1リバウンド3.5アシストだったエンビードは、1月になると平均29.2得点13.8リバウンド3.8アシストまで伸ばし、チーム成績も7勝6敗から11勝4敗へと向上。

1月末に行われた王者ウォリアーズ戦では26得点20リバウンド5アシストの大暴れでシクサーズを勝利へと導いた[写真]=Getty Images

 1月下旬、オールスターのスターター入りが決まる前にエンビードはチームのウェブサイトへこんな言葉を口にしていた。

 「チームが必要だと言うのなら、俺はなんだってやる。得点を取るだけでなく、リーグのベストディフェンダー、それにプレーメイカーにもなってみせる。俺が気にかけているのは勝利することなんだ。今、俺たちは数多くの勝利を手にしようとしているし、そのために良い仕事ができていると思う」。

 負けず嫌いなエンビードは、闘争心が強いベン・シモンズやバトラーと口論になるシーンもあるとはいえ、オフェンスだけでなくディフェンスでもシクサーズに不可欠な存在として君臨。

 オフェンスでは確かなシュート力と絶妙なフットワークを駆使した多彩なムーブでポストプレーを完遂。カメラマンさえも欺く巧みなフェイクからドライブでリングへ突進し、軽快なユーロステップでフィニッシュすることもできる。アウトサイドからもショットを沈めることができ、24歳ながらビッグマンとしてリーグ屈指のスキルが備わっている。

 ディフェンスではリング下をパトロールし、強烈なブロックやリバウンドで相手チームのオフェンスを遮断。攻防両面においてリーグ屈指の能力を持つことは、昨季オールNBAセカンドチームとオールディフェンシブセカンドチームに選出されたことからも明らかだ。

エンビードはリム・プロテクターとしても高い評価を得ている[写真]=Getty Images

 シクサーズはシモンズ、JJ・レディック、バトラー、エンビードにハリスを加えたスターター陣を形成し、デンバー・ナゲッツとレイカーズを下したことで、エンビードは「まだたったの2試合だけど、俺たちはチャンスを得たと思ってる。もちろん、俺たちはまだまだやるべきことがたくさんある。だが、俺たちが持つオフェンス面のパッケージはこれまでになかったことだし、特にプレーオフが始まる頃には大きなポテンシャルを持つことになると思う。他のチームと対戦することになっても、俺たちにはチャンスがあると思ってるよ」と『NBC Sports』へ語っており、今後に向けて視界良好と言っていいだろう。

 多彩なスキルにユーモアセンスも兼備したエンビードは、キャリア3年目ながらオールスターゲームに不可欠な選手となりつつある。

<オールスターモーメント>
初出場となった昨年、オールラウンドなスキルを存分に発揮

 昨年は「TEAMワールド」のスターターとしてライジングスターズ、そして自身初のオールスターゲームに出場。前者は約9分のプレータイムで5得点2リバウンドに終わるも、後者では約20分のプレータイムで19得点8リバウンド2ブロックと持ち味を発揮。

 ラッセル・ウェストブルック(サンダー)のショットを豪快にブロックしたり、軽々とディープ3を放つなど多彩な能力を見せつけた。トラッシュトーカーとしても知られるエンビードは、昨年のオールスター期間中にこんなコメントを残していた。

 「コートに出たら、俺は勝ちたいと同時に楽しみたいんだ。つまり、(トラッシュトークというのは)俺が楽しむための手段の1つなのさ」。

 2月8日(同7日)に行われたオールスターのドラフト後、ウェストブルックはベン・シモンズ(シクサーズ)との交換で「TEAMヤニス」へと移籍。これにより、エンビードと不仲とされているウェストブルックはチームメートとしてプレーすることとなった。

 互いに競争心が旺盛なだけに、試合中に満面の笑みで会話を交わすことはないだろうが、エンビードはビッグマンながらパサーとしても優秀なため、互いにロブパスを上げてアリウープをさく裂させて笑顔を見せるシーンがあると期待したい。

3ポイントラインから遠く離れたスポットであろうと、難なく決めることができるシュート力もエンビードの魅力の一つ[写真]=Getty Images

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